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関根 |
各科目に補助先生がいるんです。
音楽の補助先生は、僕みたいな、
歌が苦手だった人、
音が取れないことの痛みを知ってる人がなります。
ずんの飯尾君は、カラオケに行くと
必ず、出だしを間違えるんですよ。
十八番の曲でも、必ず。 |
ほぼ日 |
そうなんですか。 |
関根 |
あまりにも出だしを間違えるから、
「なにがあったの?」と訊いてみたんです。
そうしたら、こう答えてくれました。
小学校のとき、歌のテストで、
飯尾君が歌を歌うとき、
先生がピアノの伴奏をしながら
そのあまりの下手さに「くすっ」て
苦笑したんですって。
傷ついた彼は、それから歌うことが
怖くなったんだって。 |
ほぼ日 |
ああ。 |
関根 |
そのときに、補助先生がいれば! |
ほぼ日 |
補助先生は、そういうときは
どう言うんでしょうか? |
関根 |
「飯尾君、音楽の○○先生は、
今、笑ったけどね?
それは、あの先生が
音楽専門にやってきたからなんだ。
あの人は、優秀な人を教えるのは
いいかもしれない。
でもね、譜面というのは、
おうちへの帰り道と同じで、
『こういう帰り方があるよ』って、
ひとつの道を示してるだけであって、
いろいろ遠回りして家に帰ったっていいんだ。
歌というのは、
飯尾君の好きなように歌えばいいんだよ。
森繁節だって、ね?
ほら、森進一さんだって
譜面通り歌ってないよ?
遅らせたり、
いろいろバイブレーション入れたりして
やってるよ?」 |
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ほぼ日 |
‥‥そうですね。
ちょっと子どもには
わからないたとえですけど、
そうですね。 |
関根 |
「それが味なんだよ。
だから飯尾君、譜面のとおりに
歌えなかったことを、
決して恥じないで。
あなたは、おもしろいじゃない?
みんなが、飯尾君、飯尾君って言って、
一緒に遊んでるじゃない?
あなたは野球、上手いじゃない」 |
ほぼ日 |
うう、いいこと言う。 |
関根 |
「こんなこと、全然恥じることない。
また思いっきり歌いなさい。
人が笑ったって関係ないんだから」 |
ほぼ日 |
補助先生、いいですね。 |
関根 |
それと同様に、たとえば
体育の授業中に、足速い人が
その気になってたら、
「ちょっと待て」(太い声)と。 |
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ほぼ日 |
あ、そっちのほうも。 |
関根 |
そっちも補助先生が担当です。
「足が速いだけで、威張っちゃだめだ。
足の速さで、人間の価値が
決まるんじゃないんだから、
遅いやつをバカにするなよ。
足は遅いけど、あいつのほうが
君より作文が上手い。
かといって、あいつが作文上手いからって
君は卑下することはない」 |
ほぼ日 |
あっちもこっちもたてない(笑)。
たいへんですね。 |
関根 |
体育で跳び箱を飛べない人にも
「今まで跳び箱飛べなくて
何か不自由したことあるか?
でも、もう一回、跳ぼうとしよう、山田君。
飛ぼうとしようという努力をしていけば
いつか飛べる。
そのときに、次の3段に行けばいいんだから」 |
ほぼ日 |
いま、2段なんですね。 |
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(明日につづきます!) |
2008-07-23-WED |