(和室に入って)
お邪魔します。失礼します。
すごい。いい木の匂い。
私、ここ(下座)でいいですよね。
---- いえ、今日は、
羽海野さんがお客さまなので上座に‥‥。
いえいえいえ、名人戦と同じで、
名人が掛け軸のほうで。
私、こちらにお先に座らせていただきます。
(ちょこんと置かれたぬいぐるみを見て)
羽海野さんの、これ、いいなぁ。
俺もこういうのを作っときたいなぁ(笑)。
サイン会とかもこの人にも書いてもらって。
私、サイン会用の着ぐるみも持ってるんです。
あるんですか!
自分が入って、肉球をはずして手を出して。
やりますねぇ!
ところで、交換の儀みたいなのは
要らないですかね?
(と、名刺を出す)
要りますか? はい。
柄が、いろいろ違うんです。
みんな8種類ずつ持ってるんです。

 弊社の名刺は八種類あります。
わぁ、わぁ、わぁ。
ペンギン、ペンギン。
わぁい、ありがとうございます。
私、名刺がない。
名刺を手書きで持ってくればよかった。


あらためて、はじめまして。
こちらこそ、はじめまして。
今日、私のツイッターのところに
つぶやきが入っていて、
「ブイヨンちゃんのパパに会われるんですね」
って(笑)。
そうです、そうです。
こちらの事務所、
ほんとうに木の匂いがします。
今日、緊張してお腹が痛くなって
2回電車降りちゃったんですけど、
ここに入ったら木の匂いがしたので──。
楽になったでしょう?
楽になりました。
木の匂いはすごいですね。
リラックス効果があるんだと思って。
エレベーターから降りて、玄関を入ったら、
「あ、いい匂い。もう大丈夫」と思いました。
よかった、よかった。
もう大丈夫です。
引っ越したばかりですけど、
ぼくらもこの匂いのおかげで早く馴染みました。
羽海野さんがいらっしゃること、
ツイッターにちょっと書いたら、
みんなが本当に喜んでくれて。
よかったです。
羽海野さんと「ほぼ日」、
重なってる読者が
いらっしゃるんですね。
そうだと思います。
私、「今年の手帳、何にしようかな」って言ったら、
もういっせいにみんなが
「ほぼ日手帳!」
「私も使ってまーす」って。
じゃあ、みんなとお揃いにしようと思ったら
通販がもう間に合わない時期だったんです。
そうしたら糸井さんが
「今年のが終わったところなので、すみません」
みたいなことを書いてくださった。
もうびっくりして!
お会いする予定は、まだね、
ない時だったんですよね。
そうなんですよ。
いつか会うだろうなと思ったんですけど。
あと20年以内には
いつかどこかでお会いできるんじゃないかしら、
と思ってたんですけど、
まさかツイッターが縁で、こうして。
そう、そんな気持ちでした、ぼくも。
でも、私、手で触って、
サイズとか、カバーとかを見たくって、
「直接触ってみたいんで、
 ロフトに行ってみます」
っていうお返事をしたんです。
そうだ、そうだ。で、その後、
飯島奈美さんの『LIFE』のことも
書いたような気がするね。
はい、『LIFE』。
飯島奈美さんは、私の好きな映画で
よくフードスタイリストとして
出てらっしゃって。
そうですね。『かもめ食堂』とかね。
そう。あのへん、みんな観ていたので、
もう本、飛びつきました。
映画観て、「食べたい!」と思うもんね。
一番最初、堺雅人さんに
「『LIFE』を買うといいよ」
って言われたんです。それで。
あぁ、それはいい話だね。
それで、私、すぐアマゾンで買って。
「おもしろい本ですね」って。
堺くんとは
『ハチクロ(ハチミツとクローバー)』の映画で
お知り合いになってるわけですよね。
そうです。映画で花本先生を演っていただいて。
今もメールをやりとりさせて
いただいているんです。
そうか、そうか。
『LIFE』、すごく真剣に読みました。
「まずは、じぶんなりの工夫なんかもやめて、
 レシピそのままつくってみてください。」
ってまえがきに糸井さんが書いてらっしゃって。
やっとわかったんです。
お料理の本はアレンジしちゃいけないんだってことを。
そうです、はい。
目から鱗が!
おいしいでしょ?
はい。1回目からだいたい自分流に
やっちゃうんですけど、
それじゃだめなんだなと思って、
分量をはかったら、
失敗しなくなって(笑)。
アレンジを間違ってたんだって思いました。
私が悪かったんだねって。

(つづきます)

2011-04-01-FRI





美大を舞台にした『ハチミツとクローバー』でデビュー。
高校生棋士を主人公にした長編第2作
『3月のライオン』で「マンガ大賞2011」を受賞。
同作は現在も白泉社「ヤングアニマル」誌で連載中。