第2展望台に取り付く空中回廊の鉄骨フレームが
約1.6mピッチでぐるりと取り付きました。
第2展望台の高さは450m。
完成すれば、電波塔にある展望台の高さとして
世界一になります。
ちなみに、去年(2010年)の広州アジア大会開幕前、
10月1日にオープンした、現時点で世界一高い電波塔、
広州タワー(高さ約600m)の
展望台高さは433.2m。
この広州タワーができるまで世界一高い電波塔だった
カナダのCNタワー(高さ約553.3m)の
展望台高さは447mで、
東京スカイツリーの第2展望台は、
この高さを抜く予定です。
なお、電波塔に限らなければ、
上海ワールドフィナンシャルセンター
(上海環球金融中心)の展望台が、
高度477.96mの100階にあり、
2009年に、ギネス世界記録に認定されています。
さて、東京スカイツリーの第2展望台へは、
高さ350mの第1展望台からエレベータで約40秒。
まずは、高さ445mの空中回廊入口へ導かれます。
空中回廊は、景色が見える外側がガラス張りの
スロープになっていて、
ぐるりと1周を歩いていただいて、
高さ450mの第2展望台に到るという仕掛けです。
お帰りの際は、450mの第2展望台から
下りエレベータに乗っていただきます。
なお、上りエレベータは450mの高さにも止まりますので
高所が苦手な方は、直接エレベータで第2展望台に
あがっていただくことができます。
空中回廊の直径は約40m、延べ長さは約110m。
通路幅は約2.4mあります。
緩やかな勾配のスロープですので、
外の景色を楽しみながら、
ゆっくり歩くことができそうです。
この空中回廊、実は、
デザインを設計した吉野繁という者が、
当初から「ぜひつくりたい!」と考えていたものです。
本人によると、こんなことを考えてのものだそうです。
「東京スカイツリーへおいでになる方は、
きっと、家から電車や車でやって来て、
施設内ではエレベータやエスカレータを利用します。
でも、最後、いちばん高いところへ行くのは、
自力で、自分の体を使って登ってもらうのが、
ドラマチックかなと。」
「施設内の床はどこもフラットなので、
最上部の空中回廊に行くときに、
体の動きに変化をつけることで、
より体験として印象深くなると考えました。」
眺望を得る視覚や見た目のデザインのみならず、
体感の仕方を考慮したものでした。
この設計者、以前、同様の仕掛けをつくっています。
東京は青海にある日本科学未来館がそうです。
ここでは、外部に張り出した空中回廊ではありませんが、
大きな吹抜け空間にスロープがぐるりと巡っていて、
老若男女を問わず親しまれている空間になっています。
また、本人から話を聞いて面白いなと思ったのですが、
この設計者は、スカイツリーの仕事を始めてから
なんと、本格的な山登りを始めたそうです。
それまで山登りの経験がなかったというのに、
自身で高い場所を体感しようと、
富士山をはじめ穂高岳、槍ヶ岳にまで登っています。
山登りが高じたせいか、今では
「次は山小屋を設計してみたいなー」とのこと(笑)。
ご興味のある方はご連絡ください。
こんな少々風変わりな(?)設計者の吉野ですが、
展望台についてこんな希望をもっています。
「第1展望台は、インテリアを深い色にして
景色がより映えるようにしていますので、
そこからの眺望を楽しんでもらえると嬉しいです。」
「第2展望台は、逆にインテリアを白っぽくし、
外からの光や時間をより感じられるようにしており、
空中を歩くかのような浮遊感や
空との一体感を楽しんでもらえると嬉しいです。」
また、デザイン監修の澄川喜一さんは、とある取材で
「私は、清く正しく生きている人には、
天女が見えると言っているんですよ(笑)」
と冗談を飛ばしていました。
事業主さんや実際につくる方、
いろいろな人の想いや期待のつまった第2展望台、
今から楽しみですね。 |