──NHKの方にうかがいました #7 災害に備えて「なんとなくポーチ」と「なんとなくボックス」を
糸井 ではさらに、
震災に備えて持っていると便利シリーズを
教えていただけますか。
山下さん 今回、被災地の取材をして思ったんですが、
地震のあとは粉塵がものすごいんです。
いろんなもの吸ってしまうと体に害があるので‥‥
マスク。
これはかなり重要、かなり役に立ちました。
糸井 マスク。
山下さん 花粉用のマスクでいいので。
糸井 腐らないから買っておきましょう。
で、いろんなものをなんとなく入れといて
非常時に持ち出す袋‥‥
「なんとなくポーチ」に、
しまっておけばいいんです。
山下さん 「なんとなくポーチ」(笑)、
そういう名前なんですね。
糸井 ポーチに入れるもの、あとはなにがありますか。
PRさん 軍手はあったほうがいいと思います。
山下さん そうだ、軍手は使えますね。
糸井 アーミーグラブ。
手で触れないものも
きっといっぱいあるでしょうから。
PRさん あったほうがいいです。
糸井 入れましょう、「なんとなくポーチ」に軍手を。
PRさん それともうひとつ、
ぜひ入れてほしいのものがあって‥‥。
いわゆるコンビニ袋というものです。
これをいくつか、くしゃくしゃっと丸めて
そのポーチに入れていただきたいです。
糸井 コンビニエンスストアの袋ですか。
PRさん 神戸のとき、
段ボール箱にコンビニ袋を入れて
それで水を運んだんですよ。
糸井 そうだったんですか。
PRさん 給水車が来たときに入れ物がなかったんです。
で、どこの誰が思いついたか、
ちっちゃい段ボール箱にコンビニの袋を入れて、
「これに水を入れてください」
というのがけっこう流行りました。
糸井 へええー。
PRさん コンビニ袋はいろいろ使えますので、
くしゃくしゃっと丸めて
いくつかポーチに入れていただければ。
糸井 すてきなPRさんに、お言葉を返すようですが。
PRさん はい‥‥。
糸井 くしゃくしゃっと丸めるよりも、
きれいにたたんだほうが、いいですよね。
PRさん それは‥‥おっしゃる通りです(笑)。
山下さん (笑)
PRさん 雑で、すみません(笑)。
糸井 こちらこそすみません(笑)、冗談です。
いやぁ、水を運ぶっていうのはすばらしいですね。
入れましょう、
「なんとなくポーチ」にコンビニ袋を。
PRさん たたんで入れてください。
糸井 となると、30リットルのゴミ袋なんかも
ひとつあるとだいぶ‥‥
PRさん だいぶいろんなことに使えますね。
糸井 ねえ。
PRさん ビニールや布はちっちゃくなるので、
いろいろ気軽にポーチに入れられますね。
一回入れておけば、
定期的に交換する必要もないですし。
糸井 そう、定期的に交換する必要があるものは
プレッシャーなんです。
負荷がかかりすぎると結局やめてしまいますから。
山下さん その意味では、
新聞紙は簡単に用意できそうです。
被災地で、とくに寒かった時期には、
新聞紙が役に立っていたんですよ。
からだに巻いたり羽織ったりすれば、
意外に寒さをしのげることがわかりました。
糸井 それはぼく、よく知ってますよ、
釣りをしてたから。
山下さん あー、なるほど。
糸井 釣りで思い出したんですけど、
糸やヒモっていうのも便利ですよね。
案外、ヒモって必要なときにないでしょう。
PRさん そうですね、ないです。
しかもそれは、簡単に用意ができます。
山下さん あと、意外と盲点なのが
コンタクトの予備です。
避難してしばらく帰れなくなったときに
コンタクトが無いのは、きつい。
ぼくは2週間分くらいを準備しています。
糸井 2週間分でも、軽いですもんね。
それも「なんとなくポーチ」に入れましょう。
PRさん どんどんポーチの中身が増えてきました(笑)。
糸井 うん。
そうなりますよね、きりがない。
PRさん いわゆる防災キットみたいなものを
アレもコレもってやっていると、
ほんとうにきりがなくなってしまいます。
山下さん ですから、あれですね、
何もかも用意しておくというよりは、
こうやって
ふだん身のまわりにあるモノについて
「あれは災害時にどう使えるかな?」と、
思いを巡らすことが
たいせつなんだと思います。
糸井 そうですね。
「あれはどうだろう」と
話し合うだけで意味があります。
いざというときに、
懐中電灯の置き場所を知らないとか、
マスクはどこにあるんだ?っていうのは
とてもよくあるケースでしょうから。
PRさん はい。
糸井 いいですね、いい感じです。
あと、なにかありませんか?
備えておきたいアイテム。
山下さん うーん‥‥。
PRさん あとは‥‥。
糸井 ‥‥ああ、ひとつ思い出しました。
山下さん なんでしょう。
糸井 むかし、ある学者さんから、
「災害のときサンダルはやめなさい」
って言われたんです。
山下さん あ、履きもの。
糸井 かかとをおおうものを履いて逃げないと、
なにを踏むかわからない。
さらに、人ごみの中でサンダルはすぐ脱げるから、
それがパニックのもとになってしまう。
かかとのある履き物を必ず用意しておくように、
ということを言われました。
山下さん そうですね、
運動靴でいいので準備しておきたいですね。
PRさん 枕元に置いておくとか。
糸井 この前の地震の日には、
カミさんとふたりで
スニーカーの底を洗って
それを履いて家の中を歩いてました。
そうしたことで、自信をもって動けましたね。
PRさん 強い余震が続いた新潟中越地震のときは
けっこう皆さん枕元に靴を置いていました。
靴がなくて逃げられないという状況が
いちばん怖いのだそうです。
糸井 ぼくもそれをすごく感じました。
山下さん 履きもの、大事ですね。
糸井 ぼくらのおすすめとしては、
枕元に運動靴を置いておく、としましょうか。
PRさん はい、古い運動靴でいいので。
山下さん そうですね。
糸井 ‥‥でもあれだ、靴はでっかいですよ。
「なんとなくポーチ」に入らない。
PRさん たしかに、ポーチには無理です。
糸井 じゃあ、
「なんとなくボックス」もつくります。
山下さん ボックスも(笑)。
糸井 「なんとなくポーチ」と
「なんとなくボックス」は、
会社にも置いておきたいですよね。
PRさん そうですね、家庭でも会社でも。
山下さん ヒールを履いた女性社員が、
「なんとなくボックス」から取り出した
スニーカーを履いて、がれきの街を歩いていく。
糸井 うん。
いいと思います。

ここまでの感じなら、すごくラクにできますよ。
大きな覚悟をしなくても、
誰でもできる準備だと思います。

(株)東京糸井重里事務所の災害対策【ポイント7】

□震災に備えて持っていると便利なものとして、
 以下のようなアイテムが挙げられる。
 ・マスク
 ・軍手
 ・コンビニ袋
 ・30リットルのゴミ袋
 ・新聞紙
 ・糸とヒモ
 ・コンタクトの予備
 ・枕元にスニーカーを(脱出・避難用)

□震災のために備えたいモノはきりがない。
 でも、そのことについて考えをめぐらせ、
 話し合うことは重要。

(つづきます)

2011-06-20-MON