日々のできごとを記してみたり、
これからのことに思いをめぐらせてみたり。
手帳をひらくだけで、
じぶんとじっくり向き合う時間がうまれます。
そこに、おいしいお菓子と心地いい空間があれば、
さらに「いうことなし」だと思いませんか?
気まぐれに更新する「東京甘味手帳」は、
手帳タイムを過ごすのにぴったりな
東京のおいしいもの&お店案内です。

写真:川原崎 宣喜

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page_16 季節を告げるフルーツパフェ

 
昔ながらの風情が残る
浅草のひさご通り商店街。
中華料理店、帽子店、洋品店‥‥と
お店が並ぶなかに、
ぱっと現れるコンクリート造りの
モダンな建物。
フルーツパーラー!

 
お店に入ってすぐのショーケースには、
目にもあざやかなフルーツが
行儀よくならんでいる。

 
カウンターの奥に目をやると、
魅力的な曲線を描くパフェグラス。
さあ、どのパフェにしようか。
一種類のフルーツを
たっぷり堪能できるのも捨てがたい‥‥。
迷いに迷った結果、
いろんなフルーツをたのしめる
「本日のフルーツパフェ」に決める。

 
パフェグラスの底には
オレンジ色のキューブが。
聞けば、
熟した甲州百目柿という柿を冷凍した、
「凍らせ柿」だという。
その上に投入されたのは、
フルーツの自家製アイスに、バニラアイス。
これだけでもう、わくわくしはじめる。

 
みごとな手さばきで
次々とカットされていくフルーツ。

 
りんごにバナナ、
パイナップルにオレンジ、
グレープフルーツ、キウイ。
え、これだけでもう何種類?

 
そして、いちご!
福岡産の、小粒のあまおう。

 
ホイップクリームがしぼられて、
できあがり。

 
きらきらと輝いて、
宝石みたい!

 
はやる気持ちを抑えて写真を撮って、
手帳をひらいてさっと絵を描いたら‥‥、
もう待てない! 食べちゃおう。

 
まずはじめに、
いちごにフォークをさしたら
そこからはもうノンストップ。
ひとつひとつの
フルーツのみずみずしさをかみしめながら、
どんどん食べすすめる。

 
フルーツのアイスも、凍らせ柿も、
底の底までおいしい。
ごちそうさまでした!

 
次にこのお店に来るときは、
いったいどんなフルーツの組み合わせに
出会えるかな。

 

フルーツパーラーゴトー

浅草・花やしきのほど近く、
ひさご通り商店街の中にあるフルーツパーラー。

昭和21年に「後藤青果店」として創業したこのお店は、
昭和40年、「ゴトーフルーツ」としてフルーツパーラーを併設。
いまから15年ほど前、建物の改築の際に
フルーツパーラーをメインに据え、
名前も「フルーツパーラーゴトー」と改めました。

2009年、先代である節子さんが病気になり、
デザイナーをしていた息子の浩一さんが後を継ぐことに。

接客業も、パフェづくりも慣れていなくて、
頼りになるおかあさんもお店にはいないため、
「最初の頃はお客さんが来るのが嫌だった」という浩一さん。
今では注文のたびにフルーツを手際よくカットして
日々美しいパフェを作り上げています。

柑橘系のパフェ、いちごのパフェ、
アメリカンチェリーのパフェ、メロンのパフェ‥‥と、
提供されるパフェは
季節によってどんどん変わります。
なかでも柑橘系のパフェに入る柑橘は、
1シーズンで30品種ほども変わるとか。

「いちばんの食べごろに、
いちばんおいしい状態でお客様に提供することを
心がけています。
ひとくちずつ、いろんな果物の個性を楽しめるのが
うちみたいなお店のある意義なのかなって思います」

大田市場や豊洲市場、そして生産者から直接‥‥と、
ながく青果店を営んで培ったさまざまなルートで
新鮮な果物、新たな品種を仕入れています。

「新しい品種がどんどん出てきますし、
産地を重視するお客様も増えていらっしゃるので、
フルーツの勉強に終わりはないですね」

ちなみにその後、節子さんは元気に復帰。
「今はすっかり、息子にこき使われてるわよ」と
笑いながら、毎日お店に立っています。
さらに昨年からは、
浩一さんの息子さんご夫婦もお店に。
いまでは家族三代で、旬の果物を提供し続けています。

◎本日のフルーツパフェ  950円

その日、いちばん食べごろのフルーツを
たっぷりと使って作られた
「本日のフルーツパフェ」。
毎日、その組み合わせは変わります。

伺った日のパフェには、
福岡産のいちごに津軽産のサンふじ、
愛媛産のキウイ。
ふつうのバナナよりもじっくりと時間をかけて
育成されたスウィーティオバナナ、
日本向けに改良された
糖度の高いゴールドパインアップル、
バレンシアオレンジにグレープフルーツ。

なんとアイスクリームにも
季節のフルーツが使われています。
この日はパイン+バナナ+オレンジ+りんごの
自家製アイスと、ヴァニラアイスの組み合わせ。

ホイップクリームは、
乳脂肪分47%の生クリームに、
42%の生クリームをくわえて
ほどよいバランスにしています。
その比率は、季節によって変えているのだとか。

この日、パフェの底に仕込まれた「凍らせ柿」は
十分に熟した渋柿を凍らせるという
東北の柿農家の知恵をヒントに
浩一さんがアレンジしたものです。

◎フルーツサンド ハーフサイズ 600円

フレッシュなフルーツがたっぷりとはさまれた
フルーツサンドも、
フルーツパーラーゴトーの名物のひとつ。
キウイ、バナナ、パインをベースにしながら、
季節ごとに旬の果物がくわわります。

パンは、おなじ浅草に店を構える
名店「ペリカン」のもの。
注文のたびに1枚1枚、パンを切り出します。
焼き立てのパンを仕入れたあと、
すぐ使うのではなく、
一日寝かせて水分をほどよく飛ばすのが
おいしいサンドウィッチの秘訣だとか。
フルーツサンドにはフルサイズ 1,000円もあります。

フルーツパーラーゴトー

東京都台東区浅草2-15-4
営業:10:00~19:00(L.O.18:30)
休み:水曜(ほか不定休あり)
電話:03-3844-6988
https://www.instagram.com/gotofruit/

 

カウンターの奥で、何種類ものフルーツが丁寧にカットされて器に盛り付けられていくのをちらちら眺めながらの待ち時間。こんな宝石みたいなパフェを独り占めするなんて、贅沢だなあ‥‥としみじみしました。

(次回は香り高いあの甘味。おたのしみに。)

2021-04-17-SAT

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