HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

編んで着て(ときどき)うろちょろするわたし

ニットデザイナー・三國万里子さんが
日々のあれこれを写真と文章でお届けします。
編みものの話はもちろん、洋服のことや
街で見かけた気になるものなど、テーマはさまざま。
三國さんの目を通して世界をのぞくと、
なんでもないことにたのしさを見いだせたり、
ものづくりへの意欲を呼び起こせたりする‥‥かも?
期間限定、毎週火曜と金曜に更新予定です。

三國万里子さんのプロフィール

2019-01-08

あけましておめでとうございます。
年末年始、皆さんは何か編みましたか?

わたしは実家に帰省していたのですが、
そのあいだずっとセーターを編んでいました。
家事を母がしてくれるのをいいことに、
のびのびと時間を使って編んだら、
なんと、まあ、はかどること!
帰った日にゲージを取るところから始め、
後ろ身頃、前身頃、右袖とするする編み上がり、
6日目に左袖の半ばまで編めたところで
お休みが終わりました。
セーターはわりとシンプルな
デザインだったので、
編みながら両親と世間話をしたり、
紅白歌合戦を観たり(今回のはよかった!)、
一日中テレビの正月映画を観たり
(『ミッション・インポッシブル』シリーズ!)、
十分にお正月も満喫しましたよ。
実家ありがたや、ですね。

さて、今日の写真は
Miknitsのこものたちです。

わたしは自分のニット仕事のキャリアを
こういう帽子やミトンを作りためて
売るところから始めました。
数年のあいだ、来る日も来る日も編んでたなあ。
でも、やりたくないと思うことはありませんでした。
楽しくて、飽きなかった。
そう、飽きなかったのです、毎日やっていても。

楽しく編み続ける秘訣があるとしたら、
一つめはまず
「毎回デザインを変えて編むこと」だと思います。
同じ形の帽子なりを
複数個続けて作ってもいいんだけど、
その場合は、たとえば色を変えてみる。
それだけでも、未知のものの
誕生を待つような気持ちで
作業することができます。
とはいえ、編みものを仕事にでもしない限り、
同じデザインで複数個を作るということは
あまりないかもしれませんから、
「自分の目を楽しませながら作る」という
言い方に変えてもいいでしょうね。

二つ目に大事なことは、
「リズムをキープして編むこと」。
ある程度の集中を保って最後までやりきる、
ということですね。
そのためには
「今日はここまでやる」ということを
決めて取り組むことがカギだと思います。
そして自分の編むペースがわかったところで、
「うまくいけばこの日までに仕上げる」、
という目標も立てる。
編みものに慣れないうちは、
完成するかどうかが、
まず不安になったりするものですからね。
もちろんある程度慣れている人ならば、
最初に完成の期日を決めて、
1日あたりどれくらい、という
計画を立ててもいい。

わたしの実感ですが、
ざっくりとでも作業の目処(めど)が立つと、
心がふわふわとほかの場所に逃げていくことなく、
ハードボイルドに「今日の分の仕事」を
やり遂げることができます。
たとえばお勤めのある人が、なんとか
一週間で帽子を編みあげたいと考えて、
リブに3日、本体に3日、仕上げに1日の
編みもの時間を割り振る。
まあ、そこまできっちり計画しなくても、
だいたい夕食後に4センチ編む、とかでもいい。

とはいえ、思ったようにいかずに
編んだ分をほどいて終わり、
という日もあるかと思います。

そういう時に大事なのは、
めげない、落ち込まないこと。
そう、楽しく編み続ける秘訣の三つ目は、
「失敗した時にあまりがっかりしないこと」です。
わたしもうまくいかない時が
割としょっちゅうあります。
当然、多少は「あ〜あ」って思いますよ。
でもいくつか作品を完成させているうちに、
そういうことってあるよ、と
クールに受け止められるようになりました。
うまくいったことを励みに、
うまくいかない時を乗り切る。
そういうこと全部ひっくるめて、
編みものの醍醐味だと思うんですよ。
年の初めから先輩ぶって、ごめんなさいね。


そうそう、来たる1月14日(月、祝)、1月15日(火)に
今年最初のKNIT ROOM MIKNITSを開催します。
これから編むものや、
編みかけのものを持ち寄って、
みんなでわいわい、いい時間を過ごしましょう。
詳細は「うろちょろ」のインスタグラム
「あみもの友の会」のFacebookでお知らせしますので、
どうかチェックをお願いいたします。

さあ、今年も楽しくやりましょうね!