お久しぶりです、鶴瓶さん!
ほぼ日には2011年以来、
8年ぶりのご登場となる笑福亭鶴瓶さん。
たっぷり糸井と語ってくださいました。
人気番組『家族に乾杯』のこと。
52年ぶりの同窓会のこと。
ももクロのこと。うれしかったことばのこと。
そして、鶴瓶さんの愛する落語のこと。
気心のしれた者同士、ふたりの会話は
軽やかにポンポン飛びはねていきます。
いっぱいしゃべって、いっぱい笑って、
途中、いっしょに給食もいただきました。
できることならずっと聞いていたい、
ふたりの「いま」が詰まったフリートークです。
深く、ゆるく、全9回。どうぞ!
- 鶴瓶
- ふつうの会社って、
こういう給食とかあるもんなん?
- 糸井
- たぶん、食堂とかはあると思うけど。
- 鶴瓶
- 食堂はあるけど、
こうやってみんなで食べるんはないよね。
こういうの、なんかワクワクするな。
- 糸井
- じゃあ、いただきましょうか。
- 鶴瓶
- はい、いただきまーす!
- 一同
- いただきまーす!
- 鶴瓶
- きょうのメニューはなに?
- ──
- きょうのメインはビーフシチューです。
それと豆ごはんですね。
- 鶴瓶
- ああ、うれしいなぁ。
俺ね、豆ごはんが大好きなんよ。
- 糸井
- (もぐもぐ食べながら)ちょうど偶然。
おかわりもありますから。
- 鶴瓶
- (ほおばりながら)
わぁ、ほんまおいしいわ。
メニューはどうしてんの?
- 糸井
- 時々、リクエストを取ってくれるんです。
社内イベントの景品で
「給食リクエスト券」みたいにするときもある。
- 鶴瓶
- でも、それ、当たった人は気をつかうやろ。
- 糸井
- それがぜんぜん(笑)。
- 鶴瓶
- そうなん?
- ──
- 前にリクエストした人は、
パクチーたっぷりの
アジア料理をリクエストしてました。
※参考:ただいま製作中!
- 鶴瓶
- へえ、そうなんやね。
ぼくね、時々、気をつかってない人が、
うらやましいと思うときがある。
気をつかわないって、逆にすばらしい。
- 糸井
- そうだね。
- 鶴瓶
- 同窓会のときも、
俺は「名前言わなあかん」と思うわけよ。
でも、なかには「あんた、いてた?」って、
本人に言う子もおる。
そんなん言える子、逆にすごいわ。
- 糸井
- ほんとはそっちに
まわっちゃえばいいんだけどね。
だって、人の名前って、
もうどんどん忘れちゃうじゃない。
このごろはとくにさ。
- 鶴瓶
- でも、俺はやっぱり
骨惜しみしたくないんよ。
だから糸井さんのあのことば、
あれはすごく頭に残ったなぁ。
ああ、あと、もうひとつある。
言われてうれしかったことば。
- 糸井
- ほう?
- 鶴瓶
- 前からうちに来てる
お手伝いさんに言われたことばで、
これもすばらしい。
「師匠ってほんま、丁寧に生きはりますね」
- 糸井
- おぉーー。
- 鶴瓶
- それは、だいぶ前に言われたんよ。
ぼくの生活をずっと見てはる人やからね。
それで「丁寧に生きはるわ」って言うてくれた。
これはうれしかった。
- 糸井
- そういうことを言われると、
じぶんも「そうなりたい」と思いますよね。
- 鶴瓶
- ほんまそうなんよ。
人のことばで人はつくられる。
俺、じぶんで「徂徠豆腐」のなかに、
「人は人のことばで傷ついて、
人のことばで救われる」
というセリフを入れたんよ。
「人っておもしろいね」というのを、
落語のなかに入れたんやけど、
みんな「そうや」って言ってくれる。
丁寧に生きる。
これ、ええことばでしょう。
- 糸井
- うん、いいね。
やっぱり鶴瓶さんは、
手編みのセーターなんですよ。
目がきれいにそろっているというか。
- 鶴瓶
- あ、そうそう、
いま急に思い出したわ(笑)。
- 糸井
- ん?
- 鶴瓶
- いや、糸井さんのことで、
昔から覚えてることがあるんやけど、
この人、エレベーターの中で、
急にしらんオッサンとケンカはじめたからね。
- ──
- えぇ、どういうことですか?
- 鶴瓶
- すっごい昔にな、
テレビの撮影やってたときに、
エレベーターのなかで
しらんオッサンが失礼なこと言うたからって、
急にケンカしはじめたんよ。
カメラ、回ってんねんで。
- 糸井
- あぁ(笑)。
- 鶴瓶
- 俺、それはちょっと、
うらやましいと思ったもん。
思ったことハッキリ言うて、
エレベーターのなかでケンカはじめて。
俺が「あかん、あかん!」言うて止めたんよ。
あれ、なんやったん?
なんであんなことできるん(笑)。
- 糸井
- あったかなぁ、そんなこと(笑)。
- 鶴瓶
- いや、めっちゃケンカしてたやん。
テレビ撮ってなかったら、まだええよ。
カメラ回ってんのに、
本気で怒ってんねんもん。
だから俺、ケンカ止めながら思ったよ。
「ああ、この人は信用できる人や」って。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- あはははは。
- 鶴瓶
- でも、大人やったらふつう抑えるよ、あそこは。
こっちにもちょっとは非があるやん。
- 糸井
- たぶん、じぶんひとりだったら
我慢してたんじゃない?
- 鶴瓶
- あぁ‥‥。
- 糸井
- あんときは他の人もいたし、
その人らが巻き込まれたらイヤじゃないですか。
それだけだと思うよ。
- 鶴瓶
- あんときのアレが、
いまではこんな立派に‥‥。
- 糸井
- もう、なに言ってんの(笑)。
- 鶴瓶
- ずっとあんな感じやったら、
こんな立派にはなってないよ。
じぶん、あんときは丁寧やなかったやろ?
- 糸井
- まあ、うん。
- 鶴瓶
- なぁ。ぜんぜん丁寧やなかった。
- 糸井
- でも、あのころの番組って、
もう全体がむちゃくちゃだったよ。
みんな荒くれものだらけ(笑)。
いまだったら絶対できないようなことが、
とにかくいっぱい仕組んであったし。
- 鶴瓶
- あんた、よう、そんな番組出たな(笑)。
- 糸井
- お互いにね(笑)。
- 鶴瓶
- そうや。ほんま、えらい番組やったわ。
(明日も食事をしながら、つづきます)
2019-02-12-TUE
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN