糸井 |
しかし、あらためて思うけれども、
ぼくと仲畑くんは、
もう、はっきりと人間のタイプが違うね。 |
仲畑 |
水と油ぐらい違うね。
でも、こうして続いているから
不思議なもんだよね、これ。
ま、馬が合ったんだな。
なにかというといっしょに遊んでた。
いっしょにバイク乗って、浅草あたりまで、
すき焼き食いに行ったりさ。
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糸井 |
団体旅行での相部屋、なんていうのもあったね。 |
仲畑 |
ああ、中国旅行ね。 |
糸井 |
ふたりで旅行するとね、
おれのほうが妻役を演じたりしてね。
甲斐甲斐しく、大げさに世話をやいたりする。
というのは、そういうふうに
演じる遊びとかをしないと、
旅行って、もたないから。 |
仲畑 |
旅って、続けてると、
だんだん不愉快になるから。 |
糸井 |
「あいつはおもしろくない」とかね、
「ふざけてる」とか、「メシが少ない」とか、
なにかと不愉快なことばかり
言いがちになっていくんだよ。
で、そうなると仲畑くんは、
もう、朝も起きないからさ。
毎朝、起こすために、いろいろ工夫するわけ。 |
仲畑 |
そうそう(笑)。 |
糸井 |
たとえば、布団かぶって寝てる耳元で、
「♪あなたひとぉりにぃ〜〜」って歌うんだ。
すると、ちょっと迷ったあとで、
「‥‥‥‥ヮ・ワワワー♪」と
小さな合いの手が返ってくる。 |
一同 |
(笑)
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仲畑 |
まぁ、不機嫌に寝ながらもさ、
いちおう、合いの手入れなきゃまずいな、
ぐらいは思うわけよ。 |
糸井 |
かと思うと、いきなり下男みたいになってね、
「お許しくださいまし!
お許しくださいまし、ダンナ様!」って、
寝てる人に向かって叫ぶわけ。
すると、布団の中から、
「‥‥‥‥ふっふっふっ」っていう笑い声が。
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一同 |
(笑) |
糸井 |
あれはいくつぐらいのときかね。 |
仲畑 |
30代かなぁ、あのときは。
しょうがないよなぁ。 |
糸井 |
しょうがないよねぇ(笑)。 |
仲畑 |
昔ね、おれと糸井くんは、
デキてると思われたときがあるんだよ。
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一同 |
(爆笑) |
仲畑 |
いや本当に。笑うけど。 |
糸井 |
福岡でね。 |
仲畑 |
そう、福岡にね、ふたりで、
なにかの審査員として呼ばれて行ったわけ。
すると、夜は、先方が
食事を用意してくれるじゃない?
そんときも、まぁ、まずいもん食わされたわけ。 |
糸井 |
わざわざ、まずいもんって
言わなくてもいいのに(笑)。 |
仲畑 |
でさ、糸井くんって
エビとかカニがダメじゃない?
甲殻類アレルギーだからさ。
もちろん、おれはそれを知ってる。
だから、お膳がパッと出たときに、
糸井くんはもう、ふつうのことだから、
なにも言わずに自分の皿の
エビとカニをおれの皿に移すわけ。
で、おれはその分、お返ししなきゃと思うから
ちくわかなんかを、こう、お箸で移す。
その、無言の動作が、あまりにも自然で‥‥。 |
糸井 |
周囲の人たちが
「このふたりは!」と(笑)。
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一同 |
(爆笑) |
仲畑 |
まあ、たしかに(笑)。 |
糸井 |
それは、思っちゃうかもなぁ(笑)。 |
仲畑 |
自然に、なんの相談もなく、
当然のことのように
こうやって料理を移し合ってたからね。 |
糸井 |
「おれ、カニ、ダメだからどうぞ」とか
言えばぜんぜん違うだろうけど、
ひと言もなく、それだからね(笑)。 |
仲畑 |
不埒なこと考えるもんだよ、しかし。 |
糸井 |
あとさ、そういう疑いってね、
なんていうのかな‥‥当人からは、
「違うよ」って言いづらいんだよね(笑)。 |
仲畑 |
ああ(笑)。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
訊かれたら「違いますよ!」って言えるけどね。 |
仲畑 |
ことさら言うのもさ、なんか変だしな。
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一同 |
(笑) |
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(続きます) |