第3回革は、人の手が作っている。
- 佐藤
- さあ、困った。どうしましょう(笑)。
昨年と同じように、
雰囲気の違う2つの黒革カバーから選べるようにするか、
思い切って、黒じゃないものを作ってみるか‥‥。
TSシリーズは、どちらかというと男性、
そしてビジネスマン向けだから、
やっぱり保守的にいくと、黒か茶色なんですよね。
白なんかは、かなりおしゃれな人じゃないと‥‥。
でも、それはそれで、すごくいいかもしれない。
‥‥いや、もう、これかこれだな。
- 一同
- おお!
- 佐藤
- シルバーの革か、ホワイトの革か。
どっちも、すごく魅力的じゃないですか。
シルバーは、インパクトがあるし、
一瞬、革に見えないところもおもしろみがある。
ホワイトは、スーツにも、カジュアルにも合うし
女性にも好まれそう。
- ほぼ日
- そうですね。
男女問わず、使っていただけそうですね。
- 佐藤
- こういう白だったら、僕も持ちたいですよ。
でも、うーん‥‥。
これはおしゃれな洋服屋さんにいけば
売っていそうな感じもしますよね。
それに対して、シルバーは、
ちょっと他にはないですもん。
‥‥やっぱり、これだ!
- 一同
- おおー!
- 田辺
- やっぱり!
やっぱりいちばん、目が輝いた革が。
- 佐藤
- かっこいい。すぐにでも使いたい(笑)。
手帳を、こう光にかざして
角度を変えると、ギラッとね。
カバーにしても、バッグにしても、
現代的なおしゃれにも、
伝統工芸っぽくも見える。
和風にも洋風にも持てる。
- ほぼ日
- この革は、誰も見たことないですもんね。
タンニンなめしの革に、
わざわざ箔を貼るっていう、
発想がまずないですし、
本当におもしろいと思います。
- 田辺
- こういう、表情のある革ですから、
手帳になったときに、
ひとつひとつ、模様の出かたが変わってきます。
使っていくうちに、表情が変わったり
味わいが出てきたりもします。
- ほぼ日
- ひとつひとつ、自分だけの手帳に
育てていくたのしみもありますね。
- 田辺
- 革って、やっぱり生き物のものですから
そこには、傷もあるし、筋もある。
みんな違うのが、当たり前なんです。
最近は、消費者のかたも
かなりそこを理解してくださって、
個体差があったほうがいいと
言ってくださるかたも増えていますね。
- 佐藤
- そうですね。
機械で作ったみたいに、
全部同じということはないんですよね。
この日の卓さんの靴。偶然にもシルバー!
- 田辺
- このタンナーさんは
イタリアの「ブレターニャ」社というんですが、
イタリアの一流ブランドをメインのお客様にしています。
もともと、壁材用をイメージして作ったそうで、
実際に、「ブレターニャ」社のショールームの
内装に使っているんですよ。
- 佐藤
- 壁材用! さすがイタリアですね。
- 田辺
- それから、この革の名前は
「Black Domopack」といいます。
Domopack(ドモパック)という
イタリアのアルミホイルがありまして、
そこから来ているそうです。
- 佐藤
- アルミホイル! なるほどね。
- 田辺
- かっこいい革って、例えると
ワインみたいな感じなのかもしれませんね。
値段が高い安いじゃなくて、
「これが好みだ」「これがいい」と
言ってもらえるのが、いちばんですよね。
- 佐藤
- うん。
この革、かなりチャレンジしていると思います。
この実験的精神がすばらしいなと思いますね。
革はもうやることがないなんて、
まったく思っていない感じ。
- 田辺
- 革を見て、そこまでわかってくださるとは‥‥。
実は僕、このタンナーさんで
20年ぐらい前に、働いていたんです。
- 佐藤
- ええー!
- 田辺
- 若いころ、飛び込みで転がりこみまして。
3か月ほど、ここで革のことを教わったんです。
- 佐藤
- どうして、そのタンナーさんのところへ?
