#10 読者からの質問の巻 その3

講師

「前回はちょっとむずかしかったでしょうか。
 今回はさくさく答えてまいります」

司会

「弊社のにわかカメラブームと
 みなさまの情熱が重なっているのでしょうか、
 カメラ選びの質問が多うございます」
シェフ 前々回の質問で、
「右手が不自由な人でも使いやすい
 おすすめのカメラはありますか?」

という質問がありましたね。
菅原 はい。サンヨーの「Xacti」(ザクティ)
おすすめしました。
シェフ じつはあの回をうけて、
もう一通、質問をいただいたんです。
こちらです。
しつもん

今日の質問にあった、
「右手が不自由な人にでも
使いやすいカメラ」。
まさに私が質問したかったことでした。

うちの父は、もともと
ライカを持ち歩くくらいの
カメラ&写真好きなのですが、
病気で右手が不自由になって
ライカはちょっと無理
ということになってしまいました。
「でも、やっぱり写真はとりたいなー」
ということだったので、
ならば軽めのデジカメ
を買ってあげようということになりました。

もともと左利きの父。
本当は左手で操作できるものがあれば
一番良かったのですが、
量販店の店員さん(親切な人でした)の
答えは「うーん。ありませんねー」。

多少指が震えても
なるべくボタンを押しやすいもの、
シャッターを押すとき
どうしても腕が動いてしまうので
手振れ防止機能のあるもの、
ということでLUMIXを買い、
ミニ三脚もつけられるようにしました。
でも、やっぱり不自由な右手では
操作に限界があって
なかなか使いこなしきれません。

たくさんの機能はいらないから、
構造と設計がしっかりしていて、
左手でも、不自由な右手でも
操作がしやすい
大き目のボタンがついていて、
取り扱い説明書が思いっきり
わかりやすいデジカメがあれば、
もっと多くのお年寄りが
カメラを持って
お出かけしたくなるんじゃないのかな、
散歩が楽しくなるんじゃないかな
と思ったのでした。

で、ながながと書きましたが、
カメラを上下逆さまにして写してみるって
やっぱり構図への影響大でしょうか。
日付モードをOFFにしてしまえば、
シャッターが下側に来る以外は、
左利きにとっては操作上の問題は
少ないんですよね。
デジカメの場合、液晶を見ながら撮れますから。

(匿名さん)

シェフ ‥‥ということです。
「カメラを逆さにしてみる」
っていうのはどうなんでしょう?
菅原 うーん!
構造的には大丈夫だと思うけれど、
カメラメーカーはその使い方を
推奨していないと思います。
そしてこれは、じっさいにやってみると、
とても使いづらいと思いました。
シェフ ぼくもやってみたのですが、
シャッターボタンが
右上にあるカメラがほとんどなので
逆さにして左手でもつと、持ちづらいうえに、
液晶画面が手でふさがっちゃったりして
とても見づらかったです。
じゃあ携帯電話はどうかなと思って
試してみたんですけれど、
電話をかけるのは左右どちらの手でも
できるんですが、カメラ機能になると、
やはり右手で使うように設計されていると
思いました。
なかなか、むずかしいところですねー。
やはり縦型がよいのかな。
そうそう、「Xacti」、
ためしてみましたよ。
左手で持つと、こう。
 
  それで撮った画像が、これです。
 
  夜中だったんで
被写体が「徹夜で原稿を書く山下」という
ちょっと、なんなんですけど、
左手でうまく撮れましたよ。
菅原 (笑)ちゃんと撮れてます。
じつはあれから、ぼくも、
カメラやさんでいろいろ試してきました。
そうしたら、もうひとつよさそうなものを
見つけましたよ。
シェフ おお、それは?
菅原 キヤノンの「PowerShot TX1」
っていうカメラです。
シェフ 「Xacti」とおなじ、縦型ですね。
菅原 これは手ぶれの補正機能もついていますし、
キヤノンのカメラですから
とても写真的な写真が撮れると思いますよ。
ぜひカメラやさんで試してみて、
選んでみてはいかがでしょうか。
シェフ はい、ありがとうございました!
ではつぎの質問にまいりましょう。
しつもん

わたしは最近デジタル一眼レフを
はじめたばかりです。
質問はカメラの重さについてです。
わたしが使用しているのは
Canon Kiss Digital Xです。
主人はCanon 40Dですが、
つい先日Canon 5Dも手に入れました。
重さはもちろん違うのですが、
撮影で持ち歩いてみると
計測したほどの違いを感じないので不思議でした。

密度の違いやグリップの形状の違いでは? と
主人と話していたのですが、
あまり納得できていません。
カタログの重さだけを見て、
自分に大きなカメラは無理だと
決めてしまう方もいるかもしれない、
と思うともったいない事です。
なにか明快な理由があるのでしたら、
ぜひ教えてください。
よろしくお願いします。

(若林さん)

菅原 おっしゃるように、
カタログで決めてしまうのは間違いですよね。
シェフ はい、やはり持ってみないと。
ほんとは一日くらい借りて
持って歩いてみたほうが
いいと思うんですけどねー。
菅原 まわりに持っている人がいれば
ぜひ借りてそうしてみたほうがいいですね。
気に入ったバッグやアクセサリーでも
最初は気にならなかった重さが
一日持っていると
重くていやになるってことが
あるではないですか。
シェフ はい。これは個人差がありますよね。
菅原 人にはそれぞれの
手の大きさというものもありますし、
持ちやすいかたちも異なると思いますし。
多少重くても
軽く感じる場合もあるでしょうし、
逆さまに、軽くても
持ちにくくて違和感を
覚える場合もあるでしょうね。
シェフ ちなみにキヤノンは、入門モデルの「Kiss」から
「40D」「5D」と上級機種になるにつれ
重たくなっていくんですよね。
調べましたら、「Kiss」の最新機種の「X」が
バッテリーを除いた本体の重さ510グラム、
「40D」が740グラム、「5D」が810グラム、
さらに上の機種の「1Ds Mark III」というのは
1210グラムもありました。
菅原 ニコンの「D3」も1240グラムですよ。
上位機種はほんとうに重いです。
それだけのことが、もちろん、あるけれど、
これはもうプロ仕様だと思ってください。
シェフ なにげなく散歩に‥‥っていうのとは
ちがうかもって人が多いでしょうね。
ぼくはけっこう重いの平気ですけど
オリンパスのE-420
軽さに感動しましたよ。
小さくて軽いからおもちゃっぽい、
ということもなかったですし、
これもカタログで見ているときには
わからなかった印象でした。
菅原 ぜひとも手にとって、
確かめてからカメラを決めて下さいね。
シェフ はい。では次の質問です。
しつもん

革命的に小さくて軽い(という噂の)
「オリンパスE-420」が気になってます。
が、「フォーサーズ」という
耳慣れない規格で作られているそうで、
あと一歩が踏み出せません。
この『フォーサーズ』とは何なのでしょうか?
また、この『フォーサーズ』には
一般的なレンズははまらないのでしょうか?

(JUJU)

菅原 「フォーサーズ」は、オリンパスと、
コダックによりはじまった
デジタルカメラの共通規格の名前ですね。
4/3型という小型CCDがあって、
これが名前の由来です。
シェフ 「Four-Thirds」なんですね。
知らなかったなあ。
菅原 そのCCDの規格にそろえて
オリンパス、パナソニック、ライカから
カメラ本体が発売されていて、
交換レンズはそれに加えてシグマからも
出ていますよ。
つまり、本体もレンズも
専用のものになってしまいますが、
こうやって規格を、各メーカーが共有するのは
とてもいいことだと思います。
シェフ JUJUさんのおっしゃる
「一般的なレンズ」‥‥他規格のレンズっていう
意味だと思うんですが、
つけられないと。
菅原 マウントアダプターというものをつければ
レンズによっては使えますが‥‥、
やはり同規格のレンズのほうがいいでしょうね。
レンズとカメラ本体のおたがいの性能を
いちばんよく引き出す組み合わせですからね。
シェフ はい。フォーサーズについては
専用のホームページがありますので
そちらをごらんくださいませー。
では次の質問です。
しつもん

おでかけした先で写真を撮るのが
(上達しない程度に)好きなタチです。
ペンタックスの結構古い
コンパクトデジカメを使っています。
液晶画面が小さくて暗いので
ちょくちょくファインダーを
覗いて撮るのですが、
一眼レフと違って
ファインダーで覗いた絵と
液晶に写る絵(実際撮影される絵)が
微妙にズレているような気がします。
ズレてますよね?
レンズとファインダー窓の
アングルの違いだから
しょーがないとは思うのですが。
今話題にのぼってるGRも
後付けファインダーだったら
同じ問題が発生するのではないですか?
これはどうすれば良いのでしょう。
ファインダーを覗きつつ
狙った構図を撮りたいなら
液晶画面とのズレを考慮に入れつつ
撮影するしかないのかしら?
ご教示お願いいたします。

(ちゅんちゅん丸)

シェフ ずれてますか?
菅原 はい、ずれています。
シェフ そうですよね。
もうそういうものかと思って
「いいや」って思ってました。
これは上位機種だと
大丈夫ってことなんでしょうか。
菅原 いや、実は、ほとんどの一眼レフも
見えているものと写っているものは
同じではないんですよ。
現在のカメラは、
視野率95パーセントぐらいのものが多いようです。
シェフ いいカメラでも
5%の誤差はあるんですね。
100%ってむりなんですか?
菅原 いいえ、もちろん、
視野率100パーセントの一眼レフもあります。
各カメラによって個体差があるので、
一概には言えないってことなんです。
精度の高いレンジファインダーは、
精度の低い一眼レフよりも
正確な場合がありますしね。
シェフ レンジファインダーっていうのは
いわゆる「ライカM型」みたいなカメラで、
2つの像を重ね合わせてピントを決める、
慣れないとむずかしいけど
好きな人はほんとうに好きなカメラですよね。
菅原 「ほぼ日」でも使っているひとがいますね。
えーっと、スガノさんでしたっけ。
シェフ はい、エプソンのRD-1Sという
カメラを使っています。
 
菅原 ちょっと趣味的かもしれないですが、
たのしいカメラですよ。
ぼくの事務所にも1台あります。
シェフ ライカのレンズが使えるんですよね。
なんでもスガノは、
実家のおとうさんがカメラ好きで、
このレンズをもらったんだそうです。
そのレンズがつくデジカメを探したら
これだったんだそうですよ。
「制作中」にスガノが撮った写真を
載せてるんですけど、
どくとくの雰囲気があって
よく読者のみなさんから
「カメラはなんですか」って
聞かれるんですが、じつはこれだったんです。
 
▲スガノがRD-1Sで撮った、コイケ。
 
▲スガノがRD-1Sで撮った、奥野。
シェフ ということで、今回はこのへんで。
またしばらくしたら「質問編」、
おつきあいくださいませ。
次回は、通常更新にもどります〜。
菅原 どうもありがとうございました!
カメラと一緒に、
よいゴールデンウィークを
おすごしくださいね。
(これで「読者からの質問の巻」は
 終了です。次回のテーマをおたのしみに!)
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2008-04-25-FRI