8月1日から、三省堂書店神保町本店さんが、
ほぼ日ブックスのフェアを展開してくださっています。
せっかくご近所にいるのですから、
ぜひ私たちもなにかお手伝いしたい!
そこで、今年のインターン生たちが
とにかく三省堂神保町本店さんに通って、
できることを探していくことにしました。
先輩の乗組員に相談したのですが、
「一生懸命やれば大丈夫!」 としか言ってくれません‥‥。
というわけで、とにかく一生懸命やります。
多少の空回り、無謀、ご容赦ください。

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第3回  わたしの話を聞いてくれ!part1

かとちゃん
お久しぶりです。かとちゃんです。
今回はメンバーで、三省堂書店に
並んでいるおすすめの本を
紹介したいと思います。
Part1はあかまと、かとちゃんでお届けします!
わたしはグルメが登場する小説が大好きです。
あげだすときりがありませんが、
その中でも髙田郁さんの小説
『みをつくし料理帖』シリーズ が大好き。
NHKでドラマが放送されていたので
知っている方も多いのではないでしょうか。

かとちゃん
『みをつくし料理帖』とは、時代設定が江戸の料理小説です。
がんばり屋な主人公 澪ちゃんが、
つる家という料理屋で、試行錯誤しながら
料理をつくっていくストーリー。
江戸時代の史実にかなり忠実なので
現代には無い料理もたまに出てきたりします。
個性豊かで人情味たっぷりのキャラクターも、
魅力のひとつなんです!

かとちゃん
愛があふれすぎて、
勝手にファンアートを描いてしまいました。
はぁ。澪ちゃんが働いていたつる家に行きたい。
母と貸し借りしあって読んでいた中学生時代。懐かし〜。

三省堂書店では、2階の文庫コーナーで手に取れます。
三省堂書店では、2階の文庫コーナーで手に取れます。

かとちゃん
わたしは昔からグルメが登場する小説が好きでした。
そんなわたしのお気に入りの楽しみ方。
それは小説をよんで、登場するご飯を作ること。
そして食べる前に、その料理が出てくるお話を読み
登場人物になりきってご飯をたべること。
忍び瓜、とろとろ茶碗蒸し、
ほろにがふきごはん、うるわし鼈甲玉、はてなの飯....。
小説にでてきた料理の名前を
見るだけでお腹がすいてきました。
今回は、「みをつくし料理帖/想い雲」に
登場する「梅土佐豆腐」をつくってみます。
まず小説部分をお楽しみください。

かとちゃん
読みやすい文体。
そして料理の描写が、
素晴らしく食欲をそそるのです。
この「梅土佐豆腐」は、
つる家を訪れるお客に
つましいながらも土用の丑の日を
楽しんでもらおうと考え出された
「う尽くし」というお膳の中の一品。
「卯の花和え」「埋め飯」「瓜の葛ひき」「梅土佐豆腐」。
「う」のつく料理をならべて
お客さんに楽しんでもらおうと、
うーうーうなりながら
澪ちゃんが苦心して考えた料理です。
鰻は高いから買えねぇけど
なにか食いてぇ、という江戸っ子の
心をつかむお膳でした。
材料はこちら。
本家のレシピは本のうしろに載っているのですが、
今回は私風にすこしアレンジしています。

かとちゃん
では作っていきましょう!

かとちゃん
豆腐を半分に切って梅のペーストをはさみます。
わたしは不精者なので、豆腐に切れ込みを入れてポケットを作り
そこに梅干しのチューブをつっこみます。
焼くときに、豆腐がばらばらにならなくてオススメ....かも。

かとちゃん
小麦粉、卵白の順につけて
鰹節をまぶします。
主人公の澪ちゃん、鰹節を塊からけずってたなぁ。
わたしはパックにつめられた鰹節を使います。
一回だけ削ったことあるけど、
硬くて削るの意外とむつかしいですよね。
慣れてないだけかしら?

かとちゃん
油でジュウジュウと焼き目をつけてゆきます。
豆腐の面を転がして、
一面一面を丁寧に焼いていくのが快感です。
鰹節のこげるいい香りがただよってきました。
早く食べたいです。

かとちゃん
で、できたー!!!
いい色やわぁ。
では、りうさん(つる家で働く恐ろしく元気なおばあさん)の
「う尽くし」をオススメする粋な口上につられ
つる屋にぶらりと入ってみた、江戸っ子の気持ちになって。
いただきます。
…….
んまい!
外はカリッとしてて
なかにはとろっと梅肉が。
さっぱりとした梅の風味と、まろやかな豆腐が
口の中で手を取り合っています。
熱々を一口でガブッと食べるのがよきです。
たまらない〜〜。
リアル「こいつぁいけねぇ」です。
店主である優しいおじいさん種市の
口癖がでましたところで…. 
ごちそうさまでした。
ご飯はもちろんストーリーが
たまらなくよい『みをつくし料理帖』。
全12巻で、完結しています。
そこまで長くなく、きれいに完結していて
もっと続きが読みたいと思わされます。
受験時代、部活動、辛かったときに
『みをつくし料理帖』をよく読みました。
意地悪されても、お店に放火されても、
料理をパクられても、泣きながら
ふんばって料理と向き合い続ける
澪ちゃんをみて私は勇気をもらいました。