- 田辺
- 革のことを学ぶならイタリアだろう、って
思い立って、イタリアに渡って。
飛び込みだから、断られるんですが、
ここだけが、いきなり訪ねて行った僕を
受け入れてくれたんです。
人柄も、とってもいい人たちで。
- 佐藤
- そうだったんですね。
- 田辺
- 50年以上の歴史があるところで、
タンニンなめし一筋、
しかも上質なショルダー革のみ扱っています。
オーナーはすごく研究熱心で、
革を本当に愛して、大事にしています。
これを日本人が手帳カバーにして使うとなったら、
うれしがりますよ、きっと。
- 佐藤
- こちらも、うれしいです。
- 田辺
- やっぱり革作りって、
決してきれいな仕事とは言えない作業ですけど、
彼らは、心から仕事に誇りを持ってやっているんですね。
彼らのカードにも、
「We love leather…We love our job.」
って書いてあるんですけれど、
そういうところも、僕はいいなと思っていて。
- 佐藤
- ああ、本当ですね。
- 田辺
- その誇りが、革にもにじみ出ていると僕は思いますし、
佐藤さんにも、そうした見えない部分が
お見えになっているんじゃないかなと、
今日お話してみて、感じました。
- 佐藤
- 感動させてくれるものがありますよね。
チャレンジする気持ちが伝わってくるというか。
- 田辺
- 僕は、タンナーさんとのお付き合いは
革だけじゃなくて、人を見て決めることが多いんです。
革は人が作っているものなので、
人がすばらしければ、
革も、やっぱりすばらしいものができるんです。
革を触ると、いい仕事をしているか、
そうでないかって、わかるんですよ。
- 佐藤
- ふと思ったんだけど‥‥
こういうトートバッグがあったら
かっこいいよね。
- ほぼ日
- トートバッグ!
‥‥作りましょうか!
- 佐藤
- ただ、こんないい革だから、
高くなっちゃいますか(笑)?
- 田辺
- ベースが上質なヌメ革ですし、
手間もかけて作っている革なので‥‥。
トートバッグで、それなりの面積を使うとなると
高くはなってくると思います。
- ほぼ日
- 今回、せっかくこうして
新しい革を選んでいただけるので、
手帳とおそろいのグッズも
作ってみたいと考えていたんです。
受注生産なら作ることができると思いますが、
もしも作ったら、卓さん、使われますか?
- 佐藤
- もちろん!
トートバッグなら、
すごくシンプルなラインのトートができたら、
そうとういいんじゃないですかね。
できるだけデザインしないっていう考え方で。
ブランドのバッグみたいなロゴも入れないで作ると、
すごく素敵だと思う。
女性も、持てるんじゃないですか?
- ほぼ日
- はい、女性でも持ちやすいですし、
すごくおしゃれだと思います!
この革の魅力が、たっぷりたのしめる
バッグになりますね。
- 佐藤
- シンプルなかたちで、
それほどマチはなくていいんだけど、
こう、置いたときに自立するトートだといいね。
中に、ポケットもつけて。
- ほぼ日
- 卓さんプロデュースだったら、
さらに素敵になりそうです。
- 佐藤
- トートまでできちゃうなんて、
すごいです。うれしい。
本当に、今日この革を
見せていただけて、よかったです。
- 田辺
- うれしいです。
最初、ちょっと個性的すぎるかなと思って
これを候補に入れていいのか、悩んでいたんです。
勇気を出して候補に入れておいて、よかったです。
- 佐藤
- これからはもう、加減しないでくださいね(笑)。
本当に今日は最高でした!
その後、サイズ感や持ち手の長さ、
ステッチやポケットなどの細部まで
卓さんといっしょに調整を重ね、
「Black Domopack/トート」ができあがりました。
限りある、貴重な革を使っているため、
期間を区切っての受注販売とさせていただきます。
受注期間:9/1(木)11:00~9/12(月)11:00
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TS2017
Black Domopack [オリジナル バタフライストッパー]- カバー27,000円
- セット29,160円
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TS2017
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TS2017
Black Domopack [カズン バタフライストッパー]- カバー37,800円
- セット41,580円
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TS2017
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Black Domopack/トート
- 75,600円
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Black Domopack/トート
今回選んだ革「Black Domopack」で
トートバッグをつくりました。
受注期間は9/1(木)11:00~9/12(月)11:00です。
くわしくはこちらのページ
をごらんください。
コンチェリア・ラ・ブレターニャ社について
1961年創業。
イタリア植物タンニンなめし革協会の一員。
イタリア・サンタ・クローチェ近郊にある
植物タンニンなめし一筋のタンナー。
オーナーのパオロさんを中心に、
イタリア・トスカーナ地方の伝統的な
なめしの技術を今に伝えつつ、
革の新たな魅力や可能性を提案し続ける。
創業当時、風見鶏の多い町として知られる
フランスのブルターニュ地方から
原皮を仕入れていたことから、
トレードマークはトリコロールの風見鶏。
モットーは、
「We love leather…We love our job.」。