山本祐布子さんプロフィール
イラストレーター。
雑誌や広告、プロダクトデザインの
ディレクションで活躍。
現在はイラスト仕事の他に、
夫である蒸留家の江口宏志氏とともに、
千葉県房総半島にあるmitosaya薬草園蒸留所で
日本全国の優れたフルーツやハーブを用いて、
蒸留酒づくりの運営に関わると同時に、
ジャムや、お茶など
ノンアルコール部門を主に担当。
二児の母でもあり、犬、猫、鶏も世話をする忙しい日々。
元気な線と、やさしいモチーフと、やわらかな色。
- ──
- ほぼ日ではいままでに
weeksdaysのボディゲルのボトルイラストや、
miknitsの生地のイラストを描いていただきましたが、
今回はハラマキのデザインをしていただきました。
すごくすてきな柄にしていただいて、
ありがとうございます!
- 山本
- 私も発売されるのがたのしみで、
待ちきれない気持ちです。
- ──
- それぞれに魅力的なデザインで、
たくさんの方によろこんでいただけそうです。
- 山本
- うれしいお言葉、ありがとうございます。
色もすごくきれいで。
馴染んだ色なので、
選り好みなく選んでいただけるかと思います。
- ──
- 大人っぽくて使いやすそうですね。
- 山本
- 冬の贈り物にして、友達にプレゼントすると
よろこんでくれそうだなぁと思って。
- ──
- たしかに、贈り物にもぴったりですね。
- 山本
- そうなんです。
- ──
- ふだん山本さんはイラストなどのお仕事を
なさってますけど、
ハラマキのデザインは、はじめてですか。
- 山本
- はじめてですね。
ほぼ日のオリジナル商品にハラマキがあるのは
知っていたんですけど、
なんとなくパキッとしたイメージを持っていたので、
はじめは、ちょっと「ん?」と思ったんですよ。
「私の絵で、できるのかな?」という気持ちがあって。
そう思うようになるまで、少し時間がかかりました。
ふだん描く絵は、わりと繊細な線で、
色もグラデーションで水彩だったりするので、
線が細い絵をハラマキにのせたときにどうかな?
っていう気持ちがあったので。
でも、私なりに私なりの世界観で作れば、
ハラマキのように、いままでやったことのない素材でも、
できるのかなぁと思って。
それで、デザインのやり取りをするなかで、
「もっと線を太くしてみましょうか」
とアドバイスをいただきました。
「そっか!」と思って、けっこう太い線を、
もう思いっきり描いてみたんです。
自分でも「こんなに太く描くかなぁ?」っていう感じで。
いつもは、線にニュアンス付けるときに、
細いペンで描くことが多かったので、
今回は、けっこう太いペンで、わあーっと(笑)
元気な線を描いてみたら、それが思いのほか楽しくって。
「あ、いいなぁ」と自分でも感じました。
新しい発見のある仕事でしたし、
自分の作品にも活かしていけそうだな
という感じがありました。
- ──
- この植物の絵も、元気な感じありますよね。
- 山本
- ハラマキになって、はじめて見せていただいたとき、
「すごくかわいい」と思って。
ものになってほんとに絵が活かされたな
という感じがあります。
- ──
- 今回、3種類デザインしていただきましたね。
- 山本
- まず、一番はじめに思いついたのは植物です。
直接、肌に触れるようなものだから、
モチーフとしても、
あまり尖った印象のない絵柄がいいかなと。
mitosayaの薬草園の植物は、
私の得意なモチーフでもありますし。
- ──
- それで薬草なんですね。
- 山本
- 薬草はいまは煎じて飲んだりすることが多いけれども、
原始的には、たとえば、
ちぎって擦って傷を癒やすとか、
そういうものでもあったんです。
ハラマキの絵柄にすることで、
「薬草が身体を包んでくれてる」という、
そういうイメージが生まれるのも、
なんだかいいんじゃないかなと思って。
もちろん、
絵柄にそういう効果はないと思うんですが、
癒やしてくれるモチーフが描かれているのが
いいなと思った、ということですね。
だから、薬草園にあるような植物は
絶対描いてみたいなと思いました。
LEAVES(ハラマキ)
- ──
- その次に思いついたのは?
