腰を据えて食べることを考える。
NHKのドキュメンタリー番組が、人々を動かした。

これからご注文を
考えている方に、たいせつなお知らせ。


今日、初めてこのページをご覧になった方
まずはここを読んでください。

「何食べ」に巻き込まれた幸せ

前回に引き続き、
「『人間は何を食べてきたか』を掘り起こして
 DVD等にしてしまうという企画」を
実際にやってしまった人たちのお話です。

後半は、特典の「斉須さん特製のお菓子」についても
詳しくお伝えします!

スタジオジブリ 事業本部 出版部
 亮太
スタジオジブリの制作の担当。
各巻の終わりについている、宮崎駿監督、高畑勲監督が
当時の番組制作スタッフと対談をする
特典映像もプロデュースする。
ブエナビスタホームエンタテイメント
ニュー・プロダクト マネージャー

岸本 光司

ブエナビスタホームエンターテイメントで
新商品を手がける敏腕マネージャー。
ブエナビスタホームエンタテイメント
ニュー・プロダクト アシスタントマネージャー

永見 弥映子

ブエナビスタホームエンターテイメントで
ほぼ日の「何食べ」の担当窓口であり、ほぼ日スタッフは
この瞬間まで、ばりばりの担当スタッフと信じ込んでいた。
ほぼ日スタッフ

ほぼ日 「また、エライもん持ってきちゃった」(笑)と
おっしゃる岸本さんにとって
最初はこの『何食べ』を社命として
売ることになったわけですよね。
岸本 ジブリさんとうちとの付き合いの中ではですね、
まずは、絶対にやるんです(笑)。
でも、わたし個人的には、
こういう商材は嫌いなほうじゃないんです。
もともと単館映画を
苦労して売ったりしてきましたし。
変な言い方ですけど、
マスでバーンとヒットさせてバーンと売るのは、
誰でもできることだと思うんです。
そうじゃなくって、口コミであるとか、
方法論で売っていく商材って、
必ずあるんですよね。
そういうものは、
こちらの想いと説明を要するんです。
これもそうですけど。やっぱりいろいろな形で
その良さを説明をして、わかってくれる人だけ
買ってくれるモノじゃないですか。
だから、
時間も苦労も手間もすごくかかるんですよね。
ああ、僕も最初相談したときには、
「そんなに売れるものじゃないです」って
再三、聞かされました(笑)。
ほぼ日 糸井からも、「この『何食べ』が商品として
世に出たこと自体が、奇跡のようなものだ」と
何度も聞かされてきたんです。
「3セットくらしか売れなくても、販売はしようよ」
というくらいの気持ちで販売を始めたんですけど。
この『何食べ』が世に出るってことは
どれぐらい難しかったんですか。
岸本 NHKの中でも、
かなり評価が高かった番組だったけれど、
今までソフト化されてなかったわけですよね。
書籍にはなってますけど、
もはや誰も見てないし、
いわゆる「現在生きてないソフト」を、
わざわざソフト化しても、
そんなに売れないだろうと
思われてたんじゃないのかな。
放送中の85年ごろはまだ、
レンタルビデオも
今ほどは発展してなかったので、
ソフト化して販売するタイミングを逸したまま
ここまで忘れられていたってことですよね。
「何食べ」は何度でも観たい
ほぼ日 みなさんはソフト制作の過程で
何回も何回も『何食べ』をご覧になったと
思うんですが、
一番心に残っていることってどんなことですか?
岸本 何よりも、この『何食べ』の良さって、
ただ「何を食べてきたか?」ということ
だけじゃなくって、それを通した家族とか、
生活とか、現代人がほとんど
忘れているような部分がずいぶん出てるんですよね。
今は、ぜんぜんやる気がないような子どもたちが
多いわけで、目標も何もないわけじゃないですか。
うちの子どももそうなんですけど(笑)。
夕食のおかずを見て
飯を食うか食わないか決めるとかね。
そういう人たち対しては、
宮崎さんが
「この『何食べ』をいろんな人に見せたい」
っていうのは、よくわかるんで(笑)。
「家族とは」とか、
「食べるってどういうことだ」とか、
「親が子に対する愛情」とか、
「子が親に従う規律」とか、
そういうことがすべて出てるじゃないですか。
「人間の生活のすべてが凝縮されて、
 ここに答えがある。」

