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たとえばオーディションに受かった女の子たちに
きちんと説明できることを説明して
最低限、ここをこうすればよくなるよ、って
つんく♂さんは教えていきますよね。 |
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それをつんく♂さんは、自分に対しても
やってきたんじゃないかと思うんです。 |
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だとすると、
かなり小さい、物心ついたようなころから、
自我みたいなものよりも
法則に準じてきたということですよね。 |
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うん、つまり、
「腕をこう上げたほうが速く走れる」とか
「マイクの高さをこうしたほうが
うまく歌える」とか。
自分がこうしたいっていうよりも、
「こうしたほうがいいぞ」という
事実とか真実について興味を持っている。 |
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それって、別の言い方をすると、
どこかで自分を捨てている
ということでもあると思うんです。
つまり、こういうフォームで打てば
打球が遠くへ飛ぶぞって言って
あらゆる人が素直に練習できるかというと
そうではなくて、
「オレにはオレのやり方があるわい」って言って、
自分風にやり続ける人も多いと思うんですよ。 |
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そうだと思いますよ。
だって、みんなが小さいころから
つんく♂さんみたいに自分を鍛えていたら、
もっとすごい人が増えてますよ。
たぶん、つんく♂さんは
「自分ができたからみんなもできる」
って思ってるのかもしれないけど、
自分のやり方を捨てるっていうのは
やっぱりそんなに簡単なことではなくて、
みんな、どこかしらに、
「わけのわかんない自分」っていうのを抱えて、
それに押しつぶされそうになりながら
生きているんだと思うんですよ。 |
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うーーん、そう‥‥なんですかねえ。
あの、いま糸井さんがおっしゃったことは、
学校の勉強でも然り、なんですかね。 |
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どうでしょうね、
学校の勉強は、先生が答えを知っていて、
その答えに追いつくっていうものだから、
自分を鍛えてよくしていくっていうのとは
ちょっと違うかもしれませんが‥‥。 |
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あの、ぼくは、自分が説明しようとしていることは
学校の勉強と意外と変わらないと思ってるんですよ。 |
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運動もそうです。
こういうことを言うと本気でやられている方に
失礼になるのかもしれませんけど、
大づかみの部分でいうと
最低限の力を持ってさえいれば、
あるところのレベルまでは、
意外とみんないけるんだと思う。
少なくとも、日本の芸能界のレベルで考えた場合、
なにかチャンスとヒントをしっかり持っていれば、
あとは機動力さえあれば、
あの、ぼくが言うのも変ですけど、
年収一千万ぐらいのタレントには
なれるんじゃないかなっていう気持ちがあるんです。 |
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たとえばですけど。
もちろん、常人を卓越した、
三億円以上もらうようなスポーツマンとかだと
もうぼくの想像も超えるんで、
それはさすがに才能と、よっぽど何か、
教科書に載ってないことができないと
なれないんだろうけども、
日本の芸能界ということに限れば、
もちろん、ある程度の才能は必要ですが、
最低限のものと、何か「光るもの」を持っていれば、
あとは、わかる人がきちんとチェックをしていけば。 |
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なるほどねぇ。
その考え方はわかるんですけど、
はっきり言えるというのがすごいですね。 |
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そうなんですかね。
あの、いくらかずるいこと言うと──
いいですか? |
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65点から75点ぐらい取れることは
教えられるんですよね。 |
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きちんと説明すれば、
もともとその子たちが持ってなかった
30点なり、40点なりを
プラスしてあげることができると思う。
もちろん芸能界に関してですけど。
だから、75点までは教えられる。
誰でも、75点までは取れる。
現状ならその75点で食べていくこともできると思う。
でも、残りの25点とか、120点を取る方法は、
言わないし、教えもできないと思います。 |
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そうですよね。
いや、ほんとにそうだと思う。
あの、農業についても同じことがいえるんですよ。
ぼくは農業の勉強をしたというより、
ちょっとかじったくらいなんですけど、
種とか苗について、すごくこだわる人が多いんですね。
でも、じつは重要なのは育て方で、
きちんと育てれば、野菜とか果物って
それだけで美味しくなるんですよ。 |
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ほとんどが育て方なんですよ。
種の種類がどうのこうのっていうのは、
そのつぎの問題であって、
その品種の中で一番いいところまでいけば
必ず美味しいんですよね。 |
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そういう意味で言うと、
才能だとか資質だとかっていうのは
じつはそんなに重要なことではない。
それをまず、みんなに
わからせたいなって思うし、
ぼく自身にもわからせたいと思う。
つまり、自分の中にも、隠れたいいところが
いっぱいあるんだって思いたい。 |
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いい年になって、まだ表に出てないものが
自分の中にくすぶってるんだと思うと、
ある意味愉快ですよね。
ちょっとでもそういう芽が出てきたら、
毎日楽しいだろうなあって思うわけですよ。 |
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おっさんたちが、ある年齢になって、
ゴルフにあんなに夢中になるっていうのも、
同じことなんですよね。
ゴルフっていうスポーツは、
入り口のところで運動量が少なくて済むし、
「学ぶことによって伸びていく自分」
っていうのがわかりやすいんですよ。
ハンデという、わかりやすい尺度もあるし。
年をとってゴルフに夢中になる人っていうのは、
もうひと人生、楽しんでるんだと思うんです。 |
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それと同じようなことが
あっちこちにあるんだと思うんです。
たとえば、英語習う人もそうだろうし。 |
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はい、はい、すごくわかりますね、それ。
いや、そうです。そうだと思います。 |
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(続きます) |