キャンプの広さと深さ。KIKIさんとこいしゆうかさんのキャンプ談義

キャンプのことを知れば知るほど、
わかればわかるほど、
そこには簡単な答えがないことがわかる。

「どうしてキャンプをするんだろう？」

それについての答えも人によってさまざま。
キャンプについてのお話をうかがうことと、
純粋にキャンプをすることの両方を目的に、
五光牧場オートキャンプ場へ行ってきました。

そして、それぞれにテントで一泊した翌日、
KIKIさんと、こいしゆうかさんに、
キャンプについて話してもらいました。

プロローグ・第０回はこちら

KIKI（キキ）
こいしゆうか

KIKI: キャンプって、なにか目的があるというよりも、
過ごす時間そのものが目的だから、
あれしなきゃ、みたいな焦りがないんですよね。

こいし: そうですね。

KIKI: 登山だと、やっぱり頂上にのぼることが
ひとつの目的になるんだけど、
キャンプはそういうのがないから。
もちろん、山には山のよさがあるんですけど、
キャンプは、どこのキャンプ場に行こうと、
そこでどう過ごしたか、のほうが大切で。

こいし: そうですね。
私、すこし釣りもやるんですけど、
釣りもやっぱり目的があるんですよ。
釣果率とか、結果もわかりやすいし。

KIKI: あ、そうですね。

こいし: そういう意味でいうと、
自分の仕事として考えたときは、
目的があるほうがわかりやすいんです。
だから私、キャンプの仕事で、
企画とか考えるときのほうが
「むずっ！」って思う（笑）。
キャンプって、結果も出ないし、
技術でうまくなるとかがあんまりないから。

KIKI: ああー。

こいし: 焚き火の仕方とか、ブッシュクラフトとか、
スキルアップできるものも、
あるといえばあるんですけど、
それがうまくなくても大丈夫というか、
正直、よくも悪くも、スキルも何もない。

──: （笑）

KIKI: でも、だからこそたのしいし、
難しくないっていうのかな。

こいし: 難しくない、そう！
だから、最初のハードルは、
たしかに、道具をそろえるところにあるけど、
それさえ乗り越えてしまえば、
もう、なんだっていい。

KIKI: ただ時間を過ごせばいい。

こいし: なんだっていい。
だって、究極言うと、
「衣食住の衣がないだけ」というか、
食住すりゃいいだけなので（笑）、
それがすごくいいところだなと私は思ってて、
ただ外で寝て、食うだけなのに、達成感がある。

KIKI: うん（笑）。

こいし: なんか家の中でだらだらして、
あー、今日も一日、ムダな休日を過ごしたわー、
って思っちゃうことはあるけど、
キャンプに行くだけで、
のんびりだらだらして食べて、
同じことしてるのに、
なんかちょっとがんばったな、とか、
なんか趣味したな、みたいな（笑）。

KIKI: （笑）

こいし: ただ飲んだくれてるだけなのに、
キャンプで飲んだくれると、
「ああ、キャンプしたわ」ってなる。

KIKI: ふふふ、意味ができちゃう。

こいし: そうそうそう（笑）。
あれ、不思議。

KIKI: たしかに。今朝も、
「あ、なんか朝からコーヒー淹れてる」って、
それだけでうれしくなっちゃったし。

こいし: ね。いつもと同じなのに、
ちょっとなんかいいことしてるみたいな。

KIKI: そうですね。
ほんと、自由かもしれない。

こいし: それがまた仕事になると、
ちょっとまた違うことになるんですが（笑）。

KIKI: いま、仕事と関係なく、ひとりでのんびり
キャンプに行くことってありますか？

こいし: うーん、最近はあんまりないですけど、
コロナ禍のときは、
けっこうひとりで行きましたね。

──: ひとりで行ったときは、
どんなふうに過ごすんですか？

こいし: 私、ひとりでキャンプするときは、
マンガ読むのがすきです。
携帯に入れてるのを読む。

──: KIKIさんのテーブルにも、
なにか厚い本が置いてありましたね。

KIKI: ああ、はい。
読もうと思ってずっと家に置いてあったのを
持ってきました。
『地図と拳』という、直木賞をとった本。

こいし: あと、本って、意外と現地で買ったりします。
現地について書いてある風土的な本を
現地で買って現地で読む。

KIKI: ああ、いいですね‥‥
（あたりを見渡しながら）
‥‥どこかでドラミングしてるみたい‥‥。

こいし: ‥‥音、聞こえますね。
アカゲラかな。

──: ドラミング？

こいし: キツツキが木をつつく音です。

KIKI: あ、いたいたいた。

こいし: どこですか。

KIKI: あの木の、こっち側。

こいし: あ、いた、あれか。
でも、色が見えない。

KIKI: グレー。

こいし: コゲラじゃない？

KIKI: コゲラかな。

こいし: コゲラですね‥‥かわいい。

（つづきます）

なんか、キャンプに行くといろいろ思いますよね。
ほぼ日キャンプチームも、あれこれ思うし、
誰かに話したくもなるし、写真も撮ったりするので、
そういうのを載せておくことにしました。
みんなで書くよ。外部スタッフも書くよ。
いっしょにキャンプしたらチームだからね。

今回はキャンプをしながら対談ロケという
はじめての試みでした。

撮影担当の私は天候や体力などを心配しつつも、
どんなお話しが聞けるのかとワクワクしながら
カメラを持ってはじまるのを待ちました。

対談２日目の途中に、どこからともなく
「トントン、トントン」という音が。

近くで対談を聞いていた小杉さんが
「あそこに」と指差す方向を見ると‥‥。
そこには一生懸命首を前後に揺らし
木をつつくキツツキがいるではありませんか！

人生初キツツキなこともあり
興奮気味にシャッターを切りましたが、
残念なことに写真はちょうど穴の中に
入ってしまったところです。
（くやしい！）

真ん中辺りにキツツキが開けた穴があるので
よーく写真を見てみてください。

思わぬお客さまの登場もありましたが、
気持ちの良い光や風、自然の中で生まれた時間を
写真から少しでも感じてもらえたらうれしいです。

2023-08-29（tue）

STAFF

編集：金沢俊吾
動画撮影：石渡樹
撮影協力 : 植田慧祐

KIKI（キキ）

こいしゆうか

STAFF