tretreの竹内太郎さんが、
いざ商品化というときに迷ったのがデザインでした。
「いいデザイン」であるべきだと考えた竹内さんの頭には、
あるひとのことが浮かんでいました。
梅原真(うめばら・まこと)さん。
高知出身で、高知に事務所を構える、
とても有名なグラフィック・デザイナーです。
高知の一次産業による物産に
すぐれたデザインを掛け合わせることで、
「一流の商品として新しい価値で世の中にだす」
ことを得意とし、
国内のみならず世界的な評価を受けているひとです。
「84会議」に参加していたため会ったことはあり、
勤めていた麺料理屋の商品を
梅原さんが贈り物に使ってくれてはいたものの、
深い交流はなかった竹内さんは、
依頼するのにじゅうぶんな財力もない状態のまま、
多忙を極める梅原さんを口説き落とします。
(この経緯は、いずれコンテンツで紹介しますね。)
梅原さんというのはなかなかコワモテで体躯も大きくて、
かなりの迫力のあるひとですから、
そこに飛び込んだ竹内さんもすごいぞ! と思います。
梅原さんは、デザイナーといっても、
たとえば「ネーミングもデザインである」
というような考え。
プロダクトについてはとことん、内容を汲んで、
最初からすべてにかかわります。
「ほぼ日」と、とても似ているように思います。
「摘み草ブレンドティー」は、当初、
竹内さんが考えたパッケージやネーミングがありましたが、
梅原さんがかかわることで、
すべてを組み立て直すことになりました。
たとえば「ぬくぽかジンジャー」というような名前では、
道の駅で売るならばいいとしても、
評判をとって名だたる料亭から発注が来たときに
名料理長が電話で発声して
恥ずかしくない名前に変えるべき、
などのアドバイスを受け、
どこに出しても大丈夫なものへ、
どんどんバージョンアップをしたそうです。
そんなふうに商品ができあがっていったのですが、
いっぽうで竹内さんは、仁淀のみなさんに、
摘み草をあつめる仕事を依頼します。
「誰それさんの裏の畑の清流のそばのヨモギ」とか
「誰それさんの標高の高い場所にあるびわの葉」とか、
味のちがいをちゃんと把握したうえで、
摘むベストシーズンを考えながらあつめました。
町の廃校(もと幼稚園)を借りて工房にして、
みなさんには定期的にあつまっていただき
「ハッパカイギ」と名付けたミーティングを重ねつつ、
いっしょにたのしく仕事をしていく場所をつくりました。
そうして、できあがりました。
tretreの摘み草ブレンドティー!
これを「ほぼ日」でも応援の意味をこめて
販売することにしました。
もちろん摘み草ですから「旬」がありますし、
ハッパカイギで集められる摘み草の量には限りがあり、
また、製品化は竹内さんふくむ3人のスタッフでの
「手作業」です。
洗って干して加工するところから、
0.1グラム単位のブレンドを手で行い、
パッキングまでじぶんたちでしています。
工業的に外に依頼することも検討したのですが
そうすると葉っぱの断裁が画一的になり、
また「粉」になってしまったりして、
味のでかたと見た目の雰囲気が
おどろくほど変化したので、
将来、味がかわらずにできるようになるまでは
しばらく「手作業」でつくることにしたそうです。
そのため、入荷数には限りがありますし、
年に1度の販売になるお茶もあります。
香りの関係で賞味期間のとても短いお茶というのも
これから出てくるかもしれません。
2016-10-26-WED