価格がすこし高いのには、理由があります。 植物由来の染料を使ったボタニカル・ダイに、 「ジンジャー」と「シナモン」が登場です。

ていねいに織り上げた無地の白いタオルを、
植物由来の染料であざやかに染め上げる、
ボタニカル・ダイ。
植物の花、葉、茎、樹皮、果皮、
(ときには鉱石などを使うことも!)から
作った染料を使うことで、
単色でありながら、深みのある色を
繊維にあたえるとともに、
織りあがった布を、独自のやわらかさにしあげます。

「やさしいタオル」の今季のボタニカル・ダイでは、
色のテーマを「あたためる」としました。
「ジンジャー」「シナモン」という名前は、
印象からつけたものではなく、
じっさいに、それぞれの植物から採った染料を
使っているからなんです。

ジンジャー(しょうが)は、
古代の地中海では香辛料というよりも
薬として利用されていたのでそうです。
冷え症や風邪に効果があると言われ、
消毒作用があることから解毒剤としても用いられました。
ヨーロッパでは14世紀になってもとても高価で、
1ポンド(約450g)の値段が羊一頭分と同じだったとか。
中国では太古から知られており、
航海で壊血病にならないように、
鉢植えを船に持ち込んだと言われています。
このジンジャーからとった色は、やさしく、
独特の深みのある茶色です。

シナモンは、クスノキ科の、10m以上になる樹。
表皮の香りが強く、古代エジプトでは、
この香りをつけていると心が落ち着き、
「あしきもの」から身を守ると信じられていました。
この香りを嗅ぐと道に迷うことがないと伝えられるのも、
この樹の不思議な力を感じさせます。
血行を促進し体をあたためる効果があり、
古くから民間療法として用いられてきました。
ヨーロッパでは寒い冬にホットワインを飲む習慣があり、
そのとき欠かせないのもシナモン。
ここから採れる色素のなかから、深いえんじ色をえらび、
冬の「やさしいタオル」を染めました。

「やさしいタオル」は、パイル面とガーゼ面で、
つかっている綿の種類と縒りかた、
太さなどがことなるため、同じ色で染めても、
発色が変化します。
パイル面のほうに光沢と深みが
より出ているのは、そのため。
「ジンジャー」も「シナモン」も、
それぞれ単色に見えますが、
じつは、いずれも、ひとの目で見える幅をこえた、
200種もの色素で構成されています。
ひとの耳の可聴範囲を越えた音が、
音楽の深みや味わいになるのと同じで、
ボタニカル・ダイの製品から、ひとの目は、
独特の奥行きと深さを感じるのですね。

もともとが「やさしい」タオルですけれど、
ボタニカル・ダイで染めることによって、
肌に触れたときやの風合いが、さらによくなっています。
こればかりは、触っていただかないことには
おわかりいただけないのですけれど、
もともとやわらかさが自慢の「やさしいタオル」が、
さらにワンランク上の品質になっているとお考えください。

ボタニカル・ダイの「やさしいタオル」
冬の新色2色は、12月12日(木)、発売です。

2013-12-10-TUE

       
やさしいタオルに
冬の新作が登場します。
タオルの上を「歩く」。
動画をごらんください。
ひびのこづえさんと
いっしょに
やさしいタオルを
つくりました。
活版印刷ユニット
「TOKYO PEAR」に
よる、新作。
植物由来の染料を使った
ボタニカル・ダイに、
「ジンジャー」と
「シナモン」が登場。


ツイートする
感想をおくる
「ほぼ日」ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
スタイリング:伊藤まさこ 写真:有賀傑