毎年春、SIRI SIRIとほぼ日でつくる
パールのジュエリー、HOBO SIRI SIRI。
2023年で7年目を迎えます。



コンテンポラリージュエリーとして、
エッジのきいたデザインが特徴のSIRI SIRIに、
少しやわらかいチューニングをくわえたのが
HOBO SIRI SIRIです。



2023年は、いつものパールのジュエリーの他、
あたらしくガラスのジュエリーも加わる予定です。



この7年で、変わったこと、変わらないこと。
ブランドとしてのSIRI SIRIのこと、
今とこれからのこと、
あたらしいコレクションのことなどを
デザイナーの岡本菜穂さんが話してくださいました。

03

色をくわえて、

あかるく、大人っぽく
最後は、2023年のコレクションのお話。
あたらしい素材のこと、
デザインや色選びのこと。
とても深く考えられているんです。


耳元に、ニュアンスカラーを
あたらしいコレクションには、
色のあるのガラスのアイテムが加わりました。
3タイプ、2カラーあって、
どちらももともとSIRI SIRIにあったデザインを
ほぼ日のお客様をイメージして、
スピンオフしたものにしています。
ガラスでここまでのコレクションにしたのは、
HOBO SIRI SIRIでは初めてですね。



このピアスは、バーナーワークで作っています。
棒状のガラスを色ガラスで覆ったり、
色ガラスそのものを成形していったりします。
バーナーワークで使うのは耐熱ガラスですけれど、
耐熱ガラスってすっごく硬いんですね。
なんかちょっと表現しづらいんですけど、
液体な感じじゃないんですよ、溶けても。
硬い粘土をこねてるような感じ。
それを少しずつ少しずつ造形していくんです。



パーツはプラチナです。
耐熱ガラスはすっごい高温度にしないと
形が作れないので、プラチナしか使えないんです。
ほかの金属だと炭化しちゃうんですよ。
ガラスの特性上、
プラチナポストを差すところに厚みが必要で、
それがちょっと膨らんだようになったのも、
逆にかわいく思えますよね。



色も、最初はちょっと濃かったんですけれど、
透明感が出るように、調整してもらいました。
透明感があると肌になじむんですよ。
本当に微妙な違いなんですけれど、
そこはかなり意識したところですね。



ガラスの色って、強い色が多かったんです。
赤とか、ですね。
ニュアンスカラーって本当になかった。
最近、ブルー系が多くつくられてきていて、
私も使いたいものが出てきたんです。



イヤーカフは、とてもシンプルな形です。
でもね、こんな小さなものなのに、
質感が場所によって違うんですよ。



透明な部分とマットな部分があって、
その割合もアシンメトリーで、
透明な部分が3分の1にしてあります。
だから付ける向きによって感じが変わるんです。
透明のほうはキラッとするので、
華やかにしたいときはそちらが多めに見えるように。
マットのほうを出していただくといいですね。


糸の色が透けて見える、ネックレス
ネックレスは、日本製のガラスビーズで、
太めのところはマクラメビーズです。
ビーズ自体には色はついていないんです。
クリアなもので、半透明だったり透明だったり。
色がついて見えるのは、中の糸の色なんですよ。



ビーズって、均一な感じになりがちなんです。
そうすると工業製品のニュアンスが多すぎて、
もうちょっと、光によって色が変わったり、
表情が変わる感じをだしたくて、
中の糸の色を変えて二重構造にして、
その色の層がピンクに見えたり白に見えたり、
そんなふうなるように作りました。



ロングネックレスと短いサイズ、
2wayで使えるんですけれど、
ロングネックレスにしたときに太いビーズのパーツが
自然な重さで下に来るようにデザインして、
首元に厚みがでないように工夫しました。
これも、あたらしいスタイルだと思います。



ひとつひとつのビーズが均一にならないように、
職人さんにお願いして形を作っていただいたり、
中の紐がきれいに見えるパーツも加えたりしています。
一つのネックレスの中にリズムが生まれるように、
そこは気をつけてデザインしましたね。



ビーズの部分は耐熱ガラスではなくて、ソフトガラス。
手工芸とは言えないかもしれませんけれど、
日本で作られているものなので、
やっぱり繊細な技術が感じられますよね。


パールには、シルバーを合わせて
パールは、今回新作がふたつですね。
HOBO SIRI SIRIでは、7年やってて、
スタンダードなものは残しながら、
少しずつ新しいアイテムを増やす感じですね。
一気にガラッと変えるわけではないですけれど、
今回は、シルバーを使ったのがあたらしいですね。



ずっとゴールドを使ってきたので、
ちょっとシルバーでの表現もいいかな、
っていう感じがあったんですね。



それは色味っていうこともあるんですけれど、
世の中の空気感っていうのを見てると、
コロナを経て、ちょっと洋服がシンプルになって、
華やかなものはあんまり着なくなったかなと思って。
ゴールドって基本的に華やかなんですよ。
なので、そういう世の中の空気感に
ちょっと合わせてみたいなっていうのもありますね。



シルバーって、パールとの相性がいいんですよ。
ゴールドは、それがポイントになるんですけど、
シルバーを使うと、すんなりとなじむ。
特にこの無調色のパール自体が、
ブルーがかったシルバーカラーなので、
トータルで、一つのラインとして見せられるんです。
一本線でふっと描いたような感じに、
デザインしましたね、今回は。



これまでは、全部パールか、
パールとガラスのネックレスか、
一粒のものだったので、
その間のデザインをしてみたくて。
シルバーのチェーンをロープ状のデザインにして、
スライドパーツで長さも変えられるんです。
長めに付けていただいたり、
チョーカーぐらいの短さにもできて、
フレキシブルに使えるものにしています。
いろんなお洋服の装いに合わせられます。
襟の開きとかに合わせて、いい場所に。



胸元にパールの弧ができるんですけれど、
シルクの糸を使ったり、ノットを入れたりして、
なるべく自然な、きれいなアールになるように
いい表情の落ち感が出るようにしています。



Uの字のたるみがどんなふうになるか。
それによって使用感も、存在感も、
結構違ってくるので、素材の組み方も
結構いろいろ試しますね、作るときに。
パールも、両脇の粒をちょっとだけ小さくして、
チェーンとなじむようなデザインに。
糸もパールに似た色のグレーのシルクで。



ジュエリーって小さな世界ですけれど、
少しのことで表情が全然変わってくるんです。



1個あると便利なものって
すごくありがたい存在ですよね。
そういうものをデザインしてみたかったんです。


有機的なニュアンスのあるピアス
ピアスは、シルバーのパーツとパールが
自然につながっているような、
ゆるやかにカーブしたデザインです。



パール自体が雫みたいに見えるような。
普段のSIRI SIRIにはあんまりない、
わかりやすく有機的なフォルムですね。



ネックレスのチェーンがシルバーなので、
ピアスのパーツも、それに合うように
マットな仕上げにしてあります。



ジュエリーってすごくちっちゃいですけれど、
そういう細かいところがうれしかったりしますよね。
付ける人にとっては、お守りみたいな存在でもあって、
ファッション的な感覚だけじゃないところも考えます。
今回もそういうデザインをしたつもりです。

2023.3.14 AM11:00 START