01.山本祐布子さん インタビュー

元気な線と、やさしいモチーフと、やわらかな色。

山本祐布子さんプロフィール

イラストレーター。
雑誌や広告、プロダクトデザインの
ディレクションで活躍。
現在はイラスト仕事の他に、
夫である蒸留家の江口宏志氏とともに、
千葉県房総半島にあるmitosaya薬草園蒸留所で
日本全国の優れたフルーツやハーブを用いて、
蒸留酒づくりの運営に関わると同時に、
ジャムや、お茶など
ノンアルコール部門を主に担当。
二児の母でもあり、犬、猫、鶏も世話をする忙しい日々。

元気な線と、やさしいモチーフと、やわらかな色。

──
ほぼ日ではいままでに
weeksdaysのボディゲルのボトルイラストや、
miknitsの生地のイラストを描いていただきましたが、
今回はハラマキのデザインをしていただきました。
すごくすてきな柄にしていただいて、
ありがとうございます!
山本
私も発売されるのがたのしみで、
待ちきれない気持ちです。
──
それぞれに魅力的なデザインで、
たくさんの方によろこんでいただけそうです。
山本
うれしいお言葉、ありがとうございます。

色もすごくきれいで。
馴染んだ色なので、
選り好みなく選んでいただけるかと思います。
──
大人っぽくて使いやすそうですね。
山本
冬の贈り物にして、友達にプレゼントすると
よろこんでくれそうだなぁと思って。
──
たしかに、贈り物にもぴったりですね。
山本
そうなんです。
──
ふだん山本さんはイラストなどのお仕事を
なさってますけど、
ハラマキのデザインは、はじめてですか。
山本
はじめてですね。
ほぼ日のオリジナル商品にハラマキがあるのは
知っていたんですけど、
なんとなくパキッとしたイメージを持っていたので、
はじめは、ちょっと「ん?」と思ったんですよ。
「私の絵で、できるのかな?」という気持ちがあって。

そう思うようになるまで、少し時間がかかりました。
ふだん描く絵は、わりと繊細な線で、
色もグラデーションで水彩だったりするので、
線が細い絵をハラマキにのせたときにどうかな?
っていう気持ちがあったので。

でも、私なりに私なりの世界観で作れば、
ハラマキのように、いままでやったことのない素材でも、
できるのかなぁと思って。

それで、デザインのやり取りをするなかで、
「もっと線を太くしてみましょうか」
とアドバイスをいただきました。
「そっか!」と思って、けっこう太い線を、
もう思いっきり描いてみたんです。
自分でも「こんなに太く描くかなぁ?」っていう感じで。

いつもは、線にニュアンス付けるときに、
細いペンで描くことが多かったので、
今回は、けっこう太いペンで、わあーっと(笑)
元気な線を描いてみたら、それが思いのほか楽しくって。
「あ、いいなぁ」と自分でも感じました。
新しい発見のある仕事でしたし、
自分の作品にも活かしていけそうだな
という感じがありました。
──
この植物の絵も、元気な感じありますよね。
山本
ハラマキになって、はじめて見せていただいたとき、
「すごくかわいい」と思って。
ものになってほんとに絵が活かされたな
という感じがあります。
──
今回、3種類デザインしていただきましたね。
山本
まず、一番はじめに思いついたのは植物です。
直接、肌に触れるようなものだから、
モチーフとしても、
あまり尖った印象のない絵柄がいいかなと。
mitosayaの薬草園の植物は、
私の得意なモチーフでもありますし。
──
それで薬草なんですね。
山本
薬草はいまは煎じて飲んだりすることが多いけれども、
原始的には、たとえば、
ちぎって擦って傷を癒やすとか、
そういうものでもあったんです。
ハラマキの絵柄にすることで、
「薬草が身体を包んでくれてる」という、
そういうイメージが生まれるのも、
なんだかいいんじゃないかなと思って。

もちろん、
絵柄にそういう効果はないと思うんですが、
癒やしてくれるモチーフが描かれているのが
いいなと思った、ということですね。

だから、薬草園にあるような植物は
絶対描いてみたいなと思いました。

LEAVES(ハラマキ)

