劇団セルフタイマーへ ようこそ！
作品鑑賞会＃５ 好調期、そして慢心。
 
観覧客Ａ 豪華な作品ですね。
観覧客Ｂ 豪華です。
観覧客Ｃ 「にんげんのおかあさん」がご登場です。

 

げきだん。

京都に来ても、
『劇団セルフタイマー』はがんばる。
新人女優も入って、にぎやかです。
山もみじの枝に、カメらをぶらさげて、
撮ったので、舞台がななめです。

2013/04/01 13:41
糸井 この場合のむつかしさは、
客演の人が撮らせてくれるかどうか、
その交渉からはじまります。
観覧客Ａ はい、はい。
糸井 これは、あれです。
京都で、女優同士がふたりで散歩をして、
帰ってきたところですね。
観覧客Ｂ 女優さんがふたりで（笑）。
糸井 朝11時ころです。
帰ってきたふたりに声をかけて、
出演交渉をしました。
観覧客Ｃ どういうふうに声をかけたのでしょう。
糸井 「劇団セルフタイマーですが、
　共演をお願いできますか？」
一同 （笑）
観覧客Ｄ すばらしい（笑）。
糸井 にんげんの女優さんは、知ってますからね、
ぼくの劇団行為のことを。
観覧客Ａ こころよく出演を受けてくださって。
糸井 ええ。
で、これは、あれですね、
青山墓地で発明した、木ですね、木。
カメラを木の枝にぶらさげる撮影テクニックです。
観覧客Ｂ ２本の枝にストラップを掛ける方法。
糸井 そうそう。
それとね、
客演のかたがいて、すごく助かったのは、
「主演女優を持っててもらえる」ことでした。
一同 ‥‥ああーー。
糸井 写る場所で、待っていてもらえる。
監督だけが走ればいい。
観覧客Ｃ 客演の女優さんが、主演女優を持っててくれる（笑）。
糸井 そうです。
観覧客Ｄ すばらしい。
観覧客Ｂ 客演のかたは姿勢も美しいのですが、
監督‥‥監督はあれですね、
あいかわらずの「セルフタイマーポーズ」と
「セルフタイマー顔」で。

糸井 あのですね、何度だって言いますが、
ぼくは落ち着いて撮ることはないんです。
観覧客Ａ でも監督、次の作品はそんなことないですよ。
この一枚には、すごく余裕を感じました。

 

あらしがくるのか。

情報によれば、嵐がくるのだと。
『劇団セルフタイマー』は、
さっそくその状況をとりいれて、
屋上公演を打ちました。
カメラ目線からの脱却にも挑戦です。
さてさて、どうでしょう。

2013/04/06 12:08
観覧客Ｂ 「カメラ目線からの脱却に挑戦」と書いてあります。
観覧客Ｃ かっこいい。
主演女優を、さっそうと抱えています。
糸井 「あらしがくる」という、
バサバサした感じがあったんです。
風が強くてね。
そういう状況だと、
犬を抱え込むことに逡巡がないですね。
観覧客Ｄ 彼女を嵐から守る、というイメージで。
糸井 そうです。
しかもこれは、監督がまっすぐ立ってる。
観覧客Ｂ ほんとだ！
「セルフタイマーポーズ」じゃない。
糸井 ま、劇団行為もここまでやってると、
経験が積まれますよね、やはりそれなりに。
観覧客Ｃ 活動に脂がのっている感じがします。
好調ですね。
糸井 好調です。
観覧客Ｄ でも次の作品、これは‥‥。

 

はれのひの。

『劇団セルフタイマー』の
晴れの日公演です。
ちょっと照明に失敗したかもね。
シャッター押して10秒ということで、
いろいろあわて過ぎていますね。
次回公演をおたのしみに。

2013/04/07 12:42
糸井 慢心ですね。
一同 （笑）
観覧客Ａ これをボツにしないところが素晴らしい。
糸井 マニュアルのカメラです、たぶん。
絞りを大いに間違えた。
うーーーん‥‥慢心してるなぁ。
観覧客Ｂ しかし、慢心とおっしゃるこれがあったからこそ、
次に破壊的な名作がうまれたのではないでしょうか。
‥‥いよいよです。
『劇団セルフタイマー』の最高傑作と評される
こちらを解説していただきましょう。

（つづきます！）
2013-06-10-MON
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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
ほとんどのカメラについているのに、 たぶんあんまり使われていない機能、「セルフタイマー」。 糸井重里は、これに着目。 「劇団セルフタイマー」を設立しました。 それはつまり、孤独にがんばる撮影活動。 一座の公演は「気まぐれカメら」で発表されています。 主演女優、ブイヨン。監督・出演、糸井重里。 タイマーセットで本番スタート！ 走れ！　レンズを見よ！　周囲の目は気にしない！ この、ペーソスあふれる活動を、みなさんもいかがですか？ 劇団セルフタイマーは団員を募集します。 とはいえ、ほんとに人を集めるわけではございません。 「セルフタイマーで撮った写真を投稿する」、 それが団員になるということなのです。 さぁ、あなたも、タイマー・セーット！