猫屋台 nekoyatai

ハルノ宵子さんの、お料理と、猫と、父。

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猫屋台

第7回 最後のお祝い。

吉本家のキッチンに戸棚がついて、
カウンターのようになりました。


▲ビフォー。

▲ナウ。
トイレのドアの位置を変え、
厨房との仕切りがはっきりつきました。
お客さんが手を洗う場所も完備。
保健所の審査もこれできっとクリアです。


▲ビフォー。引き戸が廊下側でした。

▲ナウ。厨房とのあいだに壁ができました。
 これで、廊下からしかトイレには入れません。

長いあいだ吉本家の玄関に立っていた
ユズリハの木を使って
猫たちのためのキャットウォークをつくりました‥‥
と言いたいところなのですが、
結局は中が腐っているところがあって、
使わなかったそうです。


▲ビフォー。

▲ナウ。キャットウォークは
 木製電柱の廃材を利用してつくりました。

ハルノさんは
「工事があらかた終わってわかったのは、
 いままでよりも家の中に
 光が入るようになったことだなぁ」
と、うれしそうでした。

原マスミさんの絵を入れた
猫屋台の看板も完成しました。
ちいさくて、ひっそりしすぎている感じもします。

「この看板を目にした人に
 ここはいったいなんなんですか、と訊かれたら
 あれこれ説明せずに
 まーまーお茶でも、と言う。
 そんな感じになるのかな」


▲チャリのライトが照らします。
そして、11月。
施工者から施主に
完成した建物を正式に渡す
「引き渡し」が行われることになり、
スピークのみなさんが猫屋台に集まりました。


▲引渡し日の記念撮影。猫のシロミもいっしょ。
そして、この「引き渡し」と同じ日に
保健所による立ち入り検査も行われました。


▲立ち入り検査はやっぱり緊張します。
保健所の検査では、
下記のような項目が確認されました。

・戸棚の位置
・2層式のシンクのお湯の温度が規定どおりか
・冷蔵庫と冷凍庫の温度
 また、それぞれに温度計を設置しているか
・トイレと手洗いの水の出がしっかりしているか
・客席が厨房と分かれているか
・厨房の入口に肘まで洗える手洗いがついているか、
 水の流れはよいか
・トイレと厨房は明確に分け、距離を取っているか

ぜんぶちゃんとできているはずですが、
大丈夫かな‥‥?



保健所の方は、いろんなところに目を光らせて
見まわりました。
猫のシロミも息をひそめています。

「寒い時期ですから、
 ノロウイルスに気をつけてください。
 それから、営業については
 個人のキャパシティを超えないようにしてくださいね」
という言葉をのこし、
保健所の担当の方は、
にこやかに去って行かれました。

わぁー、終わった。
ほっとした。


▲「営業許可交付のお知らせ」を受け取って
 喜ぶハルノさん。
 業種は「飲食店営業」です。

ハルノさん、はしゃいでおられます。
よかった。

「店の名前がなぜ『猫屋台』というのか、
 そのあたりをつっこまれて訊かれたら
 どう答えようかと思ってた!」

猫が気軽に訪ねてくる場所、とは、
こういう最後の関門では、答えにくいですね。

「うん、だから、さめざめと
『もの書きだった父が‥‥猫が好きで‥‥
 だから、猫屋台‥‥ううう(泣)‥‥』
 と答えようと思ってた」



アプローチのじゃり(ねこのフン畑)は
歩きにくいので片側に寄せ、
メインの道は
コンクリートで固めることになりました。


▲これで、酔っぱらいが足をとられて
 じゃりの畑でタイヘンなことになるのは避けられます。

そこに、猫屋台最後の
かわいい装飾をほどこした者がいました。
いったい誰だったと思いますか?

それは、ハルノさんがお世話をしている、猫たちでした。

アプローチのじゃり道の横が
「コンクリート塗りたて」だったそのとき、
工事を我慢強く待ったみんなが
そこを歩いてくれたのです。

まるで、猫屋台の完成を
お祝いしてくれるように。


▲猫の足跡が模様になったかわいい道。
こんなふうに、猫屋台は
花びらが舞うようなかわいい足あとのついた道が
お客さまを迎えてくれるお店にしあがりました。

そして、12月。
猫屋台はオープンの日を迎えることになりました。



(つづきます)
2014-10-08-WED