スマートフォン版で見る

LIFEのBOOK ほぼ日手帳 2017

LOFT手帳部門12年連続NO.1

ほぼ日手帳 2017

かっこいい革ってなんだ? 佐藤卓さんと「革会議」

第3回革は、人の手が作っている。

佐藤
さあ、困った。どうしましょう(笑)。
昨年と同じように、
雰囲気の違う2つの黒革カバーから選べるようにするか、
思い切って、黒じゃないものを作ってみるか‥‥。

TSシリーズは、どちらかというと男性、
そしてビジネスマン向けだから、
やっぱり保守的にいくと、黒か茶色なんですよね。
白なんかは、かなりおしゃれな人じゃないと‥‥。
でも、それはそれで、すごくいいかもしれない。

‥‥いや、もう、これかこれだな。
一同
おお!
佐藤
シルバーの革か、ホワイトの革か。
どっちも、すごく魅力的じゃないですか。
シルバーは、インパクトがあるし、
一瞬、革に見えないところもおもしろみがある。
ホワイトは、スーツにも、カジュアルにも合うし
女性にも好まれそう。
ほぼ日
そうですね。
男女問わず、使っていただけそうですね。
佐藤
こういう白だったら、僕も持ちたいですよ。
でも、うーん‥‥。
これはおしゃれな洋服屋さんにいけば
売っていそうな感じもしますよね。
それに対して、シルバーは、
ちょっと他にはないですもん。
‥‥やっぱり、これだ!
一同
おおー!
田辺
やっぱり!
やっぱりいちばん、目が輝いた革が。
佐藤
かっこいい。すぐにでも使いたい(笑)。
手帳を、こう光にかざして
角度を変えると、ギラッとね。
カバーにしても、バッグにしても、
現代的なおしゃれにも、
伝統工芸っぽくも見える。
和風にも洋風にも持てる。
ほぼ日
この革は、誰も見たことないですもんね。
タンニンなめしの革に、
わざわざ箔を貼るっていう、
発想がまずないですし、
本当におもしろいと思います。
田辺
こういう、表情のある革ですから、
手帳になったときに、
ひとつひとつ、模様の出かたが変わってきます。
使っていくうちに、表情が変わったり
味わいが出てきたりもします。
ほぼ日
ひとつひとつ、自分だけの手帳に
育てていくたのしみもありますね。
田辺
革って、やっぱり生き物のものですから
そこには、傷もあるし、筋もある。
みんな違うのが、当たり前なんです。
最近は、消費者のかたも
かなりそこを理解してくださって、
個体差があったほうがいいと
言ってくださるかたも増えていますね。
佐藤
そうですね。
機械で作ったみたいに、
全部同じということはないんですよね。

この日の卓さんの靴。偶然にもシルバー!

