今から、だいたい1年くらい前のことです。
当時、発売されたばかりの『はたらきたい。』の
関連コンテンツとして
「社会人がえらぶ人気企業アンケート」
という企画をやったのです。
これは、社会ではたらく社会人のみなさんに
「あらためて就職したい会社」を
アンケート方式で、たずねてみるという試み。
毎年、春先になると発表される
「学生の就職人気ランキング」と見比べてみると、
なかなか興味深い結果が出たので、
くわしくはこちらを読んでいただきたいのですが‥‥。
そのなかでひとつ、
「へええ、そうなんだ」という会社がありました。
下のランキング表を、ごらんください。
ユーザーとして、
製品もしくはサービスに好感が持てるから
という理由で
得票数が多かった企業の、第3位のところ。
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「社会人がえらぶ人気企業アンケート」(2008年実施)より。
そうです、あのノートなどの文房具や、
オフィス家具などで知られるコクヨという会社です。
まぁ、全国的に有名な企業ですし、
こういうランキングに入ってくることじたいは、
べつに驚くことじゃないかもしれません。
でも、学生の人気ランキングでは常連中の常連、
ソニーやら資生堂やらANAなんかよりも上位とは。
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大阪市営地下鉄千日前線・新深江駅を出るとすぐ。KOKUYOの本社ビル。
なにしろ、上にいるのは「Wii・DS」の任天堂と、
「ディズニーランド」のオリエンタルランドだけ。
なんで、そこまで上位に来てるんでしょうか。
ここで、コクヨがランクインしたのは
製品もしくはサービスに好感が持てるから
転職したい企業ランキングです。
つまり、「コクヨに転職したい人」のなかには、
給料がいいとか、有名だとか、大きくて安定してるとか、
そういうことよりも
コクヨの製品が好きだから
と思ってる人の割合が、とても多いということ。
むむー。製品って「Campus」ノートとかですよね。
作っているものが、
それだけみんなに好かれてるコクヨって、どんな会社?
なんか、人によろこばれる仕事をしている会社みたいで
ちょっとうらやましいし、おもしろそうだぞ。
‥‥というわけで、
コクヨさんの大阪本社を訪問してきました。
2008年、暮れも押し迫ってきた季節のことです。
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でも、そんなコクヨという会社を
われわれ、詳しくは知りませんでした(すみません!)。
もちろん、代表的な商品「Campus」ノートは
学生時代に使っていたし、
横山やすしさんや桂文珍さんが
宣伝していた学習机「くるくるメカ」のことは、
CMともども、かなり鮮明に覚えています。
でも、コクヨってそもそも、どんな会社‥‥?
次回からの取材本編をはじめる前に、
ウォーミングアップとして、
コクヨさんのことを、ちょっと紹介しておきましょう。
まず、創業は1905年。
当初は、和式帳簿の表紙を売る店として
その歴史をスタートさせました。
創業者は黒田善太郎さんというかたで、
お店の名前は「黒田表紙店」。
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こちらが創業者の黒田善太郎さん。
当時の商人さんが使っていた和式帳簿の、
表紙だけを売るというお店でした。
なぜ「表紙だけ」‥‥?
そもそも、和式帳簿の「表紙」というのは、
帳簿全体の価格の「5%」しかなく、
コクヨさんのホームページにも
「割の合わない商売」
「ニッチな仕事」‥‥などと
当時の商いのことが書かれていたりします。
しかし、善太郎さんは信念を持って事業に打ち込み、
じょじょにじょじょに、店を大きくしていきました。
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大阪の南堀江に建てられた創業当時の社屋‥‥
というか「黒田表紙店」の店構え。
ちなみに、1905年ということは、今年で創業104年。
そんなに老舗だったとは、知りませんでした。
余談ですけど、100年以上の歴史を持つ会社って、
日本全国160万ある会社のうち、1%にも満たないそうです。
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和式帳簿の「表紙のみ」を売っていた黒田表紙店ですが、
その後、事業の拡大につれ「商標」が出来てきます。
それが、こちら。そうです、これで「コクヨ」と読むのです。
作ったのは、創業者の黒田善太郎。1917年のことでした。
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最初のロゴマーク「朝日ににおう山桜」ではまだ漢字表記だった「国誉」。
この商標「朝日ににおう山桜」には
「自分の立身出世を温かく見送ってくれた郷里の
ほまれ(誉)とならなければならない」という、
善太郎さんの思いが込められていました。
それで「国誉=国のほまれ=コクヨ」なんですね。
だから「国」とは「日本」を指すのじゃなくて
創業者の郷里・越中富山のことなんだそう。
そして後年、この商標が正式社名となっていきます。
1961年、コクヨ株式会社が、誕生するのです。
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時代がくだるにつれ「国誉」ロゴマークも変遷してゆく。
現在2009年は、善太郎さんの創業から104年め。
コクヨという会社は、
いまやグループ全体でなんと13万品番(!)もの
ものつくりを行う、
みなさんご存知の有名メーカーとなっているのです。
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2005年、創業100周年を記念してリニューアルされた現行のロゴ。
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コクヨを取材してみたいと思った大きなポイントは、
「なんか、みんなに好かれてる」ということ。
そして「好かれている」のが「製品」なので、
コクヨ製品の開発を担当されている
おふたりの方に、話を聞かせてもらうことにしました。
そのおふたりとは
定番商品「Campus」ノートを手がける村上智子さんと
入社20年、さまざまな文具を開発し続ける田中茂一さん。
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村上智子さん
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![](images/p_1_9.jpg)
田中茂一さん |
30年以上にわたる「Campus」ノートの歴史、
4ヶ月で150万部を売った「東大ノート」のエピソード、
コクヨきっての名物開発者(田中さん)が、
新たな文具を開発するとき、大切にしていること‥‥。
みんなに好かれる「ものつくり」のひみつに
迫れたかどうかは、わかりませんが、
いろいろと、素朴な質問をぶつけてきました。
そのようす、次回からくわしくお伝えしていきます。
どうぞ、おたのしみにー。
<つづきます> |