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糸井 |
ぼくが最初に
ゾーヴァさんの絵を観たのが
雑誌に小さく載っていた
この絵だったんですよ。 |
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『ちいさなちいさな王様』より
(画像をクリックすると絵を拡大します。) |
ゾーヴァ |
これは日本でぼくの絵が最初に
翻訳出版された本に入っている作品ですね。
(※編集部註
この絵が収載されている本は『ちいさなちいさな王様』です) |
糸井 |
もうねー、
なんて言っていいかわからなくて
「こんなの描いている人が
どっかにいるんだー」って
とにかくびっくりしたんです。 |
ゾーヴァ |
この絵はあっていないところが
あるんですよね。
前の角砂糖が入って、
波を打っているのにもかかわらず
もう次の角砂糖を手に持つなんて
不可能なことなのに‥‥。 |
糸井 |
そうです、そうです。
ふたつの時間がこの絵の中に入っているんです。
それは、熊がしゃべるのと同じことですから。
ありえないことがあるのが
うれしいと思ったんです。 |
ゾーヴァ |
ええ、ええ、そうですね。
ぱっと観たときに、
この絵がおかしいと
ケチをつけられないといいなと
願うばかりです。 |
糸井 |
これ(角砂糖の入った跡)がなかったら
この魅力は減ると思う(笑)。 |
ゾーヴァ |
そのとおりですね。
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糸井 |
ゾーヴァさんの絵の中にはいつも
二つの世界が自然にとけ込んでますよね。
それが非常に日本人の仏教的感覚に
合っているような気がするんです。
ひとつの神様じゃなくて
どこにでも神様がいて
それぞれが親しいんだっていう関係。 |
ゾーヴァ |
それはうれしいなぁ。 |
糸井 |
だからこれは日本人はみんな好きになるぞと
思ったんですね。
神様がひとつの国の人の発想と
沢山いる国の人たちの発想とは
違うんだと思うんですけど
ゾーヴァさんの中では
ふたつの発想が仲良くなっているという
構造なので興味はつきないですね。 |
ゾーヴァ |
そちらの方向のテーマを
考えたこともありませんでした! |
糸井 |
自然に描いてしまうんですかね。
必ず両方はいっているんですよ。
すごいなと思って。
ぼくらが好きになる理由は
とっても見つけやすい。 |
ゾーヴァ |
日本でこんなに広く知られて
熱狂的なファンがいるという状況は
もしかしたらそういうことなのかもしれないです。
ドイツは敬虔なクリスチャンの国という
イメージがあるみたいですけれども
そんなに宗教的ではなくなってきていますね。
特に東独との統一の後は
東独はそれほど宗教的ではなかったので
宗教色は薄まったような気がします。 |
(つづきます) |
【通訳】
ゾーヴァさんと糸井重里の対談は
ゾーヴァさんの本を何冊も翻訳されている
木本栄さんに通訳をお願いしました。 |
2006-02-02-THU |