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糸井 |
あいかわらず、
ふたりで出かけると天気がよくないね。
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南 |
そうだねぇ。
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糸井 |
まぁ、猟奇的な話がしやすいから、いいけどね。
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南 |
エロティックで猟奇的な天気だね。
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糸井 |
うん。負けずに、
エロティックで猟奇的な話をしなきゃ。
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南 |
こう、唐紙(からかみ)を
からからっと開けるってぇと
そこにもう、赤い布団が‥‥。
「ごむたいな、人を呼びますよ!」
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糸井 |
おお。
遠くの部屋から三味線の音がして、
遊女が廊下を行ったり来たり‥‥。
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南 |
船頭、聞こえないふりで、
竿をこう、ツっと立てたりして‥‥。
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糸井 |
で、突然、夜道に無数の提灯が揺れて、
「御用だ!」「御用だ!」
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南 |
え? 屋形船じゃないの?
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糸井 |
場面はトントントンと変わるよ。
法の番人であるにも関わらず、
十手を持ったまま遊郭にやってきた
同心がいるんだよ。
「御用だ!」「御用だ!」
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南 |
つまり、十手プレイだね。
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糸井 |
「十手プレイ」(笑)。
そんなプレイ、あるんだ。
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南 |
あると思うよ。
それはもう、その世界では有名ですよ。
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糸井 |
密室で、「御用だ、御用だ!」
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一同 |
(笑)
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南 |
こう、相手が、
ちょ、ちょっと、ちょっと待って、
って言ってるのにさ、
「御用だ、御用だ!」
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糸井 |
はははははは。
こう、十手の房がひらひらしてね、
ちょっと気持ちいい。
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南 |
わははははは。
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糸井 |
呼び子も鳴らすよ。
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南 |
いいね、いいね(笑)。
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糸井 |
ピーーーッ!
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南 |
「ふふふふふ、誰も来ぬて」
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一同 |
(笑)
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糸井 |
あれ? 呼び子を鳴らしてるのは女?
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南 |
よくわかんないけど、いいだろう。
「御用だ、御用だ!」
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糸井 |
「御用だ、御用だ!」
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一同 |
(笑)
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南 |
いいな、十手プレイ。
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糸井 |
「御用だ、御用だ!」って言ってるとさ、
「どんな御用だ」って女が言うんだよ。
そしたら、「オレが御用だ!」
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南 |
アハハハハ。
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糸井 |
で、まぁ、こういうことを
載せるかどうかはさておき、ダメ元で言うと、
「この刺股(さすまた)で、御用だ!」
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南 |
ワハハハハ!
意外に大丈夫じゃない?
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糸井 |
で、女が、「観念したよぉ」と。
今日は大人っぽいよ、話が。
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南 |
「御用だ、御用だ!」
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糸井 |
「御用だ、御用だ!」
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南 |
で、押し入れには、船頭がいるね。
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糸井 |
船頭?
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南 |
若旦那が寝てる。
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糸井 |
なんだ、船宿だったのか。
それはちっとばかし猟奇が足りねぇなぁ。
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南 |
猟奇はないが漁師はおります。
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糸井 |
うまい。
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南 |
「御用だ、御用だ!」
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糸井 |
「御用だ、御用だ!」
(なにがなんだか。つづきます) |