ガラス作家の高橋禎彦さん
(コップ屋 タカハシヨシヒコさん)と
チェコのプラハに住むshino(シノ)さんのふたりが、
3日間だけの2人展をひらきます。
高橋さんからは、宙吹きのガラスのコップ
(「ワインのコップ」もありますよ!)やグラスに加えて、
新作である色ガラスのランプシェードと、
箸置きにもなるガラスのアルファベット。
そしてshinoさんは、おなじみのビーズのチョーカー
(そんなにたくさんの数はありませんけど)を。
さらにコラボレーション作品として、
高橋さんのガラスのオブジェに、
shinoさんがビーズをまきつけたものや、
チョーカーの一部にガラスのちいさなチャームを
取り込んだものなど、自由な作品がならびます。
会期中は、基本的に、ふたりとも在廊。
コップは試飲OK、チョーカーはもちろん試着OK。
「きちんとお見立てしますので、お声掛けくださいね」
とのことですよ。
ちなみに、高橋さんのコップとアルファベットは、
後日、「ほぼ日ストア」でも販売を予定しています。
高橋禎彦さんはガラスの作家で、
アーティストとしてのオブジェ作品が
東京国立近代美術館工芸館や
英国のヴィクトリア&アルバート博物館、
さらにドイツやアメリカ、スイス、デンマーク、
オーストラリアなどのミュージアムが
パーマネント・コレクションにするほどの人です。
(つまり、ガラスの世界では、世界的に有名な人!)
現在、多摩美術大学工芸学科で教鞭をとるかたわら、
相模湖の近くにあるアトリエで、
日々、制作をつづけています。
‥‥ですけれど、「ほぼ日」ではこれまで
カタカナの「タカハシヨシヒコ」さんとしての活動を
おもに、おいかけてきました。
カタカナの「タカハシヨシヒコ」さんの肩書きは、
「コップ屋」。
アートの高橋さんから
「実用品」のほうにぐっとシフトして、
グラスや水差し、ボウルなど、
「まいにちのように使うもの」をつくっています。
なかでもガラスのコップは、そのうつくしさ、
そして「飲み口のよさ」で、知る人ぞ知る存在。
そこから派生した「ワインのコップ」も、
ときおり開く個展で毎回完売するほどの人気です。
高橋さんのコップは水の味をとろりと変え、
ワインのコップは安ワインを「ちょっといいワイン」に
格上げしてしまうほどの力があるんです。
と、こういうことを書きながらぼく(武井)は思います。
ううむ、このあたりの話って、
ことばでいくら書いてもなかなか伝わらないんだよなぁと。
じつはいま「ほぼ日」の東京糸井重里事務所で
お客さま用に使っているコップは、
高橋さんにお願いしてつくってもらったものなので、
毎日すこしずつ体験してもらっていることにもなりますが、
もっと大勢の人に見てほしいなあ、と。
ということで、TOBICHI2での展覧会です!
ここなら、じっさいにお水を飲んでもらって、
「高橋さんのグラスを体験」してもらえます。
もちろん販売もします。
いやほんと、おいしくなっちゃうんだから。
これは、毎日コップを使っている実感です。
今回、TOBICHI2では、
ガラスのコップ(5種類以上、
ことなるデザインのものがあります)と、
ワインのコップが、大ぶりな「赤」用と
小ぶりの「白」用の2種類。
さらに、以前からつくってきた、
ステム(脚)つきの背の高いグラス類もならびます。
shinoさんは、チェコのプラハを拠点に、
ガラスビーズを使ってチョーカーをつくり、
年に数度、日本で個展をひらいて
展示・販売するという仕事をしています。
こつこつと、ビーズのひとつひとつを糸に通し、
それを巻いてチョーカーにするという
気の遠くなるような作業の結果うまれるチョーカーたちは、
1点1点、表情のことなるもの。
うんとカラフルなものもあれば、
モノトーンのものがあったり、
さらにはテーマをもうけて、
(たとえば“木の枝”“キッチンツール”とか!)