そういう気がするんですよね。
日本も「昔こうだった」みたいなこと、
いつも言われますけど、
本当にそうだと思うんですよね。
「昔はそうだったのに、何か置き忘れてきたのかな」
って。
この年になって、やっと思うんですけどね。
僕はふたつあって、
ひとつはやっぱり目から鱗が落ちるというか、
「そういえば肉って動物の死体だよね」とか。
それまでわりと忘れてたことを、
思い出させてくれるっていうのもありました。
もうひとつは、どの卷もそうなんですけど、
例えば、移動漁民とかって、
米と魚を食べていて
辛い味付けがしてあるっていうんですよね。
「それって旨そうじゃん」って
似たような味覚の感じを受けたんですね。
惰性で食べたりとか、ストレスで食べたりとか
というのとは違って、
「なんかこの人たち美味しそうに
食べている気持ちもわかるな」というか。
「ああ、いずこも同じ」
というと大袈裟だけど、
そういう感じも逆にありましたね。
ほぼ日 そうですよね。
『何食べ』のソフト化の作業をしている過程で、
自分の中でちょっと変わったとことかってありますか?
「人間いかようにも生きれるんだな」
って思いましたね。
今ある生活とかが、絶対的なもんじゃないって。
「こんなものも食べても大丈夫なんだ」
って思うことはけっこうありましたよね。
自分が持ってる「人間観」とか「世の中観」
みたいなものは、単に20世紀の後半に、
日本のここに生まれたからこう思ってるんであって、
世の中にはぜんぜん違う生き方で、
それはもしかしたら辛いのかも知れないけど、
でもちゃんと生きてて、
そこにはちゃんと
食べる楽しみがあるんだっていうのが、
けっこう、衝撃でした。
西瓜の回とかって、想像を絶するわけじゃないですか。
「これが、文化っていうものなのかな」
って悩むぐらい独特なわけで。そういう意味では、
認識の幅が広がった感じがしますよね。

【註】 西瓜の回
第7巻
「スイカ
 砂漠の民の水瓶」
の回のこと。
ほぼ日 『何食べ』とのつきあいかたって、
他のソフトとちょっと違うなぁ。
って思ったんですよね。
「知識量を増やしてためになったな」
っていうより、考えるきっかけになったな、
というような感じだとも思いました。
岸本 ぼくはとても音楽が好きで、
うちに帰ったらテレビとか一切見ないで
音楽ばっかり聞いているほうなんですね。
映像はもう仕事として割り切ってるんです。
レコードとかCDは何千枚ってあるんですけど。
DVDってよっぽど気に入ったものしか
買わないんですよ。
こんな仕事をしていながらも
DVDは10枚ぐらいしか持ってないんです(笑)。
そんなぼくにとっても『何食べ』は
数少ないライブラリーのひとつで、
一生ものにしたいなって感じちゃったんですよね。
永見 わたしもほんとうに、何回でもとにかく観たいです。
10年後にももう1回観て、
20年後にももう1回観て、
そのときの、自分のまわりが
どんなふうに変わってるかわかんないけど、
そういうときにちょっとずつ、
「あの時はこういう気持ちで観たな」
っていうふうに振り返ると、
食そのもの、生活そのものっていうのが、
このビデオの中のように
シンプルになるんじゃないかな、
っていうふうに思うんです。
だから、いろんな人に何回も観てほしいですね。
本編も面白いんですけど、
苦労して作った特典映像も面白いですよ(笑)。
やっぱり宮崎、高畑両名が、
非常にこの番組自体を好きなんです。
2人はこの中で実はあんまりしゃべってないんですね。
そのかわり、すごい聞き役に徹していて、
その聞くことで、
ディレクターさんもすごくのって喋って下さって。
取材の苦労なんかも当然出てきますね。
あとはやっぱり、
今、これを観る意味っていうのを考えたときに、
特典映像っていうのはけっこう、
ヒントになってくるかなと思うんですね。
単に過去にあった傑作なので
観たほうがいいっていうだけじゃなくて、
特典映像のいいところは、
「今あなたは、じゃ、どういうスタンスで観ますか?」
っていうときに、けっこうサゼスチョンになるような
要素があると思います。
なるべく、いろいろな見方ができるようにって
本編には全編字幕もつけたんですよね。

【註】 特典映像
高幡功、宮崎駿両監督と
各巻1作品の番組制作者との座談会。
ほぼ日 そういえば、読者の方からも
「字幕でも観ることができますか?」
って問い合わせがありましたよ。

『何食べ』にかかわった役割は
みなさん、さまざまだったとは思うんですが
単に「作った」「売った」って
ことだけじゃない思いが
この『何食べ』にこめられているってことが
よくわかりました。
「何食べ」の嵐の大きさを見せられた気がします。
今日はどうもありがとうございました。

「特製のお菓子」が
明るいビルにやってきた!!


「作ってみましたよ。みなさんで食べてみてください。」
斉須さんのサインをいただきに、
『コート・ドール』を訪問していたはずの
新人トミタが、斉須さんとともに
明るいビルに戻ってきました。
なんとほぼ日スタッフのために、
今回の抽選特典である、
特製お菓子の試作品を作って
いただいてしまったのです!

