[ほぼ日酒店 YOI]今日も乾杯! ほぼ日ペールエール [ほぼ日酒店 YOI]今日も乾杯! ほぼ日ペールエール


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日野ってどんな町?

日野商人と三方よし
日野町は滋賀県の南東部にある人口約2万人の町。
町なかを流れる日野川はやがて琵琶湖にそそぎます。
市街地の周りには畑や田んぼが広がり、
さらにその周りは台地や山々に囲まれています。
東に見える鈴鹿山脈を超えると三重県。
山からくるいい水が日野町の暮らしと農業を支えています。



日野町は京都~琵琶湖~三重~関東という
昔からの交易ルートにある城下町で、
近江商人のひとつ「日野商人」の町として有名です。
日野商人は、江戸時代に関東一円に進出して、
漆器、薬の販売、醸造業を営んで今に至るそうです。
そしてみんなは、
盆正月やお祭りの時期に日野に帰ってくるのです。



ほぼ日がビール工房を取材したのは2022年3月上旬。
「日野ひな祭り」の真っ最中でした。
日野町で暮らすトムさんに案内してもらいました。
トムさん

旧市街のメインストリートが「日野商人街道」で、
ここには昔からの商人の屋敷が残されています。



ほとんどの家は、道から2~3m奥に玄関があって、
その横に前庭があります。
祭りのときは、前庭に家族、親戚が集まって、
わいわい飲み食いしながら楽しみます。



この前庭を観光として見せるイベントをやろうと、
ひとりのお爺さんが提案したのが、
2月から3月上旬に開かれる「日野ひな祭り」です。
各家に伝わるひな人形を前庭に飾って、
塀についた窓から見ることができるんです。
町全体でひな祭りを祝う文化があるんですよ。



日野商人は、本家は日野に置いたまま、
江戸(東京)や北関東の埼玉、茨城で商売をしました。
僕が住んでいる家も、
かつては藤村家という日野商人の暮らした本家で、
今も茨城県で来福酒造という有名な酒蔵を営んでいます。
昔はお祭りと盆正月に皆さん帰ってきたそうです。



日野をはなれて異国(関東)で
商いをしていた近江商人は、
信用を得るために「三方よし」という考え方をもちます。
「商いは、売り手と買い手がどちらも満足して、
その取引で得られた利益によって、
社会に貢献できることがよい商売」
という共存共栄の考え方です。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」で
「三方よし」です。
ヒノブルーイングの責任者、ヒロアキ(田中さん)を
僕は「歩く三方よし」と呼んでいます(笑)。

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日野商人ふるさと館「旧山中正吉邸」は
町の有形文化財で見学できます。
商人の家は、玄関は質素で、奥に進むほど内装が豪華になる。
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台所の土間には黒タイル貼りの5連のカマドが残されています。
盆正月や祭りのときに、大人数の食事を用意するための設備だそうです。
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日野ひな祭りの看板。
ひとりのお爺さんがイラストを描いて自作。
その看板を町内の家庭やお店などが飾っている。
なんか、ほっこりするし、味わいのあるテイストですね。
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