ヴィンテージ素材や、
ときにはほかのアーティストのつくるチャームを
組み込んだものをつくったり。
shinoさんの頭の中にだけある設計図をもとに
うみだされるチョーカーは、
コレクターがいるほどの人気なんですよ。
ぼくらから見ると、shinoさんのチョーカーは
「身に付けられるアート」です。
でもどうやら本人にその意識は少ないみたいです。
「表現活動ではなく、仕事として
わたしはチョーカーをつくっているんですよ」と。
でもやっぱり1点ものの手づくりのチョーカーって、
使う人にとっては、気軽に身に付けることができる、
暮らしのアートだなあと思うのです。
それに、shinoさんの作品もまた、
プラハの工芸美術館にコレクションされています。
個展で、お客さんたちがshinoさんのチョーカーを
えらぶようすは、
大好きな服を前にしたり、
大好きな料理が出てくるのを待つときのような
「うきうき感」にあふれています。
似合うと思ったものがあんがい似合わなかったり、
似合わないと思っていたらぴったりだったり、
ちょっと背伸びして「数年後に似合う自分」を想定して
買い求めるひとがいたり。
そんなshinoさんの個展は「3年先まで決まっている」
というほどの人気なのですけれど、
今回、とくべつな企画として、
高橋さんの展示に参加していただくことになりました。
高橋さんとshinoさんは「何十年のつきあい」という
旧知の仲ですが、
ふたりのコラボレーションは2006年が初めてで、
その後も、2度、あったきり。
高橋さんも、作品でコラボレーションをする、
ということ自体がとてもめずらしく、
また、shinoさんにとって、
高橋さんの作品をチョーカーに取り込むのは、
「言うことをきいてくれない聞かん坊を、
なだめすかして、どうにかこうにかまとめる、力技」
なのだそう。
思い描いた設計図どおりにならないことが
ほとんどなのだそうです。
でも、それだけに、完成したときのよろこびはひとしお。
「最初のコラボチョーカーは完売したんですが、
あとになって、せめて1本、
自分用にとっておけばよかった」
と、ふだん後悔というものをしないshinoさんが、
そう思うほどのものだったのだそうです。
今回TOBICHI2には、
高橋さんがつくったガラスのチャームを、
shinoさんがチョーカーに仕立てたものが、20本ほど。
そして、高橋さんのオブジェに、
ガラスのビーズを巻いたものを展示販売します。
「コップ屋 タカハシヨシヒコ」さんの作品なのか、
「アーティスト高橋禎彦」さんの作品なのか、
ちょっとあいまいな部分にある、
こんなアイテムもならびます。
それは、ガラスのランプシェードと、
ガラスのアルファベット。
ランプシェードは、もともと高橋さんが
「自宅用に」つくって、使っていたもの。
それを「おすそ分け」します。
コップと同じように「宙ぶき」でつくったもので、
透明なガラスと色ガラスが
サンドイッチ構造になっています。
作品には電気ケーブルがついていませんので、
お求めになられたかたは、とりつける天井の
電源にあわせて、お近くの電気屋さんなどに相談し、
お好みの長さのケーブルをつけてもらってください。
光を通すとほんとうにうつくしい高橋さんのガラス、
そのなかに光源が入った状態は、
部屋の中に恒星が浮かんでいるようで、
ちょっとうっとりするような景色です。
TOBICHI2では、たくさん天井から吊るしてみよう、
ということになっていますので、
どうぞ見にいらしてくださいね。
そして、ガラスのアルファベット。
型に流し込んでつくるオブジェです。
部屋の飾りとして置いてもかわいいのですが、
じつは「箸置き」にもなります
(アートと実用品のあいだ!)。
これは、いまいちばん気軽に手に入る
高橋禎彦作品ということになるかもしれません。
ちなみにこのアルファベットと、
コップ、ワインのコップに関しては、
後日あらためて「ほぼ日ストア」で
受注販売を予定しています。
3月12日(土)13日(日)14日(月)の3日間、
11時から19時までのこの二人展は、
基本的にふたりが在廊します
(休憩などで不在のときもあるかもしれませんが)。
どうぞ遊びに来てくださいね!
商品写真:仲田絵美