腰を据えて食べることを考える。
NHKのドキュメンタリー番組が、人々を動かした。

今日、初めてこのページをご覧になった方
まずはここを読んでください。

届いた。すぐ観た。興奮した!

「届きました!期待以上です。眠れません」
「斉須さんのサイン、こんな丁寧に
 ・・・申し訳ないくらいです」
というようなメールが続々と届いてます。
観た人はおもしろがってくれるという
自信はあったのですが、
届いた人が、すぐに見始めているということが、
なんだか熱くて、うれしいです。
1通、まだ購入検討中という方のメールを
ご紹介しますね。

 高校の地理の時間に見せてもらった映像は、
 「何食べ」だったんだと分かりました。
 中部ヨーロッパ(ドイツ)の時だったと思うのですが、
 豚の解体シーンを見せてもらいました。
 今でも、「目玉」と「ひづめ」以外、
 全て余さず食べるということを鮮明に覚えています。
 我々から見ると圧巻、
 でも現地の人からすると
 「ずーっと昔からこうやって
  自然と一緒に暮らしてきた」という
 ごく普通の生活、というギャップが、
 淡々とした自然な映像だけに強調されるようで、
 高校生の私は、
 「ドイツ人、伊達にソーセージ
  作ってるんじゃないんだなぁ…」
  という浅はかな感慨を抱いた覚えがあります。
 ある日の授業で見せてもらって、
 それから10年以上も記憶に残っている番組、
 というのもすごいですが、
 それを掘り起こして
 DVD等にしてしまうという企画もすごいですね。
 有り難いです。
 でも、4万円……。
 もう少し予算交渉の時間をください。
 そんなすぐに締め切らないでくださいね。
 (茶犬さん)


「ドイツ人、伊達にソーセージ
 作ってるんじゃないんだなぁ…」

これ、わっかるなぁ。
ほぼ日期待の新人・トミタに至っては
「ドイツで育った私はいろんなソーセージを
 食べ尽くしてきたはずなんです。
 ソーセージについては
 一通り知っていたはずなんですけど
 この回は衝撃でした。」
と、なぜか反省に近いリアクションをしていたのが
印象的でありました。

さて、今日お伝えするのは
茶犬さんのメールにもある、
『それを掘り起こしてDVD等にしてしまうという企画』を
実際にやってしまった人たちのお話です。

「何食べ」に巻き込まれたひとびと

スタジオジブリ 事業本部 出版部
 亮太
スタジオジブリの制作の担当。
各巻の終わりについている、宮崎駿監督、高畑勲監督が
当時の番組制作スタッフと対談をする
特典映像もプロデュースする。
ブエナビスタホームエンタテイメント
ニュー・プロダクト マネージャー

岸本 光司

ブエナビスタホームエンターテイメントで
新商品を手がける敏腕マネージャー。
ブエナビスタホームエンタテイメント
ニュー・プロダクト アシスタントマネージャー

永見 弥映子

ブエナビスタホームエンターテイメントで
ほぼ日の「何食べ」の担当窓口であり、ほぼ日スタッフは
この瞬間まで、ばりばりの担当スタッフと信じ込んでいた。
ほぼ日スタッフ

ほぼ日 今日は、実際にこの商品を
企画して売り出した方々に来ていただきました。

そもそも宮崎駿監督に巻き込まれた糸井がいて、
さらに糸井に巻き込まれた
ぼくたちがいたのですが、
宮崎駿監督のとてつもない渦のようなものが
どのようにみなさんに広がっていったのか
教えていただけますか?
ぼくは、鈴木にこれを作れと言われて(笑)。
それがきっかけてジブリに入ってしまったんです。
まあ、まさに巻き込まれた
という感じですね(笑)。
【註】 鈴木にこれを作れと言われて
ここで言われている鈴木とは、もちろん
スタジオジブリの名プロデューサー
鈴木敏夫氏である。
https://www.1101.com/suzuki_toshio/index.html
岸本 わたしは、ジブリさんとビデオ、DVDを通して
ずっとおつきあいさせていただいていて。
ソフトコンテンツを
販売させていただくという役目を
ジブリさんからどーーんと任命されました。
永見 わたしは実を言いますと、
まったく担当じゃなかったんです。

で、なんでここに関わっているかといいますと、
宣伝費用を捻出しようっていうところで、
わたしの担当してた別のタイトルから
お金を持ってくるってなったんです。
実は、そこから初めて内容を見て、
どんどんのめっていってしまったんです。
ほぼ日 永見さん、いきなり
ぶっちゃけちゃいましたね。(笑)
ジブリさんの社内でも『何食べ』は
人気があったと伺ったんですが。
テレビで放送されたのが、
けっこう前ですよね。
移動漁民の回を、ジブリの中で上映会
やってたりしてたんですよ。
やっぱり宮崎がすごく気に入って
当時から、「これ面白いっ!」
っていうムードがあったんです。
当然、鈴木もすごく好きで、
オンエアをしたビデオを
まだ持っているんですね。
それで、こんな状態で見るぐらいだったら、
ソフトにしたいな、って思ってた、
というようなのが、まずあったんですよね。(笑)
【註】 移動漁民の回
第6巻
〜サバンナの
 移動漁民〜
アフリカ
・ニジェール川の
回のこと。

