糸井 |
仲畑くんがよく遊びに来てたときは、
ぼくがフリーになったころでね。
小さい事務所にいると、
いろんな人が遊びに来て、
ものすごくおもしろかったんだよ。 |
仲畑 |
あれ、セントラルアパートのときかね。 |
糸井 |
うん、セントラルアパート。 |
仲畑 |
セントラルアパートのころは、
たしかにおもしろかったな。
当時はね、インベーダーゲームが
大ブームだったんだよ。
ふたりともハマって、そうとうやったんだよね。 |
糸井 |
やったねぇ(笑)。
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仲畑 |
喫茶店にあるインベーダーゲームを
ずっとやっててね、そこが10時で終わるんだ。
すると今度は12時までやってる店に行くわけ。
そこが終わると今度は2時までやってる店。
で、最後、いちばん遅くまでやってる店が
六本木にあったんだよね。
朝、4時とか5時までやってるの、そこは。 |
糸井 |
タクシーつかまえては、
インベーダーゲームを求めて
ジプシーのように動くんだ。
それで、誰かがやってたりすると、
「ああ!」って頭を抱えて、つぎの店を探す。
ところが、インベーダーゲームが
あんまり流行ったもんだから、
どこもいっぱいでできなくなっちゃって、
やる場所がなくなっちゃうわけ。
そしたらね、あるとき知り合いが
「糸井さん、穴場を見つけましたよ。
新宿2丁目です」って教えてくれたの。
あのとき、仲畑くんもいたっけ? |
仲畑 |
いたかもわからんな。
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糸井 |
2丁目っていうから、ゲイバーかなと思ったら
「ゲイバーじゃなくて、
ホモバーです」って言うわけ。
つまり、女装してる人とか、
おかま口調で話す人なんていなくて、
ふつうにそういう男性ばかりがいるんだよ。
で、こっちはとにかくインベーダーゲームが
やりたいわけだからさ、行くじゃない?
で、バンとドアを開けたとたんに、
カウンターにずらっと並んだ男たちが、
じっとこっちを見るんだ。
つまり、こう、品定めをしてるわけ。 |
仲畑 |
本気の人たちばっかりだからね、
そういうとこは(笑)。 |
糸井 |
で、その店の奥のほうに、
インベーダーゲームが1台ある。
その、男たちをかきわけた先にね。
それくらい、おれたちは
インベーダーゲームをやりたかったと、
そういうお話だ。 |
仲畑 |
ずーっとやってたねぇ。
おれより糸井くんのほうがうまいんだけどね。
でも、いちばんうまかったのは
カメラマンの鋤田さんだね。 |
糸井 |
鋤田さんはうまかった!
あのころ、鋤田さんは、
毎朝、インベーダーゲームが
置いてある喫茶店まで行って、入口のところで
その喫茶店に配られた新聞を読みながら
店員が来て鍵を開けるのを待ってたんだから。
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一同 |
(笑) |
糸井 |
で、店が開くと、電源も自分で入れて、
インベーダーゲームをはじめるんだ。 |
仲畑 |
やってたねぇ。
「インベーダーゲームは永遠だね」
って言ってたね。 |
糸井 |
いや、それ、
仲畑くんが言ったんだよ。 |
仲畑 |
あ、そう? おれが言ってた? |
糸井 |
そうだよ。で、オレは、
「そうかなぁ?」って言ったんだ。 |
仲畑 |
そやったかな。 |
糸井 |
「そうかなぁ?」って言ったら、
インベーダーゲームがなぜ永遠かってことを、
「こうだろ? こうだろ? で、こう。
これ、どう考えても永遠だ」って(笑)。
それ、はっきり覚えてる。 |
仲畑 |
あ、そう?
でもおれ、本当にそう思ったもんな。
「これは永遠だ!」と思った。 |
糸井 |
あと、筐体を買おうとしたんだよ。
インベーダーゲームそのものを。
だって「永遠」だからさ(笑)。 |
仲畑 |
おれ、「永遠」だと思ったのよ。
そしたら、「永遠」じゃなかったね。
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糸井 |
でも、「ゲーム」って意味では、
いまでもずっと流行ってるよね。 |
仲畑 |
あ、「ゲーム」としてはね。 |
糸井 |
「ゲーム」としては、
「永遠だ」という読みは
正しかったのかもしれない。 |
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(続きます) |