「ヘリーハンセン原宿店」ショップスタッフに聞く。 「MXP」ってどうですか?

tsuki.s デザイナー 末永津喜子 パタンナー 小澤花樹

予告11

2019AWのラインナップについてtsuki.sデザイナーの
末永さんにお話を伺った際、
もっとも印象に残った言葉が「男はだまって畦(あぜ)」。
穴が開いても修理にだして、
ネームタグがぼろぼろになっても、
お直しをして着続けたいと思わせる魅力が、
tsuki.sの「メンズアゼニット」にはあります。
そして11月にはもうひとつ、
お母さんの思い出を再現したかわいらしいカーディガンも。
末永さんの「糸」と「編み物」の知識が凝縮されたこの2アイテム。
自信をもっておすすめします!

末永 津喜子(すえなが つきこ)

糸会社にて編物講師、ニットテキストのデザインを経て、
大手アパレルのニットデザイナーとなる。
2011年に自身のブランド tsuki.s を立ち上げ
現在にいたる。

小澤 花樹(おざわ はなき)

美術大学で版画を学んだ後、
アンティーク着物の販売や
アパレルでの経験を経て、tsuki.sの立ちあがりを共に手伝い、
現在にいたる。


メンズ 強撚アゼニット プルオーバー ¥36,300(税込)

着る人の個性があらわれる

――
ウールのニットって、
もっとこうふわっとしたタッチをイメージしますが、
これはシャリっとした肌あたりで、すごく気持ちいい。
この生地感、どうやって生まれるのですか?
末永
上質な糸を、
これでもかっていうぐらいに撚りをかけているんです。
もうギュンギュンに。
でも、いい糸だから切れずに持ちこたえられる。
強く撚りをかけた糸を「強撚糸」(きょうねんし)
といいますが、これはふつうの強撚糸ではなく、
これは前職のときの先輩が紡績屋さんに
「こんな糸がほしい」とお願いしてつくってもらった
とくべつな糸なんです。
――
糸に秘密が隠されていたんですね。
ハリコシのある手ざわりで、
ウール100%なのが信じられないぐらいです!
末永
撚りがかかっているから、ウール特有の毛羽が抑えられて、
毛玉にもなりません。
長く着ていただくとすり減ったりすることはあっても、
毛玉はぜったいにできないですね。
小澤
あまく撚ってある糸だと、
毛羽がからみあって毛玉にもなりやすいですから。
このニットを10年以上着てくださっている方でも、
毛玉ができているのは見たことがないです。
――
すごい!
ウールのニットで毛玉ができないなんて。
それが悩みのタネでもありましたから。
小澤
お手入れも楽ですし、
生地が伸びてだれてくることもないです。
――
そして、柄のように見える畦(あぜ)は
立体感があって表情を豊かにしていますね。
末永
畦編みのセーターってたくさんありますが、
重くて太って見えてしまいがち。
だから、強撚した糸をあえてちょっとゆるめに編んで、
生地のしぜんな伸びが出るようにしています。
着てみると、ほどよく落ち感があってすっきり見える。
横にも伸びるので、おなかが出ている方でも
きゅうくつさを感じることなく着られると思います。
小澤
強撚糸をつかったニットは
ツキドットエスの定番としてつくっていますが、
着ごこちがよくてきれいに見えるから、
リピート買いしてくださる方も多いです。
末永
わたしの夫は、ふだんスポーティな格好をしていて、
めったにセーターを着ないんですが、
このニットを着たときは
「今日すてきですね」って言われるみたい
――
着る人の印象がいつもとはちがって見えて、
好感度がぐっと上がる。
末永
知的な印象をぐっと引き立ててくれます。
トレンドを追ったデザインでもないですし
ベーシックですが、そのぶん10年先も着られるし、
その人の個性を際立たせてくれます。
小澤
コーディネートを考えることが面倒くさいと思われる方でも、
これが一枚あるだけですんなり決まります。
これまで本当にいろんな方に着ていただきましたが、
みなさんそれぞれに個性が立つ感じがありましたね。
末永
着ている洋服が前に出るより、
その人の個性が着ている雰囲気に出ると思います。
年齢を重ねていっても、いつも手元に置いてもらえる、
そんなアイテムになってほしいなと思っています。


レディス 強撚ニットカーディガン ¥40,700(税込)

小さな裏方仕事が大事なかわいさを生む

――
レディスのカーディガンは、もうとにかくかわいい。
微に入り細にわたって、心惹かれるディテールがたくさん!
末永
メンズはプレーンなデザインで
個性を引き立てる控えめさがありましたが、
レディスはわたしが小さいころに
母が編んでくれた手編みのニットのような、
かわいくてなつかしい、そんな愛着を感じられるものが
できたらいいなと思ってつくりました。
――
端っこがくるんとなった丸まりがかわいい。
切りっぱなしではないですが、
編みっぱなし? のような仕立てですね。
小澤
「引き抜きで始末」しているのでこういう丸まりがでます。
編み物をされている方は分かると思うんですが、
あえてこの伏せ止めの目を表に出すようにして
引き抜き編みをしています。
これは手作業でしかできませんね。
――
手作業で!
袖口のスリットも女性らしさがあり、かわいいです。
末永
ここは、いったん途中で編むのを止めて、
重ねてふたたび編むことでできる意匠です。
ツキドットエスのアイコニックなデザインのひとつですね。
袖があまる方は、袖を折ってもかわいいんですよ。
カフスみたいな見え方になって。
――
(袖を折って着てみると)
ああ、かわいい! 
さっきからかわいいしか言ってませんが(笑)、
あ、よく見るとポケットも身ごろとつながっているような
デザインになっていますね。
小澤
そう、つながっているんです。
切っていなくて、編み目を拾って
いっしょに編んでいるだけなんです。
ポケット口にはギャザーを寄せてアクセントに。
――
うん。女性は大好きなディティールですね。
たくさん並んだボタンもかわいいですが、
何でできているんですか?
末永
アコウ貝ですね。
うすくて小さくて、ナチュラルな色合いも
ニットにすっとなじみます。
ボタンホールも切っていなくて、
ミシンで編みながらあけているんです。
透かし編みという技法で、すき間をつくって
小さなボタンが通る穴をつくっています。
――
それぞれの部分で、編み方を変えているんですね。
末永
部位に応じて、できるかぎりその方法でしか
編めないやり方をとっています。
でも、編み方に関して語ればいろいろ出てきますが、
それはあくまで裏方であって、
つまるところかわいくて選んでもらうのがいちばんですね。
――
ひと目見てかわいいと思う気持ちが先立ちましたが、
奥に秘められたひとつひとつのこだわりが、
親しみやすさやかわいらしさを感じるかたちとなって
あらわれているんですね。
末永
母が編んでくれたニットを、
今っぽく再現できたかなと思います。
手編みっぽく見えますが、
そのままやると手芸の世界になってしまうので、
機械で編む長所と手編みのよさ、
どちらもうまく取りいれながらかたちにしています。
――
素材もシャリっとしたウールでチクチクもせず、
うすくて軽いから真夏以外ずっと着られそう。
末永
素材が何か知らない方がさわって、
ウールとは当てられないですからね。

着かたも自由にたのしんで。
ボタンの上だけ留めると裾が広がってワンピースに合うし、
きっちり前を閉めて上品に着てもいいですしね。
わたしなんか、途中までボタンを閉めて、
かぶっちゃうときもあります。
そんな着かたもかわいいでしょう?
――
いいですね! 
Tシャツやデニムに合わせて
ちょっとラフに着たくもなりました。
末永
トラディショナルにもカジュアルにも振れて、
ロングシーズン着られる万能さが、
このカーディガンにはありますね。
――
シワにもならず、
持ち運ぶのもまったく苦にならなそうです。
いまから着るのがたのしみです!
ありがとうございました。

メンズ
強撚アゼニット プルオーバー
¥36,300(税込)

「ツキドットエス」じまんの男性向けのニットです。
さわってみるとシャリっとした感じがあるのですが、
じつはウール100%。
5年10年と長く着つづけても毛玉ができる心配はありません。
柄のようにも見える、
凹凸がしっかりした畦(あぜ)があることで、
着る人の体型にすっとなじんで
「すてきに見える」と評判です。
厚すぎないので、秋から春先まで長くお使いいただけます。
グリーン・ベージュ・ネイビーの3色展開です。

レディス
強撚ニットカーディガン
¥40,700(税込)

くるっと丸まった端のしまつに、
ていねいな手仕事を感じるボタンホールの縫い目。
あたたかみのあるカーディガンで、
小さいころにおかあさんが手編みしてくれたような
なつかしさがこみあげます。
きちんとした佇まいの中に女性がよろこぶ
「かわいい」が散りばめられていて、
うすくてかるいので、くるくるっと小さく丸めて、
持ち運ぶのにもべんり。
ネイビーとビスケット、2色からお選びください。

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