ダブルガーゼ+パイルの三重織りにリニューアルした
2019年夏のやさしいタオルに、
3人のゲストデザイナーをお招きしました。
「ほぼ日」ではおなじみの福田利之さん、
ギリシャで暮らす升ノ内朝子さん、
江戸型染作家の小倉充子さんです。
それぞれの新作を、インタビューで、
順番に紹介します。
まずは、福田利之さんから!
久しぶりにやさしいタオルに登場いただいて、
私たちもとても嬉しいです。
福田利之さんのプロフィール
ふくだ・としゆき/イラストレーター。
1967年、大阪生まれ。
エディトリアル、装丁、広告、
ムーンライダーズやスピッツのCDジャケット、
絵本、テキスタイルなど、
さまざまなビジュアル表現を手がける。
「ほぼ日」には、読み物、商品など
様々なコンテンツに登場。
「ほぼ日」で「福田利之のホーム&ロック」連載中。
■公式ウェブサイト
今回、やさしいタオルチームのみなさんから、
ひとつのキーワードを受け取ったんです。
それが「ブルーオニオン」。
ヨーロッパの白磁に絵が描かれる、青い植物柄ですよね。
清潔で、シンプルで、うつくしくて、僕も好きなんです。
それを僕のイラストレーションと掛け算して、
タオルをつくりたい、というリクエストでした。
それで、普段から植物とか動物とかっていうのは
得意なモチーフではあるので、
自分が使うのならこういう柄がいいな、
というところで、のびのびと描きました。
描くのは、いつもそうですが、いちばん大きなものから。
B4くらいの紙に、バスタオルの縦横比で、
鉛筆でラフな感じで描いていきます。
自分の好きな形や線を探して、
ドンドン描いて消したりしていくんです。
ぼくの絵は、シンプルではないので、
あまりにもフリーで描くと生々しくなる。
だから、パターンの反転や、
モチーフの縮小・拡大をするなど、
構成的な要素を入れていきました。
でも、完全に天地左右対称ではないんです。
一度、左右対称に描いたものに手を入れていく。
仕上げにはコンピューターを使いますが、
そうすると、あまりにもかっちりしすぎるので、
さらにもう一回、若干、生々しさの要素を入れるんです。
一般的なテキスタイルデザインは、
同じパターンをくりかえしていくんですが、
やさしいタオルは、シルクスクリーンのように
全面にプリントをするので、
その分、デザインにも自由があるんですね。
そこで、フリーハンドだけれど生々しくなりすぎず、
完全なパターンでもない、
ちょうどいいところを探していくわけです。
たまに「福田さんはアーティストですか」と
言っていただくんですが、
いいえ、ぼくはイラストレーターですよ、と。
アート性が強すぎると「非日常」になるけれど、
デザインは「日常」で使うもの。
そこに立っていたいなって思うんです。
そうして、大きさの順に描き進めていきました。
サイズごと、すべて違う絵柄が入っています。
模様のように落とし込んでいるので、
ぱっと見てもわからないかもしれませんが、
子どもだったら、見つけてくれそうな仕掛けをしていて、
たとえば、ほら、
ライオンがいて、鳥がいて、
象がいて、猫がいる。
フェイスタオルには、蜂や蝶々がいる。
シロクマがここに。
と思えば、ペンがあったりもする。
ここには宝石があるんです。
これはキッチンタオルですね。
蝶々にも見えるけれど、
熱帯魚が向き合っているすがた。
それから、ぼくの遊びで、
ほぼ日の「H」をデザインして、
唐草模様に見えるところに、
アルファベットで「やさしいタオル」を
わからないように入れてあります。
ハンドタオルには、フクロウなどの鳥。
これ、自分でも気に入っているんです。
ハンドよこながは、鹿を描きました。
ちょっとふしぎな鹿で、
角が、キャンドルのようにも見えるんです。
シャワータオルは、まず猫。
王冠があって、鳥もいて、キリンもいます。
馬も2頭が向かい合って。
それから、じつは、飛行機が飛んでます。
こういう模様って、考えながらというよりも、
どんどん描き進めていくなかで、出てくるんです。
「どの段階が楽しいですか」って訊かれると
困ってしまう。どの工程も楽しいんですよ。
色は、青の濃淡、2色で構成しました。
1色にすることもできたし、
もっと多い青の濃淡を出すこともできたし、
あるいは、どこかポイントでちがう色を入れたり、
実は、試行錯誤の中でいろいろと考えがあったんですね。
ここにぽつんと赤を入れたらオシャレかな? とか。
でも、何か、今回は、
そういうんじゃないほうがいいなというふうに、
最終的に落ち着きました。
わが家は、わりとシンプルなものを
使うことが多いんですが、
これはぜひ、日常の仲間入りをさせようと思います。
(福田さん、ありがとうございました!
次回は、升ノ内朝子さんを紹介します。)