- ──
- というわけで、今日はあらためて
「おらがジャム・あんず」のことを、
糸井さんに語っていただけたらと
思っています。
まずはできたばかりのものを
食べていただいて‥‥。
- 糸井
- いや、ことしもおいしいに決まってるもの。
(と、トーストにジャムをのせてがぶり)
‥‥これ、もう、何も文句ないけどな。
- ──
- (一同笑)
- 糸井
- うちのジャム、圧倒的に
よそよりうまいよね。
- ──
- 「このジャムを食べたら、
ほかのジャムを食べれなくなった」
という話もよく聞くんです。
- 糸井
- そういう人もいるだろうね。
そしてこのジャム、
どんどん食べちゃうんだよね。高いのに。
- ──
- はい、値段はどうしても高いんです。
旬のくだものをたっぷり使って、
原価も手間もかかっているので。
- 糸井
- オーブンドライしてから煮込むから、
あんずの嵩が減っちゃうし(笑)。
- ──
- そうなんです(笑)。
- 糸井
- だけどこのジャムって結局、
こういうものを自分が食べたいとか、
友達にあげたいという理由で
作りはじめたものだから、
そもそもが原価とか関係ないんだよね。
商品にしようと思って作ってないから。
長野県千曲市の旬のあんずをオーブンドライしておいしさを凝縮し、惜しみなく使っています。
- ──
- 「商品開発」みたいなことじゃなく、
純粋に食べたいものを作ったジャム。
- 糸井
- そう、だから
「値段を考えて材料の価格を抑えよう」
とか、そういう要素を入れずに
純粋に好きな味を追求できてるんだよね。
- ──
- このジャムを「ほぼ日」で売るように
なったきっかけについても、
あらためて教えていただけますか?
- 糸井
- まず、自分がほしかったということが
ひとつありますね。
そして、人にあげると喜ばれるから
「もっとこのジャムをたくさん作れたら、
いろいろな人にあげられるのにな」
と思ったのが、もうひとつ。
それで、工場で作って販売できないかなと
考えはじめました。
- ──
- たしかにおらがジャムは、
おみやげに差し上げると
すごくよろこばれますね。
あとから「あれおいしかったです」と
言ってもらうことも多いですし。
- 糸井
- それで最初は工場を探すところから
はじめたんです。
ただ、工場からすればすごく少量だし、
作り方も独特だから、
引き受けてくれるところが
なかなかなかったんです。
だけどそれをサンクゼールさんが
「やりましょう」と言ってくれて、
ようやく実現したものなんですね。
- ──
- サンクゼールさんのほうでも、
必要な設備がもともと全部あったわけでは
ないらしいんですね。
そこを工場のみなさんが工夫してくれて、
さらにいろいろな実験も重ねて、
いまのように作れるようになったと聞きました。
いまの「おらがジャム」があるのは、
サンクゼールのみなさんが
最初におもしろがってくれたところも
大きい気がしています。
長野にあるサンクゼールさんのジャム工場。
丘の上にある、緑いっぱいの気持ちのいい場所で
「おらがジャム」は作られています。
- 糸井
- そういう背景を持つものだから、
普通に売ってる商品と
ちょっと違うんですよね。
- ──
- とはいえまあ、どうしても量としては、
そんなに多く作れないのですが。
- 糸井
- 原料にも限りがあるし、手間もかかるからなあ。
だから今のところ
「食べてくれた人は家族です」
ってくらい、このジャムは狭いよね(笑)。
- ──
- はい、ご近所のおすそわけみたいな(笑)。
すこし話は変わりますが、
糸井さん自身は「おらがジャム・あんず」を
どんなふうに食べるのが好きですか?
- 糸井
- ぼくはこういうときに、
そんなにいろいろ食べ方のバリエーションを
紹介するつもりはないんです。
普通にバターかチーズと一緒に
トーストにのせるのが好きですね。
- ──
- ジャムバタートーストか、
ジャムチーズトースト。
ジャムチーズトースト。
(こちらは昨年ご紹介した山田英季さんのレシピの
ハム入りのもの。満足感たっぷり)
- 糸井
- あと、食べ方というとちょっと違うけど、
今日みたいに
「おいしいパン買ってきたよ」というときに
「ジャムあるよ?」「わぁ、いただきます」
というシチュエーションで食べるのも
好きですね。
- ──
- たしかにおいしいパンを買ってきたときに、
このジャムが冷蔵庫にあるのは
嬉しいですね。
やっぱりおいしいパンって、
おいしい方法で食べたいから。
- 糸井
- で、あえて正直に、
おすすめしない食べ方を言うと‥‥。
- ──
- え? そんなのもありますか。
- 糸井
- あのね、ヨーグルトはおすすめしない。
高くつきすぎる(笑)。
おいしいのはわかってるんだけど。
- ──
- あぁ(笑)、確かに一気になくなりますね。
- 糸井
- このジャムが一気になくなっちゃうのは
さみしいじゃない?
