コーヒーが飲めなかった中川さんに、地球のロマンについて聞く。
中川亮太さんは、品川・天王洲にある
様々なビジュアルコミュニケーション事業を
展開する株式会社アマナ専属の
「コーヒークリエイター」です。
はじめてお会いしたのは2018年春のこと。
発売後まもないアースボールを
ずいぶん気に入ってくれた方がいるらしいと、
アースボールチームで会いに行ったんです。
そこでぼくらはやられちゃいました。
飲んだコーヒーのおいしさに。
地球とコーヒーの興味深いお話に。
中川さんのとびきりの笑顔に。
意気投合した我々は、
やがてアースボールのコンテンツを
いっしょに作ることになり、
生活のたのしみ展でも
ご一緒させていただくことになります。
そんな中川さん、なんと以前は
コーヒーが飲めなかったらしいんです。
中川さん、その話、興味があります!
前編 コーヒーが飲めなかった中川さんが、コーヒーを飲めるようになるまで。
後編 アースボールに出会った中川さん、地球のロマンを語る。
中川亮太さんのプロフィール
後編 アースボールに出会った中川さん、地球のロマンを語る。
──
さて、ここからは、
中川さんとアースボールとの出会いを
お聞かせいただけますか?
中川
もともと地図や地球儀が好きで、
地球儀もいくつも持っていたんです。
中にはアースボールではない、
ビーチボールタイプの地球儀もありました。



コーヒーのイベントで、
産地の説明をすることも多いんです。
おいしいコーヒーを育てるためには
標高差が大切なんだとか。
それぞれ国の説明というより、
ちゃんと地形を説明したかったんです。
そんなときに
軽く手に持てる地球儀があると
説明しやすかった。
写真
──
なるほど。
中川
ほぼ日のアースボールとの出会い、
あれはいつだったのかな。
何で知ったのか思い出せないんですが、
あるときにその存在を知り、
うわぁ、これいいなぁと。
自分が買おうと思っていたら、
たまたま社内で発見したんです。
アースボールを。
あれ? 自分以外で
地球儀が好きな人がいたんだ、
とその人に声をかけたら
「いやいや、アマナは仕事でアースボールの
コンテンツ作りに協力しているんだよ」と。
──
ああ、それは偶然だったんですか。



「世界のアイコン」というコンテンツで、
アマナイメージズさんのストックフォトを
使用していたので、てっきり社内で紹介を
受けたのかと思っていました。
(中川さんが働いているIMAcafeは、
アマナが運営するギャラリーに併設しています)
中川
はい、出会いは本当に偶然で。
そこからIMA cafeにアースボールを置いて、
お客さまに説明をするときに、
使わせていただくようになりました。
写真
──
カフェにいらしたお客さまの反応は
どんな感じですか?
中川
ここに来るお客さんは、
海外の方もふくめて、
デジタル系のお客さんも多いのですが、
そういう方々の食いつきは、とくにいいですね。
「これ、ARの正しい使い方だよね!」
みたいなことを言われます。
──
おお。うれしいことです。
中川
使っているうちにアプリもどんどん更新されて。
標高差がよくわかる「でこぼこ地球」が
アップされたときは、来た!と思いましたね。
これで、おいしいコーヒーを作るには
いかに標高が大事かを説明できる!って。
──
ちょうどそのころお会いしたんですよね。
このコンテンツがどんなに役に立つかを
熱く語っていただいて、
ぼくらもたいへん感激したのを覚えています。
中川
そうこうしているうちに、
地球上に自分だけのアルバムが作れる
コンテンツも出てきて。
──
「地球アルバム」ですね。
これはけっこう、中川さんを意識して
作ったコンテンツなんです。
こんなことができたらいいのにって
リクエストをいただいていたので。



じっさいに、海外の生産地で
中川さん自身が撮影した写真を使って、
コーヒーのアルバムを、
つくっていただいたんですよね。
中川
そうなんです。
ほらこれ、初めて行ったグアテマラで
収穫を手伝ってくれた女の子。
写真
──
おお。
中川
これは、エルサルバドルです。
この女性はエルサルバドルの、
この地域での収穫チャンピオン。
名だたるベテラン男性たちをおさえて、
とにかく、丁寧にきれいに、
でも、ちゃんと熟したコーヒー豆だけを
スピーディーに摘むチャンピオンです。



基本、男性のほうがサボりがちなんです。
おじさんは
隣でアイスクリーム食べてたりする。
写真
──
ふふふ。
中川
これはパナマで、これがゲイシャ種の枝。
行って初めて知りましたし、
教えてもらったんですけど、
ゲイシャ種は枝の角度が違うんです。
45度グッと上がってる。



ほかの品種は、
もうちょっと角度がゆるいんです。
写真
──
やっぱり、今見てもおもしろいですね。
そんな風に、
たくさんリアルに活用いただく中で、
ではいっしょにコンテンツつくりましょうよ、
という流れになっていったんですよね。
中川
コーヒーの生産地は、赤道を中心に
北回帰線と南回帰線との間にあって、
コーヒーベルトと呼ばれているんです。
「でこぼこ地球」に、
このコーヒーベルトを合わせられたら、
コーヒーのコンテンツとして
最高なんだけど‥‥って。
──
そしてうまれたのが、
「でこぼこ地形でコーヒーは育つ!?」ですね。
中川
これは、CGのコーヒーベルトの標高が
1000メートルで設定されていて、
そこがすごい秀逸なんです。
何故なら、おいしいコーヒーを育てるには
1000メートルを超える標高で起こる
寒暖の差が重要になるからなんです。