『コート・ドール』が、このためにつくった
特製でお手製のお菓子を詰めたボックス。
あっという間に全員がお菓子を取り囲み、
感嘆の声をあげはじめました。


(写真は試作品です。実際にお届けする
 量と内容は異なることがあります。
 あらかじめご了承ください)


「えっ?生菓子じゃないの??」
「わっ、濃い。ひょっとして、チョコのずっしり系?」
と騒ぐぼくらに

「今回の特製でお手製のお菓子は
 郵送しても、原形と味をちゃんと留められるものを
 考えてつくってみています。
 うちのデザートってね、本当は
 その場で食べないと、形崩れしちゃうとか、
 味がかなり損なわれちゃうっていうような、
 デザートなんですよ。
 レストランのデザートはお菓子屋さんの
 テイクアウト用とは違うものなんですね。
 作り方でいろいろと工夫をしてみました」


と、斉須さんにコンセプトを説明していただきました。

まずはガトーショコラが切り分けられ、唾をのむ一同です。

斉須さん
「これはチョコレートの
 ケーキです。
 中に、カシスのジャムを挟んだ
 違う生地も入ってるんですよ。
 今回は送るものなので、
 火を入れてるんですけど、
 入れてないような
 食感になります。
 焼き菓子なんですけど、
 生菓子のような、感じです」

さくさくさくっ、と、フォークが入っていきます。
「ねっとり」を想像していたら、ぜんぜん違う。
口に運ぶと、表面の、淡い焼き菓子のような
歯ごたえにつづいて、しっとりしているのに
ふんわりしている食感です。
断面は、どうやら「甘味」と「苦味」と「酸味」の
重層になっているようです。
カシスの酸味と、チョコレートの甘味、苦味が
順番にやってきます。
ほぼ日で一番食にこだわるシェフ武井が最後に
つぶやいた一言です。
「こんな焼き菓子が、あるんですね‥‥
 おやつ、というより、
 うんとおいしいごはんの最後に、
 ていねいに淹れた濃いめのせん茶と一緒に
 いただきたい。。。」

ひとしきり、ガトーショコラを堪能した面々は、
ビスケットに、カシスゼリーに、マドレーヌにパン、
それぞれお目当てのものへと手を伸ばしていきます。

斉須さん
「ブルターニュの方のビスケットです。
 サックリとして、すごく美味しい。
 ぼくはこれがかなり好きですね。
 作り置きができないので、
 朝早く来て、毎日焼くんです。
 技術的には、お菓子屋さんみたいに
 上手じゃないかも
 しれないんですけど、
 毎日、作ってるおいしさが
 あるんじゃないですかね」

斉須さん
「マドレーヌはあんまり大きいと、
 見た目だけで、あ、もういいや、
 ってなっちゃう(笑)。
 だから、ひとくちサイズにしました。
 焼き上がってからメイプルシロップを、
 表面に塗ってるんですよね。
 あと、表面の形。
 のぺっとなってんじゃなくって。
 ぷくっと出ているのがいいんですよ」

斉須さん
「カシスゼリーです。
 カシスは日本ではそうでもないけど、
 フランスではすごく
 多用されてるんです。
 でもゼリーにするには、
 ホント全然作り方がわからなかった。
 よそでやってんのを
 きいたりしてやったけど、
 やっぱり、すごく甘かったり、
 固かったりっていうのがあって。
 いろいろ工夫して作ってみたんですよ。
 なんか、自分としては、なかなか、
 すごいなーって思う一品です」

斉須さん
「最後に、
 小さなパンを焼こうと思ってます。
 お腹が膨らむほど大きくはなくて、
 レーズンが入った
 ミニチュアの食パンです」

試食に湧くほぼ日乗組員達は
頼んでもいないのに
口々に感想を熱くかたってくれました。

「お菓子のゼリーは子供のものと思ってました。
 でも違いますね。シャンパンが飲みたくなりました!」
「このビスケット、口の中でほろほろっと崩れる食感が
 なんとも言えないです。」
「バターがしみていて、香りが高くて、
 セレブな気分になるわぁ」
「マドレーヌがかわいい!
 一口で食べるのがもったいない。。。」
「このミニチュアパン、おやつに最適ですね〜」


この特製お菓子を食べられるおやつの時間があったら、
ちょっとくらい、困ったことや嫌なことがあっても
たいていのことは許せそうな気がします。

その日は、非常に優しい雰囲気に包まれた
明るいビルでした。

この幸運を手に入れる方は、3月15日に
ほぼ日誌上で発表させていただきます。
どうぞお楽しみにっ!


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連動企画
「『人間は何を食べてきたか』は誰がみるのか?
あ、オレか。」

2003-03-06-THU


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