旅先であつめた布やビーズで
一点もののアクセサリーをつくったり、
グラフィックやウェブのデザインを手がける、
女性4人のユニット「sunui/素縫い」。
「第一回 ほぼ日作品大賞」の大賞受賞
や、
ほぼ日手帳のカバー
などで、
彼女たちをご存知のかたも多いはずです。
2019年で結成15周年を迎えるsunuiを、
もっともっと知ってほしいと思いました。
やっぱりsunuiはおもしろいから。
はじめての方は、これを機会に知ってください。
東京のTOBICHIでは展覧会をひらきます。
ここでは、インタビューというかたちで
sunuiの魅力をお伝えしましょう。
日が落ちるのが早くなってきた10月のはじめ、
代々木のアトリエにお邪魔して、
15年間の活動についてうかがってきました。
どうぞお読みください。
あらためて、sunuiのことを。
>sunuiのプロフィール
──
2004年の春、sunui は
「smile market sunui」というお店を開いた、と。
どんなお店だったんですか?
冨沢
土日祝に、下北沢にあるバーの一角に
突如現れるお店でした。
バーのオープンが18時からだったので、
それまでの時間、使わせてもらっていて。
朝から商品を持ち込んでお店をつくって、
12時から17時まで営業して、片付けて‥‥。
──
うわぁ‥‥搬入と搬出を1日のうちに。
冨沢
土日だったら、それを2回繰り返して。
根岸
友達が廃車にするつもりだった
後ろがガバって開く車を譲ってもらったんです。
それに在庫をぜんぶ入れて、移動して、
友達の家に駐めさせてもらって。
──
ほんとにバンドのようです(笑)。
片平
いまはもう絶対にできません(笑)。
でも、ものすごくたのしかった。
──
(写真を見ながら)
みなさん、すばらしい笑顔で。
このお店ではなにを売っていたんですか?
冨沢
旅で買い付けてきたものにすこし手を加えたものや、
日本の骨董市であつめてきたものなど、
好き、というくくりで
集めてきたものを並べて販売していました。
──
いまのような手づくりものは、まだ?
冨沢
かばんやアクセサリーなどは販売していました。
とにかく異素材を合わせるのが楽しくて楽しくて、
今見ると恥ずかしいようなものばかりでしたが(笑)。
──
「smile market sunui」はどのくらい続けたんですか?
片平
ええと、1年くらい?
根岸
そう、そのくらい。
片平
1年それを繰り返して、
わたしたちはお店をやりたいわけじゃない、と。
冨沢
お店番をしたいんじゃないと、気がついたんだよね。
でも、この下北時代に、
ディスプレイのちからは
かなり鍛えられたと思います。
「smile market sunui」では、土曜日と日曜日で
商品が減ることはあっても、大きく変わることはないので、
どうやったらちがう空間に見えるようになるのか、とか
商品が少なくてもたのしげに見えるように、とか
工夫を凝らす筋力がつきました。
根岸
それとその時期は、
下北沢の週末ショップだけじゃなくて、
ギャラリーでイベントもやらせてもらっていて。
──
え、その上さらにですか。
‥‥sunuiの展示って、
きっとそのころからシンプルではなかったですよね。
根岸
そうですね。
あのころは真っ白な空間のギャラリーが
たくさんあったんですけど、
わたしたちはありったけのものを持ち込んで、
ガチャガチャした空間に‥‥。
──
やはり(笑)。それは設営もたいへんです。
冨沢
アジアの市場って、
肉屋さんのとなりで服が売っていたり
アクセサリーとか古い時計が
無秩序に並んでいるじゃないですか。
あの、ガチャガチャしている感じが好きで。
──
わかります。sunuiの好きな世界。
さて、
そんな「smile markert sunui」が
第一章だとすれば、
sunuiの第二章はどうなっていったのでしょう?
片平
うーん‥‥。
それはたぶん、ハナレグミの永積さんと
一緒に仕事をするようになったこと、でしょうか。
──
あ、ハナレグミの。
どういうきっかけでご一緒することに?
