「ミヒャエル・ゾーヴァの世界」の おすそわけ
第5回 映画の仕事。
糸井 『アメリ』という映画を
ぼくは女の子が観る映画だと
思いこんでいて、
実は、ごく最近、
ゾーヴァさんを知ってから
観たんですよ。



 (画像をクリックすると絵を拡大します。)
ゾーヴァ ぼくも同じ立場だったら
女の子が観る映画だと思って
観なかったと思います(笑)。
糸井 後で知ったら
『デリカテッセン』なども撮った
監督なんですよね。
(※編集部註:
 監督はジャン=ピエール・ジュネさんです)
ゾーヴァ そうです。そうです。
『エイリアン4』とかもやってますよ。
彼の作品の中で『アメリ』は
例外的に明るいラブストーリーで
めずらしくヒットをしたんですよね。
糸井 映画でこの絵は
大きな役割をしていましたね。


治療中の犬
 (画像をクリックすると絵を拡大します。)
ゾーヴァ ぼくはもとの絵を提供しただけで、
動物たちが動くようにしてくれたのは
監督の力なんです。
最初に依頼を受けたときから
アニメーションをつけたいというのは
言われていたんです。
糸井 この絵は『アメリ』のために
オリジナルで描かれたんですか?
ゾーヴァ ええ、絵を3枚と、
ぶたのランプをつくりました。

糸井 もうひとつ、最近の映画のお仕事として
『ウォレスとグルミット
 野菜畑で大ピンチ』が
ありますよね。
日本では公開されていないので
ぼくはまだ見ていないのですが、
これはどのようにお仕事の依頼が
入ってきたんですか?
ゾーヴァ 映画の監督である
ニック・パークが所属している
アードマンスタジオから
電話がかかってきたんです。
それでニックがいる
ブリストルに出向きまして
丸一日、ニックや、
彼のパートナーである
スティーブ・フォックスと
美術について
話し合いをしたんですね。
糸井

ゾーヴァさんは
「コンセプトアートとして
  参加している」という
紹介のされ方をしていますが
これは世界観を作るということですか?

ゾーヴァ コンセプトアートがどんなものか
ぼくもよくわからないのですが、
明るいところと暗いところを交えながら
雰囲気を感じることができるシーンを
描いてほしいと言われたんです。


映画『ウォレスとグルミット野菜畑で大ピンチ』は
今春公開予定です。
糸井 この映画のイメージをつくる
ということですね。
ゾーヴァ そのとおりですね。
ただ、映画を見たところ
私が描いた絵は
ちらっと出てくる程度ですね。
背景にあるお城は再現されているのですが
あとはそれほど
この絵は
生かされていなかった気がします。

まあ、一日ブリストルにいて、
先方の要望を聴いたのですが、
すぐにベルリンに戻ってしまいましたから。
本当は半年間ぐらいかけて、
映画をつくっているところにいれば
よかったのですが‥‥。
もしいることができたら、
台本の変更にも、
もっと対応ができたでしょうね。

糸井 でもめちゃめちゃ時間がかかりますから。
ゾーヴァ そうなんですよね。
この映画、トータルでは
制作に4年間かかってますから‥‥。
糸井 これからもいろいろな場面での
お仕事がありそうなのですが、
ゾーヴァさんは
今後日本でのお仕事のご予定はありますか?
ゾーヴァ なぜか日本に来る度に
スケジュールが過密になって
しまうんですよね。
去年、静岡のある大学で
講演会を行いまして、
そこから客員教授になってくれないかと
申し出があるんです。
こちらはほぼ決まると思います。
糸井 じゃぁ、
またこれからも日本にくることが‥‥
ゾーヴァ その通りです。
糸井 そうですか。
嬉しいですね、とても。
ゾーヴァ 展覧会ができればいいのですが
ある程度の規模の展覧会というのは
絵の所蔵家の方たちに
長い間、絵を借りなくてはならないので
おそらくこの先しばらくは難しいでしょう。
だから、新しい展覧会をするためには
またたくさん絵を描いて
新しい作品を
生み出さなければいけないですね。
糸井 ぼくらは楽しみです(笑)。
では、今日は時間も限られた中で
お疲れのところ、ありがとうございました。
ゾーヴァ ありがとうございました。
Danke Schoen!
【通訳】
ゾーヴァさんと糸井重里の対談は
ゾーヴァさんの本を何冊も翻訳されている
木本栄さんに通訳をお願いしました。
2006-02-08-WED



「ミヒャエル・ゾーヴァの世界」の おすそわけ

カールマイ作品全集
 (画像をクリックすると絵を拡大します。)
展覧会の会場でこの絵を前に
 二人が語り合ったことを
 こちらからお楽しみください。
 ミヒャエル・ゾーヴァさんの本を読んでみたい、
見てみたいという方はこちらをどうぞ。

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