田辺
このタンナーさんは
イタリアの「ブレターニャ」社というんですが、
イタリアの一流ブランドをメインのお客様にしています。
もともと、壁材用をイメージして作ったそうで、
実際に、「ブレターニャ」社のショールームの
内装に使っているんですよ。
佐藤
壁材用! さすがイタリアですね。
田辺
それから、この革の名前は
「Black Domopack」といいます。
Domopack(ドモパック)という
イタリアのアルミホイルがありまして、
そこから来ているそうです。
佐藤
アルミホイル! なるほどね。
田辺
かっこいい革って、例えると
ワインみたいな感じなのかもしれませんね。
値段が高い安いじゃなくて、
「これが好みだ」「これがいい」と
言ってもらえるのが、いちばんですよね。
佐藤
うん。
この革、かなりチャレンジしていると思います。
この実験的精神がすばらしいなと思いますね。
革はもうやることがないなんて、
まったく思っていない感じ。
田辺
革を見て、そこまでわかってくださるとは‥‥。
実は僕、このタンナーさんで
20年ぐらい前に、働いていたんです。
佐藤
ええー!
田辺
若いころ、飛び込みで転がりこみまして。
3か月ほど、ここで革のことを教わったんです。
佐藤
どうして、そのタンナーさんのところへ?
田辺
革のことを学ぶならイタリアだろう、って
思い立って、イタリアに渡って。
飛び込みだから、断られるんですが、
ここだけが、いきなり訪ねて行った僕を
受け入れてくれたんです。
人柄も、とってもいい人たちで。
佐藤
そうだったんですね。
田辺
50年以上の歴史があるところで、
タンニンなめし一筋、
しかも上質なショルダー革のみ扱っています。
オーナーはすごく研究熱心で、
革を本当に愛して、大事にしています。
これを日本人が手帳カバーにして使うとなったら、
うれしがりますよ、きっと。
佐藤
こちらも、うれしいです。
田辺
やっぱり革作りって、
決してきれいな仕事とは言えない作業ですけど、
彼らは、心から仕事に誇りを持ってやっているんですね。
彼らのカードにも、
「We love leather…We love our job.」
って書いてあるんですけれど、
そういうところも、僕はいいなと思っていて。
佐藤
ああ、本当ですね。
田辺
その誇りが、革にもにじみ出ていると僕は思いますし、
佐藤さんにも、そうした見えない部分が
お見えになっているんじゃないかなと、
今日お話してみて、感じました。
佐藤
感動させてくれるものがありますよね。
チャレンジする気持ちが伝わってくるというか。
田辺
僕は、タンナーさんとのお付き合いは
革だけじゃなくて、人を見て決めることが多いんです。
革は人が作っているものなので、
人がすばらしければ、
革も、やっぱりすばらしいものができるんです。
革を触ると、いい仕事をしているか、
そうでないかって、わかるんですよ。
佐藤
ふと思ったんだけど‥‥
こういうトートバッグがあったら
かっこいいよね。
ほぼ日
トートバッグ!
‥‥作りましょうか!
佐藤
ただ、こんないい革だから、
高くなっちゃいますか(笑)?
田辺
ベースが上質なヌメ革ですし、
手間もかけて作っている革なので‥‥。
トートバッグで、それなりの面積を使うとなると
高くはなってくると思います。
ほぼ日
今回、せっかくこうして
新しい革を選んでいただけるので、
手帳とおそろいのグッズも
作ってみたいと考えていたんです。
受注生産なら作ることができると思いますが、
もしも作ったら、卓さん、使われますか?
佐藤
もちろん!
トートバッグなら、
すごくシンプルなラインのトートができたら、
そうとういいんじゃないですかね。
できるだけデザインしないっていう考え方で。
ブランドのバッグみたいなロゴも入れないで作ると、
すごく素敵だと思う。
女性も、持てるんじゃないですか?
ほぼ日
はい、女性でも持ちやすいですし、
すごくおしゃれだと思います!
この革の魅力が、たっぷりたのしめる
バッグになりますね。
佐藤
シンプルなかたちで、
それほどマチはなくていいんだけど、
こう、置いたときに自立するトートだといいね。
中に、ポケットもつけて。
ほぼ日
卓さんプロデュースだったら、
さらに素敵になりそうです。
佐藤
トートまでできちゃうなんて、
すごいです。うれしい。
本当に、今日この革を
見せていただけて、よかったです。
田辺
うれしいです。
最初、ちょっと個性的すぎるかなと思って
これを候補に入れていいのか、悩んでいたんです。
勇気を出して候補に入れておいて、よかったです。
佐藤
これからはもう、加減しないでくださいね(笑)。
本当に今日は最高でした!

その後、サイズ感や持ち手の長さ、
ステッチやポケットなどの細部まで
卓さんといっしょに調整を重ね、
「Black Domopack/トート」ができあがりました。

限りある、貴重な革を使っているため、
期間を区切っての受注販売とさせていただきます。

受注期間:9/1(木)11:00~9/12(月)11:00

今回選んだ革「Black Domopack」で
トートバッグをつくりました。
受注期間は9/1(木)11:00~9/12(月)11:00です。
くわしくはこちらのページ
をごらんください。

コンチェリア・ラ・ブレターニャ社について

1961年創業。
イタリア植物タンニンなめし革協会の一員。
イタリア・サンタ・クローチェ近郊にある
植物タンニンなめし一筋のタンナー。
オーナーのパオロさんを中心に、
イタリア・トスカーナ地方の伝統的な
なめしの技術を今に伝えつつ、
革の新たな魅力や可能性を提案し続ける。
創業当時、風見鶏の多い町として知られる
フランスのブルターニュ地方から
原皮を仕入れていたことから、
トレードマークはトリコロールの風見鶏。
モットーは、
「We love leather…We love our job.」。