──
その次に思いついたのは?
山本
動物です。それで、犬。
わたしが犬が大好き、
という単純な理由なんですけど(笑)。

犬も癒してくれるような存在でもあるし、
犬をモチーフにすることで、
ちょっと毛っぽい感じが生まれて、
動物とハグしてるような感じも出たら面白いなと。

この動物柄のハラマキ、
子どもがしてたら、きっとかわいいですよね。
ハラマキの子どもサイズっていうのは‥‥
──
子どもサイズ、ありますよ。
山本
ほんとですか!
よかった。
子どもがしてたら絶対かわいいと思うので。

親しみやすいぬいぐるみみたいな感じで、
デザインの中にこういうのが、一つあるといいなと思って。
それなら絶対、うちの「ムギ」をモチーフにしてみようと思って。
──
山本さんちで飼ってらっしゃるムギちゃん。
人懐っこくてかわいいですよね。
今日も薬草園の入り口でお迎えしてくれて、
この建物まで案内してくれたんですよ!
山本
そうだったんですね。
この絵柄は子犬のころを描いたので、
いまは、だいぶたくましくなってきちゃった
気がするけど。

DOGS(ハラマキ)

──
そして、3つめがお花ですね。
山本
お花は、ふわっとした花びらの感じが
ハラマキに合うんじゃないかと思って。


やわらかさが表現できるといいなと。
──
何かのお花をイメージして描いたんですか。
山本
具体的に、これですという花はないんですけど、
牡丹とか、芍薬とか、ラナンキュラスみたいな、
ほわっと咲くお花ですね。
──
薄い花びらが何枚も重なってるような感じでしょうか。
山本
そう、中心からほわっと咲くような。

ハラマキの身につけるとお腹がほっとする感じ、
そういう感覚に近い絵を、と思って、
ほわっとしたお花のイメージで描きました。

FLOWERS(ハラマキ)

山本
というわけで、揃ったのが、
この3つのデザインです。
──
どれもかわいくて迷っちゃいます。
色はどういうふうに決めていったんですか。
山本
あまりビビッドなものではなく、
落ち着いた色目がいいかなと思って、
こういう感じにしてみました。

たくさんの人が手に取って使うものなので、
わりとニュートラルな色合いで、
どんな人が使ってもしっくりくるように。

動物柄のこれはなんとなく、
ムギの毛の色のような‥‥
──
わー、そう言われるとムギちゃんっぽい。
山本
そうそう。
トーンをぶつけ合うというよりかは、
同じようなの色の濃淡で見せていく方が、
やわらかい感じになるかなと思いました。
──
お花柄の色は、
山本さんに描いていただいたときのトーンは、
ピンクっぽいもので、そのあと、
こちらで調整させていただいたんですけど、
どうでしたか?
山本
いいと思います。
実際にものとして作っていく過程で、
いろいろ意見いただいて決めてもらうのも、
私はけっこう好きで、
こうじゃなきゃダメということが、
あまりないようにしたいと思ってます。
赤いハラマキって
めちゃくちゃあったかそうですよね。
──
そうですね。
赤い色のハラマキは、けっこう人気があるんですよ。
山本
デザインによって、
ちょっと素材の感じがちがうんですよね。
──
はい。
ムギちゃんはのびのびタオリンという素材です。
しっかりとした巻き心地で、
ある程度、厚みがあります。
山本
ほんとだ。
さわり心地もすこしふっくらしていて、
かわいらしい感じがする。
──
植物柄と花柄の2つはうすいタオリンという素材です。
山本
少しうすくて、ちょっと大人っぽい感じですね。
山本
湯たんぽもかわいいですよね。
なんだかムギが全身であっためようとしている、
みたいな感じで(笑)。
そういう雰囲気が出てよかったなと思います。
──
全身ぽかぽか、あたたかい冬になりそうです。
ありがとうございました!

(おわり)

山本祐布子さんがゲストキュレーターとして、
LDKWAREの「いいものリレー」に登場。
こちらからどうぞ。

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