だからケチな話ですけど、
ぼくはヨーグルトを食べるときには、
ベースにはちみつを入れて、
このジャムは最後にトッピングとして
ちょっとだけ使うんです。
- ──
- なんだかちょっと、ショートケーキの
いちごみたいですね。
最後に華やかにしてくれる存在というか。
- 糸井
- お神輿(みこし)のてっぺんに
鳳凰(ほうおう)の像があるみたいにね。
上にのせることで、
全体がそのイメージになるんです。
そういう存在としては
うちの「おらがジャム」はもう女王様ですよ。
- ──
- 華やかな気分になりますね。
色もきれいだし。
- 糸井
- あと、チョコレートが好きな人は、
板チョコにこのあんずジャムを
ちょびっとのせるんだよね。
これもおいしいよ。
- ──
- おいしそうー!
- 糸井
- あと意外とぼくは、これを
パン・オ・レザン(レーズンパン)に
のせるのも好きなんです。
レーズンの甘さに加えて、
ちょっとこのあんずジャムをのせると、
うまいよね。too muchだけど。
- ──
- 甘いパンにのせるもいいですね。
- 糸井
- あと、アイスクリームも当然ね。
紹介しないとか言っときながら、
どんどん出てくるな(笑)。
今、あんずでばっかり想像してるけど、
いちごも当然おいしい。
- ──
- 今回発売するのはあんずですが、
「おらがジャム」は、
いちごもおいしいんですよね。
粒がごろごろしてて。
- 糸井
- うん、あんまり言うとアレだけど、
うちのジャム、ジャム同士で食べ比べたら、
負ける気がしないんだけどな。
いつも社員のみんなには
「おおげさに書いちゃいけない」
って言ってるけど、
個人的には俺、このジャムについては
本当にそう思ってるから(笑)。
- ──
- この感じのジャムは
なかなかない気がしますね。
ここまでいちごがごろっとしてたり、
ここまでフレッシュな
あんずの感じがあるとか。
- 糸井
- うん、本当にいちごだし、
本当にあんずだからね。
- ──
- 見方によってはすごく素朴というか。
- 糸井
- そうそう、「本気めんどくさ仕込み」ではあるけど、
本当に素朴に作ってるものだからね。
パッと目を引くものもたのしいし、
おもしろいけど、
「ずっと付き合うのはコメの飯(めし)」
っていうか。
ただ、「素朴だから許して」みたいなつもりは、
全然ないよね(がぶりと食べる)。
- ──
- そうですね。
- 糸井
- このジャムは、いちごやあんずそのものは
素朴なのに、
大きな風を起こすような
(また手にとって食べる)
……う~~~ん、
変える必要、なんにもないよね。
- ──
- はい(笑)。
- 糸井
- もうひとつ言わせてもらえば、
「おらがジャム」は毎年少しずつ
仕上がりが違うところもポイントですね。
- ──
- そうですね、糖度などの数値を
仕上がりの目安にしていないので、
毎年ちょっとずつ味わいが違います。
- 糸井
- サラッとした感じのときとね、
コクっとした感じのときとがある。
家で煮たのと同じだから、ばらつくんだよ。
ことしはコクっとしてる。
- ──
- はい、ことしは実残りもしっかりしてて、
とろみが強めですl。
「おらがジャム・あんず」は一般的なジャムと
比べるとさらっとしたタイプですが、
ことしのものは若干とろみが強めです。
- 糸井
- (食べ続けながら)
‥‥うん、いい感じね。
なんか、大当たりな気がするね、ことしね。
毎年思うことではあるんだけど、
ぜひみんなに食べてほしい。
- ──
- やっぱり食べものだから
「まずは食べてみてもらえたら」
とすごく思うんです。
そしたらおいしさが伝わるので。
試食とかができたらいいんですけど。
- 糸井
- だけどこのジャム、
レシピは出してるわけだし、
みんなそれぞれ自分で作ってみるのも
いいと思いますよ。
気分転換にもなるし。
ほぼ日のキッチンでジャムを煮る糸井。
(糸井は煮るとき、いつも土鍋をつかいます)
- ──
-
たしかにそうですね。
レシピを貼っておきます。
◎自分で作ってみる? 「おらがジャム・いちご」
◎自分で作ってみる? 「おらがジャム・あんず」
- 糸井
- で、やってみて
「いつもいつもこれをやってくの、
たいへんだな」と思ったら、
買ってもらえばいいわけだし。
実際作ってみてもらえば、
サンクゼールのみなさんが
毎年作ってくれているありがたさも
伝わると思うし。
- ──
- そうですね、みなさん、ほんとうに
いつもたくさんの量を
ていねいに仕込んでくださっているので。
- 糸井
- 「おらがジャム・あんず」は
ことしはいつ発売ですか?
- ──
- この前すべて煮上がりまして、
8月28日スタートです。
- 糸井
- いいね。もうすぐだ。
- ──
- そうなんです。もう少ししたら
届くと思うので、
糸井さんの部屋にも置いておきますね。
- 糸井
- はい、たのしみにしてます。
よろしくね。
‥‥と、いうわけで。
あんず自体のおいしさがぎゅっと詰まった、
本気めんどくさ仕込みのさわやかなジャム
「おらがジャム・あんず」。
2018年のものが、ついに完成しました。
コクっとしたおいしさのことしのものは、
8月28日(火)販売スタート!
自分用のとびきりのジャムとしても、
大事なかたへのちょっとした手みやげとしても、
おすすめのジャムです。
どうぞ、おためしくださいね。