ほぼ日 |
今日は、実際にこの商品を
企画して売り出した方々に来ていただきました。
そもそも宮崎駿監督に巻き込まれた糸井がいて、
さらに糸井に巻き込まれた
ぼくたちがいたのですが、
宮崎駿監督のとてつもない渦のようなものが
どのようにみなさんに広がっていったのか
教えていただけますか? |
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ぼくは、鈴木にこれを作れと言われて(笑)。
それがきっかけてジブリに入ってしまったんです。
まあ、まさに巻き込まれた
という感じですね(笑)。
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岸本 |
わたしは、ジブリさんとビデオ、DVDを通して
ずっとおつきあいさせていただいていて。
ソフトコンテンツを
販売させていただくという役目を
ジブリさんからどーーんと任命されました。 |
永見 |
わたしは実を言いますと、
まったく担当じゃなかったんです。
で、なんでここに関わっているかといいますと、
宣伝費用を捻出しようっていうところで、
わたしの担当してた別のタイトルから
お金を持ってくるってなったんです。
実は、そこから初めて内容を見て、
どんどんのめっていってしまったんです。 |
ほぼ日 |
永見さん、いきなり
ぶっちゃけちゃいましたね。(笑)
ジブリさんの社内でも『何食べ』は
人気があったと伺ったんですが。 |
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テレビで放送されたのが、
けっこう前ですよね。
移動漁民の回を、ジブリの中で上映会を
やってたりしてたんですよ。
やっぱり宮崎がすごく気に入って、
当時から、「これ面白いっ!」
っていうムードがあったんです。
当然、鈴木もすごく好きで、
オンエアをしたビデオを
まだ持っているんですね。
それで、こんな状態で見るぐらいだったら、
ソフトにしたいな、って思ってた、
というようなのが、まずあったんですよね。(笑)
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【註】 |
移動漁民の回
第6巻
〜サバンナの
移動漁民〜
アフリカ
・ニジェール川の
回のこと。 |
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ほぼ日 |
宮崎さんがもともとファンだったっていうことが
鈴木さんにも広がったんですか? |
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いや、同時に見てたみたいですね。
高畑も見てたみたいですから。
とくに最初のシリーズのころに見て、
肉だったと思うんですけど、
「すごいね」っていう話をしていたので。 |
ほぼ日 |
まず、肉はびっくりしますよね。 |
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いきなり見ると、やっぱり。 |
ほぼ日 |
宮崎さんはどうおっしゃってたんですか? |
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シリーズを通して言ってるんですけど、
人は暮らしてきた、というような発想で
人間を捉えなおしているらしいんです。
そういう考えのもとに番組が作られていて、
人間の原始の暮らしみたいなものというか
オリジンみたいなものを、
捉えようとするわりに、
商品経済を、わざと出してるんですよね。
画面からチョコチョコっと映る、Tシャツが、
どう考えても英語が
書いてあったりとかですね(笑)。
くわえタバコをしたりとか。
そういうところもポイントになってるんですね。 |
ほぼ日 |
ふつう隠しちゃいますよね、そういうところって。 |
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作ってる側も、隠すというより、結果的に
映り込んでる、って感じなんだと思うんですけどね。 |
「何食べ」が発売にこぎつけるまで |
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このようなソフトが芽生える土台は
90年代半ばぐらいに
じゅうぶんあったんですよね。
当時はけっこう勉強会とか、企画検討会を
やってた時期だったので、
けっこう見てたんじゃないか、と思います。
鈴木は、たぶんかなり見たと言ってますし、
実際細かいとこまで憶えてますね。 |
ほぼ日 |
こちらのジブリ学術ライブラリーとして
販売を進めるにあたって、
まずどのように動きはじめたのですか? |
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まず、何となく宮崎や鈴木が好きだって
いうような話があって。 |
岸本 |
そのレベルで、こういうのがあるんだよ、って
お話だったんですね。
販売するとかって話は、ぜんぜんなかったですけど。 |
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去年3月ですよね。具体的になったのは。 |
ほぼ日 |
それまでは、出すとかそういうことって、
まったく検討すらもされてなかった、と。 |
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そもそもがNHKのソフトなので(笑)。 |
ほぼ日 |
そこから、今回のジブリさんでソフト化までは
どういう動きだったんですか。 |
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番組自体はあるので、オリジナルはそのまま、
出しましょうっていうのが原則なんです。
NHKの人にコンタクトをとって、
「うちでソフト化したいんですけど、
そういうことは可能ですか?」
ってところから始めて。
で、NHKさんの作業はここまで、
うちの作業がここまで、
ブエナさんの作業がここまで、
みたいな割り振りをして、って。
その過程で、今回は特典映像を
つけましょうって企画を自分で出して、
自分の首を絞めたなって(笑)。 |
ほぼ日 |
自ら「何食べ」の嵐をつくってますね〜(笑)。 |
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いや、大変でした。
スケジュールがなかなか合わなくって。
ディレクター8人、もう10年も経ってるんで、
偉くなって地方の部長や関連会社の社長に
なってたりするですよ。
全部で何日にもわたって日にちを
セットしなくちゃいけなかったり。 |
ほぼ日 |
スケジューリングだけでも大変だったんですね。
特典映像では宮崎さんがすごく生き生きと
喋ってるのが(笑)、印象的でしたね。 |
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イモの回なんて、最後にイモが出てくるところが
けっこう面白いんですけど、
間近で見ようと、
眼鏡外して見たりとかしてましたよ。 |
岸本 |
そういえば、ジャケットとかも
ずいぶんこだわりましたよね。 |
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ジャケットは全部いちおう、宮崎さんに
チェックしてもらって、「この写真で」って
いうものを選んでもらったんですよね。 |
岸本 |
写真素材がないんですよ。全部画面から起したんです。 |
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宮崎さんが、あえて、
「ものを食ってる写真はやめよう」
という話をしていて。
グルメものみたいに思われちゃうから。
つまり珍しいもの食べてみましたみたいに
なっちゃうんで、そうじゃないということを
ちゃんと伝えたかったんですよ。
それで、わりと、引目の風景の中にいる映像が
いいんじゃないかっていうのを、
すごく言ってましたね。
で、肉はこれ以外に、もうちょっと保守的なのも
あったんですけど。
もう、これだこれ!っていって(笑)。
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【註】 |
肉はこれ以外に
第1巻
一滴の血も生かす 〜肉〜
のジャケット写真のこと |
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岸本 |
もう思い切って、これをいこー!みたいな。 |
ほぼ日 |
今回、販売元となった、
ブエナビスタの皆さんは、
最初に「何食べ」の商品化の話を聞いて、
どう思われました? |
岸本 |
「また、エライもん持ってきちゃった」
っていうのが
本音ですね(笑)。 |
ほぼ日 |
それは、ぼくらも最初、そう思いました。(笑) |
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(つづきます。) |