標高1000メートル以上の地形だけが
ベルトから飛び出して見えるんですよね。
コーヒー関係者に説明していても、
何よりもウォーッとなります。
写真
──
ほんとですか。
中川
個人的に気に入ってるのは、インドネシア。
インドネシアって
コーヒーの生産量が世界第4位の
コーヒー大国なんですが、
90%がカネフォラ種(ロブスタ)という、
標高の低いところで育つ種。
で、10%だけがアラビカ種という
おいしいコーヒーにつながる品種なんです。



何で10%しか穫れないの?
ということなんですけど、
インドネシア全体の中で見て、
標高が高いエリアは、すごく限られていて、
で、おいしいアラビカがとれる産地は、
まさにこういったところなんです。
写真
──
はー‥‥。
中川
それが如実にわかる。
ほら、ちゃんと飛び出てるのがわかるでしょ。
──
はい、よくわかりますね。
中川
これだけじゃないです。たとえばインド。
インドは、北は紅茶カルチャーです。
チャイ。ミルクティー。
そして南インドはコーヒーなんです。
何でかといったら、インドも南部だけなんです。
標高1000メートルを超えるのは。
というのも、アースボールを見ると
本当にわかりやすいでしょう。
──
ほんとだ。
中川
ハワイなんかも、何も遮るものがないから、
安定的に風の影響を受けていて、
それがおいしいコーヒーに
つながっているんですが、そんな状況も、
アースボールを見たら一目瞭然です。



こんなわかりやすい地図ってありました? 
素晴らしい!
──
ありがとうございます!(笑)



本当に具体的に使っていただいて、
地球丸ごと使っていただいてる感じが、
すごくうれしいです。
中川
この間、
日本サステイナブルコーヒー協会というところで、
コーヒーのSDGs勉強会があったんです。
そこで、今の世界的なコーヒーの問題点とか、
いろんなことを勉強しながらも、
最後にアースボールを紹介させてもらったんです。



「皆さん、どうやってコーヒーベルトを
説明していますか?」って。
実はこんなものをつくったんだと紹介すると、
もう、大受けです。ドッカン、ドッカン。
「何、それ! 待ってた、それ!」
もう、ざわついてましたね。
写真
──
わー、いいですね!
中川
しかもそこで、
いちばん興味を持ってくれたのは
参加していた高校生の子だったんです。
グイグイ食いついてきてくれて。
嬉しかったですね。



それぐらい若いうちから
地球全体のイメージを、ボヤンとかではなくて、
明確に腑に落ちてストンと落としていくと、
より理解度も深まるし、ゴールが見えやすい。
──
ええ。
中川
昨日マレーシア料理を食べに行ったんですけど。
マレーシアとインドネシアって、
じつは味の好みが似てるそうですよ。
地球儀を見てるとなんとなくわかるんです。
こんなに近ければ、たしかにそうなるよねって。



むしろインドネシア国内のほうが民族が多くて、
言葉も違うし、味のテイストも違うらしいです。
インドネシアは、
こうしてみると、たしかに横にとっても長い。
──
ええ、ほんとですね。
中川
何だろうな、アースボールを通して
世界を見るようになったらもう、
地球規模でものごとを見ることが
できるようになるんじゃないかな。



距離も大きさも位置関係も。
あれ、こんなに近いんだから、
この国とこの国は仲良くしたほうがいいなとか。
そもそも国単位で考えていたら
思い浮かばないようなロマンが
アースボールの上に乗っているような気がします。
──
そんなふうにアースボールを
愛していただいてありがとうございます。
地球への興味は、尽きることがありませんね。
中川
飛行機に乗ってても、
地上の地形を見ながら、
「あ、隆起してる!」とか
そんな目でしか見てないですから(笑)。
──
今日は本当にありがとうございました。
たくさんお話が聞けてよかったです。
中川
ありがとうございました!
写真
(終わります)
2019-07-26-FRI
第四回生活のたのしみ展で、
中川さんにブレンドしていただいた
コーヒー豆「ちきゅうブレンド」を
再販売します。
写真
「ちきゅうブレンド」は、
ちきゅう各地のおいしいコーヒー豆として

・アフリカ代表「エチオピア」

・アジア代表「インドネシア」

・中米代表「グアテマラ」

・南米代表「コロンビア」

を選りすぐりした、
ちきゅうベストチーム(ブレンド)なんです。
中川さんいわく、
「爽やかさ、トロピカルな甘さ、
ユニークさ、コーヒーっぽさが
ずるいくらいうまくまとまったブレンドが
出来ちゃいました。
チーズケーキのような甘いものから、
カレーのような辛いものにもしっかり合うように
調整しました!」
とのこと。
「カレーの恩返しカレー」ともぴったりな、
「ちきゅうブレンド」を
ぜひおたのしみください。