塚越 |
MovieNEXは
進化型コンテンツという言い方をしているんですが、
ぼくらのPRにしても、まさに同じことです。
ぼくらはいままでコンテンツもつくってこなかったし、
進化という発想もなかったけども、
こうして、あたらしいバリューをつくり、
エンターテイメントという切り口で
情報やサービスを絶え間なく出していくことができます。
そのしくみができたことが
とても大きいことだと思っています。
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糸井 |
あのツリーハウス1号が気仙沼にあるあいだ、
最初に協力していただいた人たちとして、
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは
ずっと関わりがあるわけです。
MovieNEXとツリーハウスが重なるようにして
コンテンツが広がっていくイメージをもつことができた、
ということはものすごく‥‥いや、
なんていうんだろうな?
未来のしっぽをつかんでる感じになった。
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塚越 |
そうなんですよ。
未来のしっぽをつかんだ感触が
あるんですよね。
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糸井 |
うん。
「ツリーハウス1号」に着工する前は
それこそ映画館にしようとか、
ツリーハウスにキャラクターを呼ぼうとしたり、
映画のストーリーをなぞった
ツリーハウスをつくろうとしたりしたんだけど、
「いや、そういうことじゃない」
というのも、やっていくうちにわかりました。
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塚越 |
そうでしたね。
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糸井 |
何がコストが高くて、安くて、
何が効果があって、何が自由度あって、
何が高くても難しくてもやるべきことか?
広告代理店からメディアを買っていた時代と違って、
家計簿と人びとを触るように、
ぼくらは実践していきました。
ツリーハウス1号を建てるいろんな段階で
「これはやめておこう」という判断がありましたが、
だいたいが塚越さんと
同じタイミングで同じ意見でしたね。
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塚越 |
「優先順位でいくとそこは違うよね」
というのが、
糸井さんと話していて、すぐにわかったので。
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糸井 |
もしも頭が問題解決型になっていたら
そんなことはできないんです。
「上司から言われたから
これはやらなきゃいけないんです」
ということが、ない。
まぁ、ひとつは
ぼくらは上司同士で話をしているわけだから。
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塚越 |
それは、ないですよね。
ものすごく、ない(笑)。
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糸井 |
これは、実は堤さん(=堤清二さん)との
仕事の経験が、生きているんです。
堤さんとやっていた西武百貨店の仕事は、
堤さんが代表者でしたから、
堤さんが何と言うかで決まります。
子会社の社長、常務、専務、何人いようが、
堤さんが「ダメです」と言ったらダメ。
堤さんが「やめましょうか」と言ったら、
それは、やめましょう、なんです。
いまの広告デザイナーや
クリエイティブディレクターたちは
みんな「トップの人」と仕事をしているんじゃないかな。
そうじゃないとできないことが
ものすごく増えてると思います。
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塚越 |
なるほど、そうでしょうね。
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糸井 |
「上司がいるんで、怒られます」
という、設計図と部品のような関係が
いままでの仕事のしかたでした。
だけどもう、塑像の時代が来ていますよね。
みんなで女神をつくってるつもりでも、
最終的にクマになっちゃってもいい。
「何が目的だっけ?」と振り返ったときに
「人を呼びたいんです、みんなに喜んでほしいんです」
ということがわかっていた場合、
女神がクマになっちゃっても、
「そのクマはいいね」ということになれば
トップはOKです。
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塚越 |
うん、そのとおり。
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糸井 |
でも、トップ2は、
「それは女神じゃない」ということになる。
「じゃあ、クマ女神という名前をつけましょうか」
というように、ちょっと苦労が要るんだよ。
会社の組織というものが
そこの苦労に力を割いちゃうから、
それがどんどん仕事を占領していきます。
ただでさえ「その苦労が要るんだよ」ということ
だらけなのに、さらに
管理が幅をきかせるようになってしまった。
それだとやりたいことができないじゃないか、
ということに気づいてる人はいます。
わかっている人は、自分の会社から
変えていきたいと思っています。
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塚越 |
ホントにそうですね。
わかっている人は、もう、とんでもなくわかってる。
「未来のしっぽ」のつかまえ方が
うまいんだね。
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糸井 |
そういうことです。
で、そうじゃないと、
結局ただルールを守ってレールの上にいる人だけが
うまくやっていくことになって。
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塚越 |
そうなると、だめなんだ。
確実につぶれてっちゃいますね。
そんなのは無理だ。
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糸井 |
そう。
会社として、力が弱くなります。
そんな要素って、あっちこっち、
いっぱいあるわけですよ。
そこを、ドーンと。
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塚越 |
やりたいですね。 |
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(つづきます) |
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2014-02-26-WED |