旅先であつめた布やビーズで
一点もののアクセサリーをつくったり、
グラフィックやウェブのデザインを手がける、
女性4人のユニット「sunui/素縫い」。
「第一回 ほぼ日作品大賞」の大賞受賞
や、
ほぼ日手帳のカバー
などで、
彼女たちをご存知のかたも多いはずです。
2019年で結成15周年を迎えるsunuiを、
もっともっと知ってほしいと思いました。
やっぱりsunuiはおもしろいから。
はじめての方は、これを機会に知ってください。
東京のTOBICHIでは展覧会をひらきます。
ここでは、インタビューというかたちで
sunuiの魅力をお伝えしましょう。
日が落ちるのが早くなってきた10月のはじめ、
代々木のアトリエにお邪魔して、
15年間の活動についてうかがってきました。
どうぞお読みください。
あらためて、sunuiのことを。
>sunuiのプロフィール
──
カンカンバッチは、
sunui の歴史の中で
どのあたりから登場するんでしょうか?
冨沢
プロトタイプのようなものは
わりと早いころからあったと思います。
お菓子のアルミカップは
最初に行った旅でもう買ってあって。
根岸
すごく安くて、かわいかったから、
なにになるのかわからないけど、
買っておいたんだよね。
冨沢
まさか、つぶされることになろうとは‥‥(笑)。
──
そうなることを知らず(笑)、
アトリエのすみっこで
ひっそりと出番を待っていたんですね。
冨沢
ちなみに、
わたしたちの作品集
に載っているこれが、
最初につぶしたカンカンです。
片平
道路のコンクリートの上でつぶしてるから、
砂利の形がついてる(笑)。
──
徹底的に叩かれてますね(笑)。
これは、だれが最初につぶしたんですか?
冨沢
いまここにいない、白石です。
突然つぶしだしました。
根岸
‥‥はっ。
そういえば、わたしたち、
sunui のお披露目会のときに
カンカンバッチ胸につけたんじゃなかった?
片平
‥‥ああ、そうだ。
冨沢
つけてた、あのとき。
──
結成してすぐにひらいたお披露目会で?
片平
そうです、そうです。
sunui のデビューを宣言する日だったので
「本日の主役」的なマークをつくろう、と。
──
つまり、結成のときからあったんですね。
sunuiの代名詞のような作品になるとは
思ってないから、はっきり覚えていなかった。
片平
ええ、他のいろいろなものの中に
混ざっていました。
根岸
その、お披露目会でつけてたのがこれです。
▲sunui 結成のお披露目会のためにつくられたカンカンバッチ。
──
へええー。
これは、いまのカンカンバッチとずいぶん‥‥。
根岸
ちがいますよね。あっさりしてる(笑)。
冨沢
このカンカンバッチは
白石がこういうふうに仕上げたんですけど、
この布のパーツ、
これは吉祥寺にあった
「KuuKuu(くうくう)」というお店に
飾られていたフラッグの一部なんです。
──
ほぉ。‥‥くっつけられていますね。
冨沢
そう。
わたしがつくって、置いておいたら、
いつのまにかつけられてました(笑)。
──
作者がちがうものが混ざっている。
冨沢
混ざってます。
カンカンバッチは、
はじめてsunui の4人が混ざった作品でした。
それはわたしたちにとっても驚きでした。
──
あの‥‥ふつうに考えると、
表現者というのは自分が描いている絵に
他の人が筆を入れることを嫌がると思うんです。
冨沢
はい。
わたしは個人の作家活動として
柿渋染めカバン
をつくっているんですけど、
それにsunui のだれかが手を入れるっていうことは、
ちょっと想像できません。
──
ですよね。
冨沢
個人の作家活動は
1から10までぜんぶ自分がやるものですが、
sunui では、そうですね‥‥
偶然とか、出会いの妙をたのしんでいます。
──
やはり、バンドの感覚ですね。
片平
自然とそうなりました。
根岸
「こういうふうに組み合わせよう」とか、
「コラボレーションしよう」とか、
そういうことを話し合ったことはないです。
──
自然とセッションになる。
いいなぁ‥‥。
いや、ぼくら「ほぼ日」もチーム仕事なので、
そういうのは理想だと思って。
なんといいますか‥‥
「分担」「担当」という方法は
責任もうまれるし効率的ですけど、
その考えだけが勝ちすぎると、
「自分の分をやればいい」みたいになって。
なんか‥‥それはちょっとつまらない。
根岸
うんうん。
──
チームみんなで「いい!」って言いながら
ひとつの仕事を進めたいじゃない? みたいな。
片平
わかります。
──
あと、その企画の担当者に
遠慮してしまったり。
冨沢
あー。
わたしたちの場合、
sunui で手を動かしているときに関しては、
分担とか、担当とか、遠慮とかいう概念が
飛んでますね(笑)。
──
飛んでいる。
冨沢
はい。
持たないようにしているというよりは、
飛んでます。
──
いいですねぇ。
根岸
なのでカンカンバッチも、
4人の表現が混ざりながら
すこしずつ進化していきました。
さきほどお見せした初期モデルから
もうすこしステップアップしたのが、このあたりです。
──
ああ、かわいいです。
これは販売していたんですか?
