HOBONICHI

NAOMI ITO 水彩画を着る

VネックとUネック、
どちらを前にしてもきまる2WAYのコクーン。
たっぷり身幅で、サイズはひとつ。

水彩画家・テキスタイルデザイナーの
伊藤尚美さんといっしょに考えたこのかたち。
両手をひろげると、
全体が繭のようなかたちをしていることから
「コクーン(繭)」と名付けました。

前回との違いは、襟と裾のデザイン。
襟は、片方がVネック、もう片方がクルーネックで、
どちらを前にしてもきまる2WAYです。
気分にあわせてふたつの表情をたのしめます。

そして、裾は、前回のまあるいかたちから、
ストレートにしました。
全体的に長めになったことで、
より絶え間なくドレープが生まれます。
この絶妙なラインを探り出すまで、
何度も作り直しをして、
ようやくたどり着いたかたちです。

カジュアルにも、フォーマルにも、
合わせる服やアクセサリーで、
いろいろな着回しができる優れたかたちです。

伊藤尚美さんのプロフィール

伊藤尚美

水彩画家・テキスタイルデザイナー。
1994年から大阪・東京・パリで作品の発表をはじめ、
2002年にテキスタイルブランド
「nani IRO」のプロデュースを開始。
ダブルガーゼやコットン、
リネンにのせられたデザインが魅力で、
日本のみならず海外15カ国以上で広く支持されています。
ADC賞、TDC賞、ブルノ国際グラフィックデザイン・
ビエンナーレなど入選多数。
近著に『詩を描く』(ITSURA BOOKS)
『ATELIER to nani IROのソーイングクローゼット』、
『ナニイロの こどもふく』(文化出版局)があります。
現在は故郷の伊賀の自然あふれる土地にアトリエをもち、
日々、制作をつづけています。

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かたちとサイズ

襟:Vネックとクルーネックの2WAY。
肩:どんな肩にもなじむライン。
袖:二の腕が細く見えるかたち。
裾:ストレートで自然に。


もっとたのしく、いろいろに。

――
今回は、かたちに変化がありました。
伊藤
そうですね。
ここへ、たどり着きましたね。
――
前回は、コクーンっていう名前のとおり、
シンプルに丸いものでした。
今回は、裾を直線にして、
首まわりのかたちも変えたんですね。
伊藤
襟ぐりを、前後どちらでも着られるように。
ひとつは控えめなVネックにして、
もう片方はクルーネックのような丸いライン。
――
前でも後ろでも着られるのは、いいですよね。
しかも、印象が全然違うんですよ。
2着持っているような気分。
伊藤
どっちで着たときも違和感なく、
布が自然に体に沿って落ち着くように
細かい調整をしてくださったんですよねー。
5ミリぐらいのラインの修正を2、3回。
ほんのちょっとなんだけど、
そこがめっちゃ良くて。
――
良かったです。
伊藤
私はたぶん、丸を前にするのが好き。
そこはみなさん、お好みでね。
これ、Vを前にすると「和」です。
――
縁取りのVのところがちょっと重なっていて、
キモノの襟もとみたいです。
裾のラインがまっすぐになりましたけれど、
ボトムにインしてもいいし、
入れずにフワッと着ることもできます。
バランスのとりやすい丈ですよね。
伊藤
ボトムスにインして着るとき、
裾を左右からたたむようにすると、
もっとキモノみたいになるんですよ。
――
置いてあるものを平面で見るのと、
人の体が入るのとで、
全然印象が変わりますね。
伊藤
今回もひとつのかたちというのが
良かったです。
それぞれのテキスタイルの個性が
はっきりと見えるんですよね。

かたちよく、着心地よく。

――
肩から脇にかけてのまあるいラインも、
調整をしました。
伊藤
肩幅が狭いかたにも広い方にも似合うように
みなさんの肩のラインに
より自然に沿うようになっています。
――
肩幅に関係なく、よりフィットするかたちに。
伊藤
肩から脇にかけてのゆるいカーブも、
ちゃんと役割をはたしていて。
袖はつけてないんですけど、二の腕が隠れます。
――
二の腕が隠れるのは、大事ですよね。
ふわっと布を羽織っただけのように見えて、
じつは、機能的な服なんですよね。
――
そして、ワンピース。
丈を伸ばしただけのようですけれど、
ちょっと裾がすぼまっていますよね。
ひらひらしすぎなくて、スマートです。
丈があるから、ドレープがきれいに出て。
伊藤
これ、夏めちゃめちゃ楽だと思います。
こんな軽い服ない、って、よく言われるんですよ。
――
シンプルで、余計なものがないデザインだし。
重ね着すれば、季節をまたいで使えますね。
伊藤
ウエストをベルトなんかで絞っても、
そのままゆったりと着てもいいですよね。
――
これだけあると、
どれを買うか迷いますね。
伊藤
ふふふ、うれしいです。
――
確かにいろんな年齢層に。
顔うつりがいい色はどれだろうとか、
考えるのもたのしいですね。
伊藤
そうなんですよ。
布のバリエーションもありますしね。
――
布は、コットンのローンやダブルガーゼ、
コットンシルク、それから薄手のリネン。
どれも天然素材ですから、肌にやさしい。
色や柄と、布の質感の組み合わせも
絶妙なんですよね。
素材によって、落ち感も違いますし。
伊藤
シルクはフワッと、するっとした感じですよね。
コットンやリネンはほどよくハリがあって
コクーンっぽいラインがきれいに見えて。
――
ぜひたくさんの方に着ていただきたいです。
伊藤さん、ありがとうございました。

(おわります)

2023-06-27-TUE