- 山本
- 動物です。それで、犬。
わたしが犬が大好き、
という単純な理由なんですけど(笑)。
犬も癒してくれるような存在でもあるし、
犬をモチーフにすることで、
ちょっと毛っぽい感じが生まれて、
動物とハグしてるような感じも出たら面白いなと。
この動物柄のハラマキ、
子どもがしてたら、きっとかわいいですよね。
ハラマキの子どもサイズっていうのは‥‥
- ──
- 子どもサイズ、ありますよ。
- 山本
- ほんとですか!
よかった。
子どもがしてたら絶対かわいいと思うので。
親しみやすいぬいぐるみみたいな感じで、
デザインの中にこういうのが、一つあるといいなと思って。
それなら絶対、うちの「ムギ」をモチーフにしてみようと思って。
- ──
- 山本さんちで飼ってらっしゃるムギちゃん。
人懐っこくてかわいいですよね。
今日も薬草園の入り口でお迎えしてくれて、
この建物まで案内してくれたんですよ!
- 山本
- そうだったんですね。
この絵柄は子犬のころを描いたので、
いまは、だいぶたくましくなってきちゃった
気がするけど。
DOGS(ハラマキ)
- ──
- そして、3つめがお花ですね。
- 山本
- お花は、ふわっとした花びらの感じが
ハラマキに合うんじゃないかと思って。
やわらかさが表現できるといいなと。
- ──
- 何かのお花をイメージして描いたんですか。
- 山本
- 具体的に、これですという花はないんですけど、
牡丹とか、芍薬とか、ラナンキュラスみたいな、
ほわっと咲くお花ですね。
- ──
- 薄い花びらが何枚も重なってるような感じでしょうか。
- 山本
- そう、中心からほわっと咲くような。
ハラマキの身につけるとお腹がほっとする感じ、
そういう感覚に近い絵を、と思って、
ほわっとしたお花のイメージで描きました。
FLOWERS(ハラマキ)
- 山本
- というわけで、揃ったのが、
この3つのデザインです。
- ──
- どれもかわいくて迷っちゃいます。
色はどういうふうに決めていったんですか。
- 山本
- あまりビビッドなものではなく、
落ち着いた色目がいいかなと思って、
こういう感じにしてみました。
たくさんの人が手に取って使うものなので、
わりとニュートラルな色合いで、
どんな人が使ってもしっくりくるように。
動物柄のこれはなんとなく、
ムギの毛の色のような‥‥
- ──
- わー、そう言われるとムギちゃんっぽい。
- 山本
- そうそう。
トーンをぶつけ合うというよりかは、
同じようなの色の濃淡で見せていく方が、
やわらかい感じになるかなと思いました。
- ──
- お花柄の色は、
山本さんに描いていただいたときのトーンは、
ピンクっぽいもので、そのあと、
こちらで調整させていただいたんですけど、
どうでしたか?
- 山本
- いいと思います。
実際にものとして作っていく過程で、
いろいろ意見いただいて決めてもらうのも、
私はけっこう好きで、
こうじゃなきゃダメということが、
あまりないようにしたいと思ってます。
赤いハラマキって
めちゃくちゃあったかそうですよね。
- ──
- そうですね。
赤い色のハラマキは、けっこう人気があるんですよ。
- 山本
- デザインによって、
ちょっと素材の感じがちがうんですよね。
- ──
- はい。
ムギちゃんはのびのびタオリンという素材です。
しっかりとした巻き心地で、
ある程度、厚みがあります。
- 山本
- ほんとだ。
さわり心地もすこしふっくらしていて、
かわいらしい感じがする。
- ──
- 植物柄と花柄の2つはうすいタオリンという素材です。
- 山本
- 少しうすくて、ちょっと大人っぽい感じですね。
- 山本
- 湯たんぽもかわいいですよね。
なんだかムギが全身であっためようとしている、
みたいな感じで(笑)。
そういう雰囲気が出てよかったなと思います。
- ──
- 全身ぽかぽか、あたたかい冬になりそうです。
ありがとうございました!
(おわり)