冨沢
いまはもう閉店しているのですが、
吉祥寺に「KuuKuu(くうくう)」という
すごくおいしい料理店があって。
そのお店が2003年、sunuiの結成前に閉店するとき、
ハナレグミとクラムボンがライブをしたんですね。
で、お店のオーナーさんが、そのときの装飾に
わたしがつくったフラッグを使ってくれて。
根岸
それを見て、おふたりが「いいね」と。
まだ名刺がなかったので、
原田郁子さんとは連絡先を交換しました。
永積さんは、下北のお店に来てくれたんです。
──
「smile market sunui」に。
根岸
そう、いきなりでびっくりしました(笑)。
片平
うわぁって、ね(笑)。
そのとき、ライブで使うラグの製作を頼まれたんです。
──
ラグ、といいますと?
片平
敷物です。
その上に立って歌う。
冨沢
お願いされたのは、
お客さんのための演出というより、
演者にとってステージが居心地がよくなるラグでした。
ものすごく、気持ちを込めてつくった覚えがあります。
根岸
ラグの次は、
ハナレグミのDVDジャケットのデザインをしました。
その原画が3メートルを超えてしまったという‥‥(笑)。
──
3メートル!
DVDジャケットなのに。
冨沢
気持ちが込もって、あふれてしまって(笑)。
根岸
デザイナーさんも
「サイズなんかいいよいいよ、
気にせず、つくりたいものつくったらいい」
と言ってくださったので、
想いのままにつくったら、3メートルに。
冨沢
ジャケットに使ったのはその一部でした。
──
はあーーー。
片平
原画、あるんですけど、見ます?
──
え? ここにその3メートルが?
見ます見ます! 見せてください!
冨沢:
(アトリエの奥から持ってきて)
ここに広がるかな‥‥。
──
わわ。
冨沢:
いけそうです、広げますね。
──
わわわわ!
はあーー、いやぁー、大きい(笑)。
冨沢
ふふふ。
──
これが、どういうDVDのジャケットに?
片平
ごめんなさい、いまそのDVDがここになくて。
チラシがね、これなんです。
ジャケットはこのチラシの上の部分です。
▲DVD「hana-uta fes.」のチラシ。
──
3メートルが、こういうジャケットに‥‥。
これはいつごろのお仕事ですか?
根岸
(チラシを見ながら)
えーと‥‥、2006年発売って書いてありますから、
たぶん2005年には製作してます。
──
結成から1年で、これを! すごいですね。
‥‥あ、これって、
小金井公園で開催したフリーライブですか?
冨沢
そうです、そうです。
──
話題になりましたよね、
ものすごい人が小金井公園に集まって。
根岸
そう、(チラシを裏返して)こんなに。
──
そうですか、この伝説のライブの
DVDジャケットをsunui が‥‥。
気持ちが込もって、あふれるのもわかります。
片平
こういった、永積さんとのお仕事をきっかけに、
音楽まわりのお仕事をいただくようになりました。
ジャケットやライブグッズなどの
グラフィックデザインとか、
ライブ会場やステージの装飾という
空間をデザインするようなお仕事が増えていって。
根岸
クラムボンのCDジャケットでは、
モビールでタイトルの「Musical」をつくったり。
▲クラムボンのCD「Musical」のチラシ。
冨沢
おおはた雄一さんのステージ装飾のときは、
「旅先で荷物を広げてギターを奏でている雰囲気で、
あとはお任せします」とお願いされたり。
──
なるほどぉ‥‥すばらしい。
あのフリーライブが、
sunui が次のステップに進むきっかけに。
片平
そうですね、転機でした。
──
この3メートルは、
ぜひTOBICHIに展示していただきたいです。
片平
わかりました(笑)、持っていきます。
▲全体は、ぜひTOBICHIへ見にいらしてください。
(つづきます)
2018-11-01-THU
お菓子のアルミカップ、アジアの布や糸、
ビーズやボタン、なににつかうのかわからない金属‥‥。
作品になるまえの「素(もと)」が、
sunui のアトリエからTOBICHI にやってきます。
外国の市場を思わせるようなごちゃっとたのしい空間に、
ぜひ遊びに来てください!
sunui の素(もと)
2018年11月2日(金)~11日(日)
11:00 - 19:00 会期中無休
TOBICHI② 東京都港区南青山4-28ー26
詳細は
こちらのページ
をご覧ください。
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN