第2回 ついて、ついて、ついて‥‥食べる!(土楽にて)

糸井重里と数名の乗組員が、
伊賀焼の窯元「土楽」さんをたずねています。
もちつきを、するために。
ついたおもちを、食べるために。

あらためて、「土楽」と福森さんのこと。

伊賀焼の窯元「土楽」の七代目当主、
福森雅武さんと「ほぼ日」のつきあいは
ずいぶんと長いものになります。
「土鍋」をいっしょにつくらせてもらったり、
福森さんが自ら丹念に育てた野菜をつかった
土鍋料理をごちそうになったり。
福森家では代々「もちは当主がつく」と
決まっているそうなのですが、
この日はあいにく
お父さんの福森さんが急用でご不在でした。


▲以前、もちつきにおじゃましたときの福森雅武さん

でも大丈夫。もちつきは行われます。
今回は福森家のお母さんをはじめ、



跡継ぎである四女の福森道歩さん、



お弟子さんの中西 州(しゅう)さんたちが‥‥



たのもしくサポートしてくださいました。




─── す、すごい、4段重ねのセイロ‥‥。
湯気が、湯気が‥‥。
お母さん 今日は、1臼につき、もち米1升ずつ。
全部で6臼分を
ついてもらおうと思っています。
ーー 6升‥‥つまり一升瓶で6本分!
お母さん はい(笑)、そうですよー。
最初は白いおもちをつきます。
そのあとに、
ごま、粟(あわ)、ピーナッツ、からすみ、
よもぎを用意していますので
それぞれをまぜて、おもちをつくります。
─── いつもそんなにたくさんの種類を?
お母さん そうですね。
だいたい5種類くらいはつくりますね。
─── へぇ〜! たのしみです。

ちなみに、土楽さんでは、
毎年12月30日にもちつきを
されているとうかがいました。
道歩さん そうですね、12月29日にお寺でもちをついて、
30日に家でつくのが恒例です。
州さん 年末だけじゃなくて、
よもぎが手に入ったら、ついて、
祭りがあったら、ついて‥‥というふうに
しょっちゅうついてますよ、ここの一家は。

▲中西 州さんは、助っ人にかけつけてくださった福森さんのお弟子さん。
 いまは大阪の枚方市で陶芸教室を開かれているそう。
 すてきな作品をつくる陶芸家さんです。

道歩さん さあ〜、もち米が蒸しあがりましたよー!
全員 おおーーーーー!(拍手)

▲あつあつに蒸されたもち米、到着。
道歩さん お湯を入れて十分に温めておいた臼に、
もち米を入れて‥‥。
最初は「小突き」という作業で、練っていきます。

▲リズミカルにまわりながら、杵でグイっグイっと。
 手伝ってくれているのは、道歩さんのご友人で
 彫刻家の岸野承さん。

糸井 ぼくもこの小突きというのを
やらせてもらったことがあるんですが、
これだけでハァハァ言っちゃった覚えがあります。
道歩さん この作業、けっこうキツいんですよ。
州さん それっ、ふんっ、ほいっ(小突いている)‥‥‥
‥‥よし、と。
このくらいかな。

小突きが終わりました。
じゃあ、ついていきます。
─── はい‥‥おねがいします。
(前のめりに見守る乗組員たち)
州さん ‥‥よっ。

  ばちーん!
─── おおーーー。
音が、音がすごい!

びたーん!

糸井 やっぱり、いいねぇ(笑)。

ぼすっ!

─── 「はいっ!」「もういっちょ!」っていう、
手返しの掛け声も‥‥

ずどっ!

─── リズミカルで、盛り上がりますね。

ぱーーん!

─── かっこいいなぁ‥‥。

▲州さんはつきながら、おもしろトークをはさみます。
 最近食べたおいしいものの話など。

州さん おしゃべりしてるうちに(つきながら)‥‥
だいぶつけてきましたね。
‥‥ぼちぼちかな?

▲「あと10回!」と返し手さん。
州さん (10回つきます)
よっ、はっ、んっ、はいっ、ほっ、
ふんっ、ふんっ、ふんっ‥‥よいしょー。

全員 わーーーーー!!(大拍手)
州さん ちょっと(すこし息が荒い)‥‥
今回のもちは手強いですね。
粘り気があって、はねかえしてくる。
道歩さん つき終わったらすぐ、
あつあつのうちに「半切り」という器に入れて、
打ち粉をまぶします。

道歩さん ここから食べやすい大きさに丸めていくんですが、
最初についたおもちは
お供え用の鏡もちにしますね。
このままこうやって、型に入れて‥‥。

▲鏡もちの型には、土鍋を使っています
─── なるほど。
‥‥おおっと!
すでに2回めのもち米が投入されています。

州さん 「小突き」までは、やりますからね。
そしたら今度は、みなさんがついてくださいよ。
─── われわれも、つかせていただけるんですね。
州さん もちろんです。
よっ、うしっ(小突いている)‥‥‥
せっかく来たのに、ついてもらわないと‥‥
それっ、ほいっ‥‥
‥‥よし、と。
さ、いきましょか。誰からいきます?!

▲ゆーないとが、いった! とーりゃあ!

びすっ。べすっ。ぼすっ‥‥

▲「いい音がしないわあー(笑)」

▲山下も、チャレンジ!

ぱすん。びちっ。べちん‥‥

▲「真ん中を叩きたいのに、真ん中にいかなーい!」

▲やえが、つく。淡々と、つく。

ぽく。ぽく。ぽく。ぽく‥‥

▲「‥‥‥‥(無言)‥‥」

▲田口は、勢いよく!

ばしっ。べこん。ずこっ‥‥

▲「きっつぅ(笑)、無駄な力が入ってるんかなぁ」

▲モギが、もちを丸める。
(この前日、モギは重い物を持ち上げようとして腰を故障。
 ドクターストップにより、もちつきができません。
 コルセットを巻いて、取材に参戦しました)

糸井 じゃ、おれもいきます。

▲「土楽」で何度かのもちつき経験がある糸井重里。

どんっ。ばん。ぼすっ‥‥

▲「州さん、なにかおもしろトークを!」

糸井重里のもちつき動画をどうぞ。(45秒)
州さん お疲れ様です(笑)。
かわります。
つきたくなったら、いつでも言ってくださいね。
‥‥よっ。

杵を振り上げる州さん

ずばーんっ!!
全員 ‥‥‥‥(音がぜんぜんちがう)。
道歩さん さあ、できあがったおもちから
まるめていきまーす。

お母さん ごまや粟は、
臼のなかで、つきながらまぜますね。

▲香ばしいごまのおもち。

▲粟もち。うすい黄色がきれい。

▲ピーナッツは食感をたのしむために粒を残して。

▲からすみは、軽くあぶって練り込みます。

▲青々とした香りがたまらない、よもぎのおもち。
道歩さん ぜひ、つきたてを食べてください!
大根おろしで!
糸井 からみもちだ!
こーれは、うまいぞぉー。
しょうゆをちょっとたらしてね。

道歩さん きなこ砂糖と、あんこも用意しました。
お好きな食べ方で、どうぞ!


─── いっただきまーーす!(それぞれが夢中に食べる)

「うまい!」

「おいひい!」

「くぅ〜〜、たまらないね」

「たまらな〜い!」

(まだまだ食べます、つづきます!)
2014-01-02-THU
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