西本 |
映画の『東京タワー』には
BJさんと同じ「プロデューサー」という肩書きで
孫家邦さんというかたがいますけど‥‥。 |
BJ |
言っときますけど、孫さんは
「本物」のプロデューサーですから。 |
西本 |
たとえば、どんな違いがあるんですか?
「本物」と「バッジまわり」とでは(笑)。 |
BJ |
なによりまず、孫さんは、
この映画の中心人物なわけで。
現場のスタッフの方々からの
信頼といったらスゴいんです。 |
西本 |
これぞ、本物のプロデューサーだ! と。 |
BJ |
とにかく色んな人に
気を遣ってくださっていて、
何かあったら飛んできてくれるし‥‥。
それでいて、現場ではまるで「空気」のように
あまり、でしゃばらず。
それを見て、本物のプロデューサーというのは
ホントに姿を消して後ろのほうにいるんだなと。 |
西本 |
そこに、本物のプロデューサーの姿が! |
BJ |
それにくらべて、ボクなんかは
もう首にタオル巻いて、
松岡(錠司)監督がモニターを見てる、
その真後ろで、完全なバカ面で、
アゴなんか押さえながらこう‥‥。 |
西本 |
そこに、おもに「バッジ」まわり担当の
プロデューサーの姿が(笑)! |
BJ |
何も分かってないくせに、
やりたがっちゃうんですよ、どうしても。 |
西本 |
じゃあ、その本物のプロデューサー、
孫さんのファインプレーを、
ひとつだけ挙げるとしたら? |
BJ |
そうですね‥‥松岡錠司監督を
選ばれたことじゃないですかね、やっぱり。 |
西本 |
そういえば、松岡監督って
本の『東京タワー』の
サイン会に来てたんですよね? |
BJ |
そうです。 |
西本 |
サイン会の列に
ふつうに並んでらっしゃった? |
BJ |
ボクなんか監督のファンだったから、
「あ、松岡錠司だ!! なぜここに!?」って。 |
西本 |
一般のお客さんと一緒に? |
BJ |
そうです。
原作本が刊行されたばかりのころ、
吉祥寺でサイン会をやったんですけど、
そのお客さんの列に、
ちょびヒゲ顔の松岡監督が、
ふつうに並んでたんですよ! |
西本 |
それはちょっと、すごいですね。 |
BJ |
リリーのサイン会はできるだけ、
ひとりづつゆっくりとお話しをしながら、
と思っているので、
ものすごく時間がかかるんですけど、
サイン会が終わるまで待っていてくださって。 |
西本 |
ちなみに、リリーさんの1回のサイン会は
何人までとか限定されてましたよね? |
BJ |
100人限定というのが多いですね。
時間にすると、いつもかならず、
最低3時間はかかるんです。 |
西本 |
3時間!
お店が閉店するね、ヘタしたら。 |
BJ |
いや実際、
閉まっちゃったりしたこともありました。
そんな感じでしたから
松岡監督も「なんなんだ、このサイン会は」って
おもしろがってくれたみたいで。
すべて終了したあとに
リリーのとこに「はじめまして」みたいな感じで
いらっしゃったんです。 |
西本 |
別に、知り合いとかでもなかったんだ。 |
BJ |
そこで、松岡監督が
「もう映像化の話なんか
いろいろ来てると思うんですけど、
自分もやりたいと思っていて、
手を挙げさせてもらいたい。
だから、ひとりの候補として
記憶に留めておいてほしい」
ということをおっしゃってくださって。
‥‥そのときすでに
プロットのようなものがあったと思います。 |
西本 |
まだ本が刊行されて間もないころですよね? |
BJ |
いまのような状況(210万部)が、
まだ誰も想像できないころの話ですから、
映画になるということに対しても、
正直、ピンときていませんでしたし。 |
西本 |
‥‥松岡監督、なんで来たんですかね? |
BJ |
いや、それが、
当時、ご自分で書かれていた脚本と
偶然にも、近いところがあったり、
監督の周囲の人たちからも、
『東京タワー』を読んでみたらどうだと
勧められていたりしていたみたいです。 |
西本 |
それで、読んで‥‥。 |
BJ |
これを撮りたいって
思ってくださったみたいなんですよ。 |
西本 |
じゃ、連絡先とか分からないから
とりあえずサイン会に行ってみよう、と? |
BJ |
そうみたいです。
それって、なかなかできることじゃないし、
ほんとに、スゴいことですよね。 |
西本 |
松岡監督だからこそ、
できた映画なのかもしれませんね。 |
BJ |
そうでしょうね。 |
西本 |
でも、そんな松岡監督も
サイン会がそんなに長いとはねぇ(笑)。 |
BJ |
あれは予想外だったと言ってました(笑)。 |
西本 |
言ってましたか(笑)。
<つづきます>
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