page design : prigraphics
photo : 清水肇+吉田健人(prigraphics)・「ほぼ日」菅野
illustration:みどりちゃん

吉本家のキッチンに戸棚がついて、
カウンターのようになりました。
▲ビフォー。
▲ナウ。
トイレのドアの位置を変え、
厨房との仕切りがはっきりつきました。
お客さんが手を洗う場所も完備。
保健所の審査もこれできっとクリアです。
▲ビフォー。引き戸が廊下側でした。
▲ナウ。厨房とのあいだに壁ができました。
これで、廊下からしかトイレには入れません。
長いあいだ吉本家の玄関に立っていた
ユズリハの木を使って
猫たちのためのキャットウォークをつくりました‥‥
と言いたいところなのですが、
結局は中が腐っているところがあって、
使わなかったそうです。
▲ビフォー。
▲ナウ。キャットウォークは
木製電柱の廃材を利用してつくりました。
ハルノさんは
「工事があらかた終わってわかったのは、
いままでよりも家の中に
光が入るようになったことだなぁ」
と、うれしそうでした。
原マスミさんの絵を入れた
猫屋台の看板も完成しました。
ちいさくて、ひっそりしすぎている感じもします。
「この看板を目にした人に
ここはいったいなんなんですか、と訊かれたら
あれこれ説明せずに
まーまーお茶でも、と言う。
そんな感じになるのかな」
▲チャリのライトが照らします。
そして、11月。
施工者から施主に
完成した建物を正式に渡す
「引き渡し」が行われることになり、
スピークのみなさんが猫屋台に集まりました。
▲引渡し日の記念撮影。猫のシロミもいっしょ。
そして、この「引き渡し」と同じ日に
保健所による立ち入り検査も行われました。
▲立ち入り検査はやっぱり緊張します。
保健所の検査では、
下記のような項目が確認されました。
・戸棚の位置
・2層式のシンクのお湯の温度が規定どおりか
・冷蔵庫と冷凍庫の温度
また、それぞれに温度計を設置しているか
・トイレと手洗いの水の出がしっかりしているか
・客席が厨房と分かれているか
・厨房の入口に肘まで洗える手洗いがついているか、
水の流れはよいか
・トイレと厨房は明確に分け、距離を取っているか
ぜんぶちゃんとできているはずですが、
大丈夫かな‥‥?
保健所の方は、いろんなところに目を光らせて
見まわりました。
猫のシロミも息をひそめています。
「寒い時期ですから、
ノロウイルスに気をつけてください。
それから、営業については
個人のキャパシティを超えないようにしてくださいね」
という言葉をのこし、
保健所の担当の方は、
にこやかに去って行かれました。
わぁー、終わった。
ほっとした。
▲「営業許可交付のお知らせ」を受け取って
喜ぶハルノさん。
業種は「飲食店営業」です。
ハルノさん、はしゃいでおられます。
よかった。
「店の名前がなぜ『猫屋台』というのか、
そのあたりをつっこまれて訊かれたら
どう答えようかと思ってた!」
猫が気軽に訪ねてくる場所、とは、
こういう最後の関門では、答えにくいですね。
「うん、だから、さめざめと
『もの書きだった父が‥‥猫が好きで‥‥
だから、猫屋台‥‥ううう(泣)‥‥』
と答えようと思ってた」
アプローチのじゃり(ねこのフン畑)は
歩きにくいので片側に寄せ、
メインの道は
コンクリートで固めることになりました。
▲これで、酔っぱらいが足をとられて
じゃりの畑でタイヘンなことになるのは避けられます。
そこに、猫屋台最後の
かわいい装飾をほどこした者がいました。
いったい誰だったと思いますか?
それは、ハルノさんがお世話をしている、猫たちでした。
アプローチのじゃり道の横が
「コンクリート塗りたて」だったそのとき、
工事を我慢強く待ったみんなが
そこを歩いてくれたのです。
まるで、猫屋台の完成を
お祝いしてくれるように。
▲猫の足跡が模様になったかわいい道。
こんなふうに、猫屋台は
花びらが舞うようなかわいい足あとのついた道が
お客さまを迎えてくれるお店にしあがりました。
そして、12月。
猫屋台はオープンの日を迎えることになりました。
(つづきます)
2014-10-08-WED