【註】 ジブリの中で上映会
当時のジブリ、制作日誌にも記されている。
http://www.ntv.co.jp/ghibli/diary/964.html
ほぼ日 宮崎さんがもともとファンだったっていうことが
鈴木さんにも広がったんですか?
いや、同時に見てたみたいですね。
高畑も見てたみたいですから。
とくに最初のシリーズのころに見て、
肉だったと思うんですけど、
「すごいね」っていう話をしていたので。
ほぼ日 まず、肉はびっくりしますよね。
いきなり見ると、やっぱり。
ほぼ日 宮崎さんはどうおっしゃってたんですか?
シリーズを通して言ってるんですけど、
人は暮らしてきた、というような発想で
人間を捉えなおしている
らしいんです。
そういう考えのもとに番組が作られていて、
人間の原始の暮らしみたいなものというか
オリジンみたいなものを、
捉えようとするわりに、
商品経済を、わざと出してる
んですよね。
画面からチョコチョコっと映る、Tシャツが、
どう考えても英語が
書いてあったりとかですね(笑)。
くわえタバコをしたりとか。
そういうところもポイントになってるんですね。
ほぼ日 ふつう隠しちゃいますよね、そういうところって。
作ってる側も、隠すというより、結果的に
映り込んでる、って感じなんだと思うんですけどね。
「何食べ」が発売にこぎつけるまで
このようなソフトが芽生える土台は
90年代半ばぐらいに
じゅうぶんあったんですよね。
当時はけっこう勉強会とか、企画検討会を
やってた時期だったので、
けっこう見てたんじゃないか、と思います。
鈴木は、たぶんかなり見たと言ってますし、
実際細かいとこまで憶えてますね。
ほぼ日 こちらのジブリ学術ライブラリーとして
販売を進めるにあたって、
まずどのように動きはじめたのですか?
まず、何となく宮崎や鈴木が好きだって
いうような話があって。
岸本 そのレベルで、こういうのがあるんだよ、って
お話だったんですね。
販売するとかって話は、ぜんぜんなかったですけど。
去年3月ですよね。具体的になったのは。
ほぼ日 それまでは、出すとかそういうことって、
まったく検討すらもされてなかった、と。
そもそもがNHKのソフトなので(笑)。
ほぼ日 そこから、今回のジブリさんでソフト化までは
どういう動きだったんですか。
番組自体はあるので、オリジナルはそのまま、
出しましょうっていうのが原則なんです。
NHKの人にコンタクトをとって、
「うちでソフト化したいんですけど、
 そういうことは可能ですか?」
ってところから始めて。
で、NHKさんの作業はここまで、
うちの作業がここまで、
ブエナさんの作業がここまで、
みたいな割り振りをして、って。
その過程で、今回は特典映像を
つけましょうって企画を自分で出して
自分の首を絞めたなって(笑)
ほぼ日 自ら「何食べ」の嵐をつくってますね〜(笑)。
いや、大変でした。
スケジュールがなかなか合わなくって。
ディレクター8人、もう10年も経ってるんで、
偉くなって地方の部長や関連会社の社長に
なってたりするですよ。
全部で何日にもわたって日にちを
セットしなくちゃいけなかったり。
ほぼ日 スケジューリングだけでも大変だったんですね。
特典映像では宮崎さんがすごく生き生きと
喋ってるのが(笑)、印象的でしたね。
イモの回なんて、最後にイモが出てくるところが
けっこう面白いんですけど、
間近で見ようと、
眼鏡外して見たりとかしてましたよ。
岸本 そういえば、ジャケットとかも
ずいぶんこだわりましたよね。
ジャケットは全部いちおう、宮崎さんに
チェックしてもらって、「この写真で」って
いうものを選んでもらったんですよね。
岸本 写真素材がないんですよ。全部画面から起したんです。
宮崎さんが、あえて、
「ものを食ってる写真はやめよう」
という話をしていて。
グルメものみたいに思われちゃうから。
つまり珍しいもの食べてみましたみたいに
なっちゃうんで、そうじゃないということを
ちゃんと伝えたかったんですよ。
それで、わりと、引目の風景の中にいる映像が
いいんじゃないかっていうのを、
すごく言ってましたね。
で、肉はこれ以外に、もうちょっと保守的なのも
あったんですけど。
もう、これだこれ!っていって(笑)。
【註】 肉はこれ以外に
第1巻
一滴の血も生かす 〜肉〜
のジャケット写真のこと
岸本 もう思い切って、これをいこー!みたいな。
ほぼ日 今回、販売元となった、
ブエナビスタの皆さんは、
最初に「何食べ」の商品化の話を聞いて、
どう思われました?
岸本 「また、エライもん持ってきちゃった」
っていうのが
本音ですね(笑)。
ほぼ日 それは、ぼくらも最初、そう思いました。(笑)
    (つづきます。)

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連動企画
「『人間は何を食べてきたか』は誰がみるのか?
あ、オレか。」

2003-03-04-TUE


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