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糸井 |
『アメリ』という映画を
ぼくは女の子が観る映画だと
思いこんでいて、
実は、ごく最近、
ゾーヴァさんを知ってから
観たんですよ。
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鳥
(画像をクリックすると絵を拡大します。)
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ゾーヴァ |
ぼくも同じ立場だったら
女の子が観る映画だと思って
観なかったと思います(笑)。 |
糸井 |
後で知ったら
『デリカテッセン』なども撮った
監督なんですよね。
(※編集部註:
監督はジャン=ピエール・ジュネさんです) |
ゾーヴァ |
そうです。そうです。
『エイリアン4』とかもやってますよ。
彼の作品の中で『アメリ』は
例外的に明るいラブストーリーで
めずらしくヒットをしたんですよね。 |
糸井 |
映画でこの絵は
大きな役割をしていましたね。
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治療中の犬
(画像をクリックすると絵を拡大します。)
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ゾーヴァ |
ぼくはもとの絵を提供しただけで、
動物たちが動くようにしてくれたのは
監督の力なんです。
最初に依頼を受けたときから
アニメーションをつけたいというのは
言われていたんです。 |
糸井 |
この絵は『アメリ』のために
オリジナルで描かれたんですか? |
ゾーヴァ |
ええ、絵を3枚と、
ぶたのランプをつくりました。
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糸井 |
もうひとつ、最近の映画のお仕事として
『ウォレスとグルミット
野菜畑で大ピンチ』が
ありますよね。
日本では公開されていないので
ぼくはまだ見ていないのですが、
これはどのようにお仕事の依頼が
入ってきたんですか? |
ゾーヴァ |
映画の監督である
ニック・パークが所属している
アードマンスタジオから
電話がかかってきたんです。
それでニックがいる
ブリストルに出向きまして
丸一日、ニックや、
彼のパートナーである
スティーブ・フォックスと
美術について
話し合いをしたんですね。 |
糸井 |
ゾーヴァさんは
「コンセプトアートとして
参加している」という
紹介のされ方をしていますが
これは世界観を作るということですか? |
ゾーヴァ |
コンセプトアートがどんなものか
ぼくもよくわからないのですが、
明るいところと暗いところを交えながら
雰囲気を感じることができるシーンを
描いてほしいと言われたんです。
映画『ウォレスとグルミット野菜畑で大ピンチ』は
今春公開予定です。 |
糸井 |
この映画のイメージをつくる
ということですね。 |
ゾーヴァ |
そのとおりですね。
ただ、映画を見たところ
私が描いた絵は
ちらっと出てくる程度ですね。
背景にあるお城は再現されているのですが
あとはそれほど
この絵は
生かされていなかった気がします。
まあ、一日ブリストルにいて、
先方の要望を聴いたのですが、
すぐにベルリンに戻ってしまいましたから。
本当は半年間ぐらいかけて、
映画をつくっているところにいれば
よかったのですが‥‥。
もしいることができたら、
台本の変更にも、
もっと対応ができたでしょうね。 |
糸井 |
でもめちゃめちゃ時間がかかりますから。 |
ゾーヴァ |
そうなんですよね。
この映画、トータルでは
制作に4年間かかってますから‥‥。 |
糸井 |
これからもいろいろな場面での
お仕事がありそうなのですが、
ゾーヴァさんは
今後日本でのお仕事のご予定はありますか? |
ゾーヴァ |
なぜか日本に来る度に
スケジュールが過密になって
しまうんですよね。
去年、静岡のある大学で
講演会を行いまして、
そこから客員教授になってくれないかと
申し出があるんです。
こちらはほぼ決まると思います。 |
糸井 |
じゃぁ、
またこれからも日本にくることが‥‥ |
ゾーヴァ |
その通りです。 |
糸井 |
そうですか。
嬉しいですね、とても。 |
ゾーヴァ |
展覧会ができればいいのですが
ある程度の規模の展覧会というのは
絵の所蔵家の方たちに
長い間、絵を借りなくてはならないので
おそらくこの先しばらくは難しいでしょう。
だから、新しい展覧会をするためには
またたくさん絵を描いて
新しい作品を
生み出さなければいけないですね。 |
糸井 |
ぼくらは楽しみです(笑)。
では、今日は時間も限られた中で
お疲れのところ、ありがとうございました。 |
ゾーヴァ |
ありがとうございました。
Danke Schoen! |
【通訳】
ゾーヴァさんと糸井重里の対談は
ゾーヴァさんの本を何冊も翻訳されている
木本栄さんに通訳をお願いしました。 |
2006-02-08-WED |