三省堂書店にいくと、なんと高田郁さんの直筆のポップが!(ファン大興奮) 三省堂書店にいくと、なんと高田郁さんの直筆のポップが!(ファン大興奮)

かとちゃん
この本に出会えたことで
わたしの人生が豊かになった、
といっても過言ではありません。
ちなみにこの本のおかげで
茄子がたべられるようにもなりました。笑
(茄子の料理の描写が、あまりにも美味しそうだったから)
母以外とあまり語ったことがなかったので
なんだか気恥ずかしい....。
すでに読んでいるひとは語りましょう!
まだの方は、ぜひ一冊目を手にとってみてください。
では、かとちゃんでした。

あかま
あかまです。
私からは、大好きなフランス文学作品を紹介します。

思い出のパリ セーヌ河畔の写真です 思い出のパリ セーヌ河畔の写真です

あかま
今までたくさんのフランス文学を周囲に薦めてきましたが、
「フランス文学=難しい」というイメージがあるのか、
読んでもらえた試しがありません…(泣)
正直、今回の記事も読み飛ばされてしまわないか、
という不安がありますが、
どうぞ最後までお付き合いください。
あかま
さて、私が紹介する作品は、こちら。

あかま
空想科学小説の祖、ジュール・ヴェルヌの
『八十日間世界一周』です。
(オススメがたくさんあり、選ぶのに2日かかりました。)

三省堂書店では、2階の文庫コーナーで手に取ることができます。 三省堂書店では、2階の文庫コーナーで手に取ることができます。

あかま
ヴェルヌといえば『十五少年漂流記』や『海底二万里』が
人気ですが、私のイチオシは『八十日間世界一周』です。
1873年に出版された作品で、日本では1878~80年に
国内で初めて翻訳出版されたフランス文学作品です。
ヴェルヌは青少年向けの冒険科学小説家として
評価されてきましたが、
近年では正当な文学者としての評価が高まっている、
今も熱い作家です。
古い作品でとっつきにくいな、と思うかもしれませんが、
ひとまずどんな話か、紹介しますね。

パリのオルセー美術館。昔のプラットホームをそのままに。 パリのオルセー美術館。昔のプラットホームをそのままに。

あかま
物語の始まりは1872年10月2日。
英国貴族のフィリアス・フォッグ氏は、
友人らと、とある新聞記事について議論します。
その内容は、
「80日間で本当に世界を一周することができるのか」。
友人たちが実現不可能だと考える中、
フォッグ氏はそれが実現可能であり実証できると言い切り、
1秒でも遅れたら全財産を失うことになる賭けをします。
成功を疑う友人らをあとに、
フォッグ氏は80日後の同時刻に戻ると宣言し、
使用人を連れてただちにロンドンを発ちます。
汽車からゾウまで、ありとあらゆる乗り物を駆使した、
前代未聞の世界一周の大冒険が繰り広げられます!
フォッグ氏がどうやって大陸を横断し、海を渡るのか、
あらすじだけで、ワクワクしませんか?
この小説が出版された1870年代は、
それ以前と比べて世界を移動する時間が
格段に縮まった時代です。

あかま
それまでは移動手段が、徒歩・馬・船のいずれかだったので
時間と距離の感覚がずっと同じままでした。
世界一周は命がけの大冒険だったのです。
これを一変させたのが、蒸気機関車や蒸気船です。
1850年代から起こった交通革命により
人類の移動速度は圧倒的に速くなり、
それにともなって、時間と距離の感覚も
ガラッと変わりました。
『八十日間世界一周』は、当時の最先端技術を
いち早く取り入れた近代SF小説であり、
「冒険」時代の終わりと「旅行」時代の始まり
を告げた小説なのです!

パリ大改造計画でつくられたルーブル・ピラミッド。 パリ大改造計画でつくられたルーブル・ピラミッド。

あかま
因みに、フォッグ氏の旅には日本も登場します。
フォッグ氏と使用人が訪れたのは、
当時ほとんど知られていない、開港から十数年後の横浜。
当時の日本人が住む港町の風物の描写が細かく、
まるで自分も一緒に町を散策している気分になります。
人の息遣いや花やお線香の香りまで漂ってくるようです。
ですが…。
実はヴェルヌは、日本に一度も来たことがありません!
ヴェルヌは、当​​時の雑誌を参考に、
想像を交えて日本を描きました。
日本以外の国々も、ほとんどが雑誌を参考に書かれました。
日本の描写を読んだとき、
私はすっかりだまされてしまいました。
他の国の読者も、ヴェルヌが実際にはその国を訪れずに
細かい描写をしたことに、きっと驚いたことでしょう。
真実らしさを追求したヴェルヌの想像力と表現力には、
本当に驚かされます。
みなさんもぜひ、ヴェルヌの想像の日本に
遊びに行ってみてください。
ヴェルヌの作品はどれも心躍るものばかり。
ぜひ読んでみてください。
フランス文学作品は他にも面白いものがたくさんあります。
この本をきっかけにフランス文学に興味を持ってくれる方が
増えると、うれしいです。

ノートルダム大聖堂はこちら!の看板。 ノートルダム大聖堂はこちら!の看板。

あかま
小説は普通に読むだけでも楽しいですが、
作品が書かれた時代や作家の生い立ち、交友関係など、
周辺情報を調べるとより面白くなると思います。
私ももっともっと、たくさん本を読もう!

(つづきます)

2021-08-27-FRI

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