ほぼ日 |
中身については、変わってきてるんですか?
スタンダードなノートですし、
そんな劇的な変化は、なさそうですけど‥‥。 |
村上 |
はい、「Campus」が好きで
長く使ってくださってるお客さまに対して、
機能的な面で
あまり変わらないものを提供していきたいので、
大きな変更はしていません。 |
ほぼ日 |
同じノートを続けて使える、というのが、
「Campus」のいいところですもんね。 |
村上 |
ただ、細かなところでは工夫をしてるんですよ。
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ほぼ日 |
ほう、細かなところ。 |
村上 |
ノートって、紙面のまんなかでふたつに折ったり、
端から3センチくらいのところに
線を引いたりして使う人が、多いんですけど‥‥。 |
ほぼ日 |
ああ、そうですよね、なぜか。
そうしてたような気がします、みんな。 |
村上 |
たぶん、日本語って改行せずに
だーっと横書きするのに向いてないと言うか、
読みにくくなっちゃうんですよ。 |
ほぼ日 |
ああ、それで、紙面を効率よく使うために
まんなかで2等分してた‥‥のかな? |
村上 |
そこで、現行の「Campus」の紙面には、
中央と、左端の2カ所、
三角のマークを、打ってあるんです。 |
ほぼ日 |
つまり、タテ線を引くときの目印に?
はー、なるほど。
いや、この工夫はほんとに細かい‥‥。
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村上 |
ええ、よーく見ないと気づかないので、
今まで知らなかった人も多いと思うのですが‥‥。 |
ほぼ日 |
はい、たしかにこれは、いま知りました!
でも便利そうですので、
今後、活用させていただきます(笑)。 |
村上 |
でね、ノートの使いかたをリサーチしてみると、
紙面の右端の数センチには書き込まずに
余白になっているという人が、
55%くらいだったかな、けっこう多いんです。 |
ほぼ日 |
ムダになってるんだ、ノートの右のほうは。 |
村上 |
そこで生まれたのが「スリムB5」というサイズ。
これは、B5サイズの「左右」を
「3.3センチ」短くしたシリーズなんです。
通常のノートサイズより幅が3.3センチ、スリムなつくり。 |
ほぼ日 |
へぇ〜、細長い。ムダをカットしたわけですか。 |
村上 |
はい、それだけじゃないんです。
日本人の平均的な手のひらサイズは
195ミリメートルなんです。 |
ほぼ日 |
はぁ、195ミリ。 |
村上 |
そのサイズの手のひらで持ったときに
「持ちやすいと感じる」のは、
この「スリムB5」の横幅である
「146ミリまで」と答える人が、9割以上‥‥。 |
ほぼ日 |
えー、ようするに「持ちやすい」と。 |
村上 |
そうです。説明がややこしくて、すみません(笑)。
ふつうのノートよりも持ちやすくて、
片手に収まるから立ったままでも書きやすい。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
村上 |
さらに、この「スリムB5」というサイズは
開いたときに、
頭をほんの少し動かすだけで読める範囲
である
注視安定視野に、ほぼ収まるサイズで‥‥。 |
ほぼ日 |
はい、あの、
「頭をほんの少し動かすだけで読める範囲」
というのは何でしょうか。 |
村上 |
上下232ミリメートル、
左右323ミリメートルの範囲のことなんですが‥‥
えー、この資料の図をごらんください。
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ほぼ日 |
はぁ、なんとなくわかりました。 |
村上 |
つまり、なにが言いたいかというと、
「スリムB5」というサイズは
ふつうのノートより「読みやすい」幅だということ。 |
ほぼ日 |
そんな、頭をほんの少し動かす角度のことまで
ノートづくりのために、研究しているとは‥‥。 |
村上 |
ええ、まぁ(笑)。 |
ほぼ日 |
ちなみに、その「リサーチ」というのは、
実際に使っているノートを
見せてもらうとか、そういうことですか? |
村上 |
はい、ページのコピーを取らせていただいて、
いろんな観点から、分析をしています。
ここにあるのは、100人ぶんの高校生のノートですが‥‥。 |
ほぼ日 |
100人! すごいなぁ‥‥。
あ、これは歴史のノートですかね。
「天下統一のうごき」。
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村上 |
この人は、紙面をめいっぱい使うタイプですね。 |
ほぼ日 |
ああ、国語の場合は、こうやってタテにしてました!
