- 石澤
- 具体的にはどんな仕事をすることになりそうですか?
- 川上
- いろいろなプロジェクトに
関わっていただくことになると思いますが、
いま、ほぼ日の基幹システムを、
数年がかりで全部そっくりゴロンと
入れ替えようとしています。
それにともなって既存のシステムの
改修が必要になるので、
その戦力として活躍していただくのが
メインのタスクになるでしょうね。 - ほぼ日の90パーセントの売り上げを支える
販売のシステムの世代交代でもありますから、
「ほぼ日のほんとに基幹のシステムの
改修に携われる経験ができること」。
おそらくそこがいちばんの醍醐味
じゃないかと思います。
- 石澤
- その改修は、システム開発部門全体で
おこなうのでしょうか?
- 川上
- 大きなプロジェクトなので、
チームで一丸となっておこないます。
ただどうしてもタスクという意味では
「君は販売のほうね、君は仕入れ側ね、
君は在庫管理ね、君は経費ね」
というやりかたになると思います。
ですからひとりひとりには、先ほど言った
「自走力」を持ってやって
もらわざるを得なくなります。
そういうチームにしたいなと思っていますし、
新しい方にもそのように
活躍してもらえたらと思っています。
- 石澤
- そのプロジェクトは、ほぼ日という会社全体に
どんな影響を与えるのでしょうか。
- 川上
- 大きな目的は、ほぼ日の事業全体の
「見える化」です。
いまのほぼ日の基幹システムは、
主にシステムベンダーが仕様を定め設計を実施し、
そのパッケージを大幅にカスタマイズする形で
組み上げたものであるため、
ブラックボックスになっている部分が多いんです。
だからシステム開発部門としてはこれまで、
基幹システム自体にはなるべく関わらず、
そこにつながる販売のシステム、
物流のシステム、倉庫のシステムと
つなぐためのインターフェースづくりとか、
B to Bの卸のお客さまと受発注のシステムで
データをやりとりする仕組みを作る部分で
関わってきただけでした。
そこを、考え方から見直して、
ブラックボックス化させないかたちに
変えていけたらと思っているんです。
- 石澤
- ブラックボックスをなくし、
ほぼ日の事業全体をもっと見えやすくする。
- 川上
- いまはブラックボックス部分があることで、
ほぼ日のメンバーは
「私はここまではわかるけれど、
ここから先は知らない」
といった責任の持ち方をしているわけです。
でもその部分が見えるようになると、
それぞれが「こうすればもっと良くなるよね」という
視点を持ちやすくなる。
この、みんなの視野がまったく違うものに
なるというのが狙いでもあります。
情報システム部門の人間が
ERPパッケージそのものに手を入れたり、
開発したりすることはあまり
ないんですが。
- 石澤
- ほぼ日が今後、新事業をはじめるであるとか、
新機能が必要になったときにやりやすくなる?
- 川上
- そのとおりです。
海外ビジネスが伸びるとか、BtoBが伸びるとか、
状況が変わって効率的なものを作る必要が
出てきたときに、システム的な発想で
「こうできるよね」がわかった上で、
ソフトウェアを作れるようになるかなと。
- 糸井
- かっこいいです。
- 川上
- さらに言うと、その「見える化」は
基幹システムの話だけでないんですね。
いまのほぼ日って、いろんな場所に
人が介在している構造なんです。
だからクリエイティブを担っている人たちが
「人に聞かないとわからない」
「人に頼まないとできない」
といった工程を踏んでいる。
だけどそれは、システムができてないがゆえに
やっている余計な仕事かもしれない。
そこはなくしていきたいし、そういう発想を
システム開発部門が持てるのが
大事かなと思っています。
(つづきます)
2021-08-24-TUE