2匹のねこがやってきて、去ってった。〜牛と海苔の思い出〜あれは4月のことだった。我が家に2匹のねこがやってきた。誰に飼われているのか、名前も、性別も、年齢もわからない。わかっていることは、同じ家で飼われていたっぽいということだけ。5か月間の共同生活の記録を、「文と写真:ゆーないと」でお届けします。
第41回

いよいよ、お別れの日がやってくる。
前夜は、さすがに、しんみりとした。
「2匹を無事に、飼い主のもとへ戻す」
という、はじめに思っていた目標が、
いよいよ、達成されようとしている。
よかったね、といううれしい気持ちと、
この共同生活が終わっちゃう、というさみしい気持ちと。

牛と海苔は、やさしいねこだった。
わたしがしんみりして、ちょっぴり泣いているのを見て、
牛は、鼻息を「フンフン」しながら、
顔に頭突きをしてくる。
その姿は、まるで本物の「牛」のようだ。
お前は、すっかり「牛」だね。


海苔は、びっくりした目をして(いつもだけれど)、
わたしの涙を、舌でぬぐってくれた。
そのザラザラした舌は、とても痛い。
海苔は、よくわたしの顔をなめてくれる。
なめられるこっちは、コツを見つけてしまった。
顔に力を入れると、より痛いので、
なめらてるときには、顔の力を抜くこと。それがコツ。
そうすると、あんまり痛くない。
きっとむこうは、毛づくろいとして、
愛情? を持ってやってくれてると思うので、
いちおう
「ありがとう、はい、うん、もういいよ、はい」
と、傷つけないように、やさしくお礼を言って、
丁重にお断りした。




いよいよだ。
わたしは、ほんとうの飼い主・Hさんに、
手紙を書いた。

(つづく)

2011-10-31-MON
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