「下二段活用」とか書いてある。‥‥古文かな?
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村上 |
最近の高校生は、色をたくさん使うみたいですね。
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ほぼ日 |
なるほど‥‥こういうリサーチから生まれた
商品のひとつが
あの、話題になった、通称東大ノートですか?
「キャンパスノート(ドット入り罫線)」
(通称「東大ノート」)。 |
村上 |
東大合格生のノートのとりかたから生まれた
キャンパスノートのことですね。
あれも「Campus」シリーズのひとつですけど、
ちょっとまた、別なんですよ。
出版社の文藝春秋さんと
太田あやさんというライターのかたが
東大合格生は、ノートのとりかたが美しい
ということに注目されたのが、
そもそもの、きっかけだったんです。 |
ほぼ日 |
なにか本を出版されてましたよね? |
村上 |
ええ、『東大合格生のノートはかならず美しい』という本。
で、その本との共同企画として
実際のノートを開発したんです。 |
ほぼ日 |
ははぁ。 |
村上 |
太田さんは、本を書くにあたって
「東大合格生のノート」を
200人ぶんくらい、集めてらしたんですが‥‥。 |
ほぼ日 |
こんどは200人ですか。すごい(笑)。 |
村上 |
それら太田さんが集められた「東大合格生のノート」を
研究して開発したのが
「東大合格生のノートのとりかたから生まれた
キャンパスノート」として有名になった商品なんです。
このドット入り罫線の「Campus」がそうなんです。
こちらが試行錯誤の末にたどりついた、
「美しいノート」をつくる解決策「ドット入り罫線」。 |
ほぼ日 |
罫線にドットを打った‥‥という発明ですよね。 |
村上 |
はい。罫に等間隔のドットを打つことによって
文頭をキレイにそろえることができ、
数学の図形やグラフも、
フリーハンドで美しく描くことができるんです。
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ほぼ日 |
あの‥‥こう言っては何なんですけど、
「東大合格生の」‥‥という謳い文句からしても
なんかもっと「ハデな」といいますか、
「なるほどーっ!」という仕掛けがあるのではと
思ったりしたんですが‥‥。 |
村上 |
まぁ、見ためは地味ですよね(笑)。 |
ほぼ日 |
こういうノートが、
今までなかったことのほうが、不思議なくらいで。 |
村上 |
ええ。 |
ほぼ日 |
東大合格生のノートのヒミツが
「キレイに書いてただけなのか?」という疑問も、
うっすらとですが、あります。 |
村上 |
研究の結果、東大合格生のノートって
復習のために見返したときに、
学んだことを効率的に覚えられるノート
だったんです。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
村上 |
つまり「何のために、どうノートを取るのか」
ということが、明確なんですね。 |
ほぼ日 |
効率よく覚えるために、キレイに書く‥‥と。 |
村上 |
そう。文頭がそろっていたり、
項目がキレイに整理されているということは、
単に「見ためが美しい」だけじゃなく、
頭のなかを整理する、
意味を持った「美しさ」だったんですね。 |
ほぼ日 |
はー‥‥。 |
村上 |
そこで、紙面をそうやって美しくみせるための
サポートをしてくれるような機能性が
新しいノートには、必要だと気づいたんですよ。
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ほぼ日 |
それが「ドット入り罫線」だった、と。 |
村上 |
はい、とてもささいなことのように見えますが、
試行錯誤の末、ようやくたどり着きました。 |
ほぼ日 |
その結果、えー‥‥売れたんでしたよね? |
村上 |
はい、おかげさまで、
発売4ヶ月で、150万冊くらい売れました。 |
ほぼ日 |
ドットをつけて、150万冊。うわー‥‥。 |
村上 |
ええ。‥‥見ためは地味なんですけどね(笑)。 |
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<つづきます> |