根岸
はい、このころから販売しはじめていました。
そしてこれが、「ほぼ日作品大賞」に
応募したときの写真です。
──
だいぶ進化してますねー。
片平
それまでこういう公募には
あまり興味なかったのですが、
募集要項の糸井さんの文章
を読んだときに、
あ、これは、わたしたちがつくっているものと
気持ちが近いかもしれない、と思って。
──
芸術と大量生産品のあいだに
「作品」がある、という。
片平
はい、わたしたちのものが、
この「賞」には響くかもしれないと。
根岸
そのころはまだ代表作というものがなかったので、
みんなでなにを送るのがいいか考えました。
カンカンバッチは、
自分たちでも「これはなんだろう?」という
興味が尽きずにつくり続けていたので、
まずは、カンカンバッチかなぁ、と。
──
「まずは」ということは‥‥?
片平
‥‥、実はもうひとつ送ったんですよ。
──
あっ、そうなんですか!?
根岸
結局、なにを送ったっけ?
片平
手袋ポッケ。
根岸
ああー、そうだ!
手袋ポッケだ(笑)。
──
それは、いま見られたりしますか?
冨沢
ちょっとお待ちくださいね。
(すこし探して)
これです。
これをつくったとき、駅の改札が
どんどんSuica とか、交通系ICカードで
タッチ&ゴー式になってきていたんです。
で、中国で仕入れたこの手袋のポケットに
Suica を入れて‥‥。
(歩き出す)
冨沢
(改札に手をかざすようにして)
ピッと。
──
わははははは、いいですねぇ!
冨沢
このカバンも、わたしたち
「発明だ!」って思ってたんですよ。
落選でしたけど(笑)。
──
いやー、すみません(笑)。
ふたつ送っていただいていたとは‥‥。
片平
「作品大賞」のときは、
わたしたちがなんとなく、というか、
無意識にやっていることを、
審査員のみなさんが
的確に言語化してくださったのが
すごくありがたかったです。
──
それはあれですね、
審査員のコメント
のことですね。
片平
はい。
みなさんのコメントを読みながら、
「そうそう、そうなんです!
ありがとうございます!」と(笑)。
根岸
授賞式
のパーティー会場の飾り付けや、
トロフィー代わりに、
受賞者のみなさんにお渡しする
カンカンバッチもつくらせてもらって。
片平
自分たちがつくった「大賞のバッチ」を
自分たちがいただきました(笑)。
──
そうでした(笑)。
それからあと、ほぼ日ではいろんなものを
いっしょにつくらせてもらいました。
ほぼ日手帳
に、
しょうがシロップ
のパッケージ、
それから
扇子
も。
片平
あ、扇子の原画はここにあります。
──
おお、これもまたすごい。
冨沢
あと、糸井さんのスカートもつくりました(笑)。
──
ああー、そうでした!!
日藝で開催した大きなワークショップ
で糸井は
sunuiのスカートを履いて登場したんです(笑)。
あれはすばらしかったなぁー。最高でしたよ。
(つづきます)
2018-11-02-FRI
お菓子のアルミカップ、アジアの布や糸、
ビーズやボタン、なににつかうのかわからない金属‥‥。
作品になるまえの「素(もと)」が、
sunui のアトリエからTOBICHI にやってきます。
外国の市場を思わせるようなごちゃっとたのしい空間に、
ぜひ遊びに来てください!
sunui の素(もと)
2018年11月2日(金)~11日(日)
11:00 - 19:00 会期中無休
TOBICHI② 東京都港区南青山4-28ー26
詳細は
こちらのページ
をご覧ください。
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN