糸井 |
世間ではぼくと仲畑くんを
同期のコピーライターみたいに
思ってる人も多いけど、
仲畑くんのほうがずっと先輩なんだよね。
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仲畑 |
そうだったかな。 |
糸井 |
だって、二十歳ぐらいでデビューしたでしょ。 |
仲畑 |
それは単純に、オレが勉強嫌いで
大学行かなかったから早かったのよ。
高卒だったから、デビューが早かっただけ。 |
糸井 |
でも、実際、二十歳ぐらいのときに
英会話教室かなにかのコピーで
仲畑くんは賞をもらうんですよ。
いまはもう、そういう賞って
あんまり意味がないけど、当時は、
オトナとして通用する資格みたいなもんでさ。
だから、仲畑くんがそういう
広告のちゃんとした選手になったとき、
ぼくはまだなにもできてなかったから。
ぼくと仲畑くんが会ったのも、
その手の授賞式の席で、
仲畑くんが一番いい賞をとったんだ。
そのとき、おれは、なんか、
その年の新人として会場にいたんだよ。
たしか、そんな感じで会うんだ。 |
仲畑 |
で、その後、事務所に
ふらっと遊びに行ったりしてね。
ふたりでバンドをやったりして。
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糸井 |
(苦笑) |
仲畑 |
糸井くんがリズムギターとボーカルでね、
オレ、太鼓。
練習したんだけどね、
1回もステージはなかったね。 |
糸井 |
ステージに立ったことないのに、
服とかはつくったりしてね。 |
仲畑 |
大笑いだね、今から思えば。
スタジャンつくったんだよね。
でも、湯村(輝彦)さんの
イラストを刺繍したんだから、
そうとう、いいものではあるよね。 |
糸井 |
そうだね(笑)。
それを、VANに勤めているやつに
つくってもらったんだから。 |
仲畑 |
オレ、持ってるよ、まだ。 |
糸井 |
あ、すごい(笑)。
オレは、ものが残らない人だから、
どこにいったかわからないなぁ。 |
仲畑 |
ま、そんな出会いだったね、ぼくらは。
糸井事務所の社員たちも
知らなかったでしょう、きっと。 |
糸井 |
というか、いまの話は、ウソなんだけどね。
仲畑くん特有のウソ。 |
仲畑 |
え(笑)? |
糸井 |
バンドをつくるなんてずっとあとだよ。
バンドを急につくるわけないじゃないか!
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一同 |
(笑) |
糸井 |
とにかく、この人はね、
話をおもしろくしようとして
どんどん急カーブを切るんだよ。 |
仲畑 |
サービスするんだよな(笑)。 |
糸井 |
昔から、そういう人なんだよ。
たとえばオートバイで転んだときにさ、
ほんとは誰もいないところで転んだのに、
みんなに話すときは、
「オレがオートバイで転んだのを、
子どもがでっかいアメしゃぶりながら見てた」
っていう話にするんだよ。
でも、そんな子どもは、いないんだよ(笑)。 |
仲畑 |
うん(笑)。
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糸井 |
で、オレが気づいて
「その、アメ持った子どもは、ウソだろ?」
って言うと、うれしそぉーな顔してさ、
「‥‥わかる?」って言うんだ。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
だって、コピーライターどうしが
会ったとたんにバンドをつくるはずがないだろう。
人間、バンドをつくるために
生きてるわけじゃないんだから(笑)。 |
仲畑 |
そやね。そんな調子だと、
世の中、バンドだらけになっちゃうよ。 |
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(続きます) |