ダブルガーゼ+パイルの三重織りにリニューアルした
2019年夏のやさしいタオルにお迎えした3人のゲスト、
ふたりめは、ギリシャに暮らす
イラストレーターの升ノ内朝子さんです。
グラフィカルな構図を柔らかく、独特の色使いで描く
升ノ内さんのイラストレーション。
色面が大きいのですけれど、
平坦なトーンではなく、
絵の具の濃淡がわかる、独特のタッチ。
そのニュアンスを、やさしいタオルでも
できるかぎりプリントで再現しています。
升ノ内朝子さんのプロフィール
ますのうち・あさこ/イラストレーター。
1977年生まれ。千葉県出身。
慶應義塾大学哲学科卒業。
セツ・モードセミナー基礎科修了後渡英し、
University of Brightonにてイラストレーション科を卒業。
2005年よりフリーとして活動中。
現在はギリシャで、家族と暮らし、
ギリシャと日本を行き来しながら
雑誌や広告を中心に活躍中。
「ほぼ日」で「Greetings From Greece ギリシャからのおたより。」連載中。
■公式ウェブサイト
エーゲ海のどこかに浮かぶ架空の島、
ANONYMO(アノニモ)島を発表したのは、
2015年、日本で展覧会を開いたのときのことでした。
一般的な観光地って、名所を描き込んだ絵地図や、
スポット案内の小冊子がありますよね。
バスタオル全面に展開したこの絵地図は、
そのときにつくった
ANONYMO島の観光パンフレットに描いた島の全景で、
裏面にはそれぞれのスポットの解説も書いたりして、
とても凝ったつくりでした。
あまりにもそのディテールがリアルすぎて、
ほんとうにある島だと思ったかたもいたんですよ。
ゴルゴン岬(GORGON CAPE)、
アポロン神殿(APOLLON TEMPLE)。
観光客向けの地図なので、基本的な説明の文字は英語ですが、
ローカルな名称はギリシャ語から拾って、
アルファベット表記にしています。
例えば、AVGI BEACHのAVGIは、
ギリシャ語では夜明けの意味。
真ん中にあるPLATEIAっていうのは、
日本語でいうと広場ってことなんです。
このバスタオルが全体図で、
シャワータオル、フェイスタオル、ハンドタオルは、
そのなかの風景を描いたものです。
シャワータオルは、島の西端、
ゴルゴン岬の風景です。
左手に見えるのがアポロン神殿。
右に、客船がうかんでいます。
モデルとなったのは、
サントリーニ島のイアという町。
そこに神殿はないのですが、
こんなふうに水平線がのびていて、
世界一と言われる日没を見ることができるんです。
フェイスタオルは、島の北側にある
FALLEN PEGASUS、
「倒れたペガサス像」と周辺の風景です。
ギリシャのナクソス島ということろにはじっさいに
長さ10メートルを超える倒れた青年像があると聞き、
アノニモ島にも、こんな遺跡があったらいいな、
と思って描きました。
ハンドタオルは、島の南東にある
ANEMONE HILL(アネモネの丘)です。
アネモネはギリシャ語で、
風を意味する「アネモス」からきていて、
個人的に好きな花だということと、
こんな花畑があったら嬉しいと思って描いています。
山頂に見えるのは、ちいさな教会。
手前には、白壁の、典型的なギリシャの島の建物です。
アナフィという小さな島を参考にしているんです。
このアノニモ島を考えた頃は、
ギリシャ危機と言われていた時代で、
ギリシャ全体が沈み込んで、荒れた印象でしたが、
今はちょっとずつ落ち着いてきています。
個人的な生活は、
以前とあまり変わっていないかもしれません。
日本にいるときよりも、
ちょっとのんびり過ごしてるっていう感覚です。
(升ノ内さん、ありがとうございました!
次回は、小倉充子さんの紹介です。)