日々のできごとを記してみたり、
これからのことに思いをめぐらせてみたり。
手帳をひらくだけで、
じぶんとじっくり向き合う時間がうまれます。
そこに、おいしいお菓子と心地いい空間があれば、
さらに「いうことなし」だと思いませんか?
気まぐれに更新する「東京甘味手帳」は、
手帳タイムを過ごすのにぴったりな
東京のおいしいもの&お店案内です。

写真:川原崎 宣喜

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page_03 49年前からのフレンチトースト。 珈琲ワンモア

 
小さいころの話。
窓から差し込む光で目を覚ますと、
かすかに甘い香りが漂ってくる。
あれ、まだ夢の途中かな‥‥?

 
あ、やっぱり夢じゃない。
台所でお母さんが焼いてるんだ、
わたしの大好きな、あれを。

 
フレンチトーストの香りで目覚める朝。
なんでもない一日のはじまりが
いつもよりちょっとうれしくなった。

 
ひとり暮らしをしてからは
自分で作るようになったけれど、
今日みたいに、
“朝起きてからなんとなく気分のいい日”には、
フレンチトーストを食べに出かけたくなる。

 
昔ながらのシンプルな食パン。
たっぷり、“しみしみ”にひたる卵。
黄金色に輝く、年季の入った銅板。
ふわりと香るバターと砂糖のにおい。

 
これは、
わたしのために焼いてもらえる
フレンチトースト。

 
ナイフを入れるこの瞬間が、
たまらないんだよなあ。

 
未来のわたしのために、
いまのうれしい気持ちを残しておこう。

 
オープンから49年目を
迎えるという珈琲店。
このフレンチトーストも、
ずっと愛されてきたメニューなのだそう。

 
おいしいメニューやコーヒーはもちろん、
マスターと奥さまが
にこにこと出迎えてくれるのも、うれしい。

 
ああ、誘惑に負けて、
オーダーしてしまった‥‥。

 
49年前から作られてきた、
昔ながらのホットケーキ。
シンプルで、やさしくて、
毎朝でも食べたくなる味。

 
マスター、奥さま、
ごちそうさまでした。
また来ます。

珈琲ワンモア

JR総武線の平井駅から、歩いて3分ほど。
福井明さん、絹代さんご夫妻が
1971年に開店した喫茶店です。

ホットケーキやサンドイッチなどを作るのは明さん。
注文を取ったり、運んだりするのは絹代さん。
笑顔あふれるおふたりとの会話をたのしみに
訪れる常連客も多いようです。
毎朝、コーヒーを飲みに通い続けて
30年になる常連さんもいらっしゃいました。

お店の人気メニューは、
銅板で焼くフレンチトーストとパンケーキ。
銅板は目が細かいため、きれいに焼けるのだそう。
その代わり熱伝導が早く、
焦がさないために神経を使うのだとか。

明さんが大切にしているのは、
小さいころお母さんが作ってくれたような
昔ながらの味。
卵、バター、砂糖といった
シンプルな材料を使って
一枚一枚に愛情を込めて焼いています。

レトロな雰囲気の店内で
なつかしい味を堪能しながら、
のんびりと、手帳タイムを過ごせます。

◎フレンチトースト  550円

地元のパン屋さんが焼いた食パンと茨城産の卵を使い、
銅板でふわっと焼き上げたフレンチトースト。
甘く、しっとりとしたパン生地に
レモンのさわやかさがマッチします。

◎ホットケーキ  550円

美しさにほれぼれする、銅板で焼いたホットケーキ。
もちもちとした食感で、口に含めば
やさしい甘みがふわっと広がります。
煮詰めた砂糖にメイプルエッセンスを加えて作った、
自家製シロップとともにどうぞ。

珈琲ワンモア

東京都江戸川区平井5-22-11
営業:9:30〜16:00(LO)
電話:03-3617-0160
休み:日・月曜

 

輪切りのレモンがかわいらしいフレンチトースト。ナイフを入れると、もちもちの生地に染み込んだシロップが「じゅわあ」と出てきます。たまらないです‥‥。

(次回は3月中旬更新の予定です。おたのしみに。)

2020-02-22-SAT

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