ミヒャエル・ゾーヴァさんをご存知でしょうか。 不思議さと、愛らしさと、ユーモアにあふれた作品を描く、 ドイツ人画家のゾーヴァさん。 日本初の展覧会が開催された2006年には、 糸井重里との対談も実現し、ほぼ日で公開しています。  そんなゾーヴァさんの大規模な展覧会が、 このゴールデンウィークを皮切りに 東京、京都、横浜で開催されることになりました。  展覧会の準備を進めるスタッフ3名のしずかな熱意を なるべくそのまま、ここでお伝えいたします。 (この原画展の魅力をお伝えするには、  それがいちばんの方法だと思ったのでした)

ゾーヴァさんをご存じなかった方は、ぜひ最初にこちらをお読みください。

『ミヒャエル・ゾーヴァ』のおすそわけ






2009年4月29日(祝・水)〜5月11日(月)
松屋銀座8階大催場(アクセスはこちら
開場時間/午前10時〜午後8時
     (最終日は5時閉場・入場は閉場の30分前まで)
入場料/一般1000円・高大生700円(税込・中学生以下無料)

※くわしくはこちらで。

その他の展示催場

●2009年6月18日〜7月12日
 京都・美術館「えき」KYOTO

●2009年9月4日〜9月27日
 横浜・そごう美術館




今回で2度目となるゾーヴァ展の情報をたずさえて、
『松屋銀座』の高橋千佳さんと
『読売新聞』の須賀幸峰さんは、
おふたりで何度も「ほぼ日」に足を運んでくださいました。
お話をうかがうほどに、
その展覧会がめったにない機会であることがわかりました。
約130点というゾーヴァさんの原画を目にすることは、
おそらくもう、しばらくは、ないだろうと。

この日お邪魔した『松屋銀座』の応接室には、
高橋さんと須賀さんのおふたりがいらっしゃいました。
まずは『松屋銀座』高橋千佳さんのお話から、
うかがってまいりましょう。

── 2006年の「ゾーヴァ展」も、
高橋さんが担当されたとうかがいましたが。
高橋 そうですね、私が担当しまして、
読売さんの主催というのも同じでしたよね?
(となりの男性、須賀さんに訊ねる)
 
須賀 はい、そうでした。
── なるほど。
高橋さんはふだん『松屋』さんの中で、
どのようなお仕事をされているのでしょう。
高橋 基本的には、展覧会の企画です。
どんな展覧会をやったら
お客様に来てもらえるのかなっていうところを
いろいろ取材などをしながら、
企画をして立ち上げて運営するという感じで。
── では、いつも探されてるわけですね。
高橋 ええ、そうですね。
── ゾーヴァさんのことも、
そうやって見つけたわけですか。
高橋 自分で見つけたというより、
教えていただいたんです。
「この絵をどう思う?」と。
── あ、そうでしたか。
高橋 たまたま見せていただいたのは、
『ちいさなちいさな王様』とか、
『エスターハージー王子の冒険』でした。
── そこで、ピンときた。
高橋 ええ、そうでしたね。
── いろいろな展覧会を企画されている
高橋さんですが、ゾーヴァさんはとくに。
高橋 はい。
── だいぶ、高橋さんの熱さを感じます(笑)。
高橋 そうですね、そうかもしれません(笑)。
前回のゾーヴァ展で、初めて原画を観まして。
もう、すばらしいんですよ。
ホップ、ステップ、ジャンプじゃないですけど
何作か挿画などをみたあとで原画を観て、
一気に、飛躍的に好きになりました。
── 原画は、そんなに。
高橋 そうですね。
さらに、今回は企画から関われたことも
私にとっては大きかったです。
── え? じゃあ、前回は?
高橋 来る作品がパッケージのようになって
決まっていたんです。
もちろんそれはそれですばらしかったのですが。
── それが今度は、観たい作品を選べた。
高橋 そうなんですよ。
作品のリクエストの段階から関われましたし、
実際、ゾーヴァさんのご自宅や
アトリエにお邪魔して
ゾーヴァさんのお人柄まで
拝見することができたんです。
 
ゾーヴァさんのアトリエにて
── すごい。
それは思い入れもひとしおになりますね。
高橋 ほんとに暖かく迎えていただいて、
奥様の手料理までごちそうになって。
 
ゾーヴァさん宅のお庭で
── ゾーヴァさんはどんな方でした?
高橋 とても穏やかで、
そうですね、のんびりとした印象でした。
大勢のスタッフでうかがったんですが、
かまえることなくお話をしてくださいました。
── ああ、うらやましい取材です。
高橋 この取材で、ちょっとおもしろいというか、
今回の展覧会のポイントになることが
わかったんです。
── と言いますと?
高橋 ゾーヴァさんの絵が、変化してるんです。
── 変化、ですか。
高橋 ええ。
例えば私たちが「この絵を展示したい」と
資料を見せながらお願いすると、
「ああ、それはいま、こうなってる」と、
描き加えられた絵を出してくださるんです。
── ああー、つまり自分の作品に上塗りを。
絵が変化していくって、そういうことでしたか。
高橋 たとえば、この『ちいさなちいさな王様』。

「ちいさなちいさな王様」より
© Michael Sowa
── はい。
高橋 最初に描かれたときには新聞の左に、
卵があったんですよ。
── 卵。
高橋 それで、これがちょっと情報が錯綜しまして、
「今回やってくるのは卵あり」
「やっぱり卵なし」
「いや、卵ありで」
と情報が2転3転しまして。
── なんか、
ラーメン屋さんの会話みたいですね(笑)。
高橋 はい(笑)。
結局は、卵なしが展示されることになりました。



── へえ〜、おもしろいですねえ。
高橋 この作品の場合は上塗りですが、
「コピーをとってその上に上塗りする」
という方法のものもあるんです。
── ええと、その場合は‥‥
オリジナルは残るから、
似ている雰囲気の絵が何枚もあることに?
高橋 そのあたりが、謎も多くて、
どれがオリジナルなのか、
そもそもオリジナルはもうないのか、
いろいろと不明なままなんですよ。
── それは、
作品の整理がたいへんそうですねえ‥‥。
具体的にはどうやって集めて、
どのように整理されていかれたのでしょう?
高橋 それについては、
須賀さんからお話いただいた方が
いいのかもしれませんね。
須賀 あ、急にきましたね(笑)。
ぼくからですか。


── お待たせしてすみません、須賀さん。
ぜひ、お話をお願いします。
 
(須賀さんのお話につづきます)
2009-04-28-TUE

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第1回
松屋・高橋千佳さん
企画立案の仕事。


第2回 
読売新聞社・須賀幸峰さん
主催、制作進行の仕事。

第3回 
編集者・柴田こずえさん 
図録制作の仕事。