矢沢永吉×糸井重里 スティル、現役。
矢沢永吉さんと糸井重里、
7年ぶりの対談です。

ほぼ日刊イトイ新聞創刊21周年の記念企画として
ほぼ日のオフィスで乗組員全員の前で
対談してもらえませんかとお願いしたら、
「いいですよ」とお返事が。

出会いのときから、ほぼ日創刊時の思い出、
そして紅白歌合戦の裏話から、
「フェアじゃないね」の真相まで!

じっくりたっぷりお届けします。ヨロシク。
第10回 スティル、現役。
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矢沢
長くやってますよ、ほんとに。
糸井
まだまだやめるつもりもなく。
矢沢
でも、あとどのくらいできるんだろうね?
糸井
今年の9月で、70歳。
矢沢
うん。
でも、あと何年かわからないけど、
歌えるんだったら、やっぱり歌いたいね。
ピッチが落ちないままでね、ボーカルの。
だから、トレーニングもしてるし。
糸井
トレーニングしてないと、きつい?
矢沢
やっぱり、やらないと声が出なくなる。
声帯というのも、これ、筋肉ですからね。
もう確実に老いていくわけですよ。
それ止めるのはやっぱりボイストレーニング。
止めるというか、とにかく落ちないように。
でも、それはさ、ちょっとおもしろいんだ。
つまり、老いていくっていう現実と、
俺は辞めたくねぇんだと言ってる自分が、
せめぎ合ってるんだよね。
それは、ちょっと、やってやろう、
っていう気になる。
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糸井
なるほどね。
矢沢
俺、ミック・ジャガーが、
ステージがない日は夜10時には
もうベッドに入ってる、って聞いたとき、
嘘つけや、ありえない、とか言ってたわけ。
でもね、それ、わかるなぁーって感じ。
糸井
うん(笑)。
矢沢
年を重ねてくると、わかるよね。
糸井
わかる。
矢沢
10時に寝るから邪魔しないで、って。
だって、そうしないと、
やりたいことができないわけだから。
糸井
マイクスタンドも振り回せないね。
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矢沢
振り回せない、振り回せない(笑)。
いまだって、昔ほど強くやれてないから。
若いころは、ステージ終わると、
マイクをガーンって受け止める
背骨のところに血が滲んでたからね。
糸井
え? マイクで。
矢沢
うん、バーンって本気で回して、
上にぶん投げて背中で受けて、
ドーン、痛てぇー、
と思いながらやってるから(笑)。
だから、もうステージ終わって、
なんか痛いなぁと思って背中見たら血が滲んでる。
もう、そのくらい、ライブがもうマジだったから。
マジのライブだから。
糸井
へとへとだよね、あれ。
矢沢
ヘトヘトだよ。
で、シャワーもろくすっぽ浴びないで、
そのまま飲みに行ってたんだから。
朝2時とか3時まで。
あの力は、なんだったのかね?
糸井
無駄なエネルギーの発散(笑)。
矢沢
もう、無駄・イズ・グレイト、みたいな。
糸井
ねぇ(笑)。
いまはあんなことできないよね。
矢沢
できない、できない。
もう、10時にはベッドに入りたいよ。
一同
(笑)
糸井
ミック・ジャガーの気持ちがよくわかる?
矢沢
わかる、わかる。
あれ、嘘じゃなかったのね、って感じ。
だけど、それは、逆にいうと、
ちゃんと続けてるってことだよね。
10時に寝ないと、キツいっていう現実。
その現実のうえで、「スティル、現役」。
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糸井
うん、うん。
矢沢
それがやれてるんだから、
やっぱり、ミック・ジャガーかっこいいなぁ、
俺もああいうふうになりたいって思うよね。
糸井
何歳ぐらい違うの、ミック・ジャガーと?
矢沢
6つくらい違うはず。
75歳くらいでしょ、いま。
糸井
75歳であのステージは‥‥。
矢沢
ヤバイよ。
糸井
俺はもう75歳になったら
引退してるつもりなんだけど。
矢沢
いやいや、イトイは引退しちゃダメだよ。
糸井
そう?
矢沢
ダメダメダメ!
だって、イトイは別に、ステージないし、
マイクも振り回さなくていいし、
このオフィス使うだけなんだから、
べつに引退しなくていいじゃない。
一同
(笑)
糸井
そうなの(笑)?
矢沢
もうあれよ、この、いいオフィスで、
延々やってたほうがいいよ。
糸井
もう社長は辞めてるつもりだったんだけどな。
矢沢
社長は辞めりゃいいじゃない!
一同
(笑)
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矢沢
社長は退いてさ、
もう糸井重里っていう人がさ、
いままでずーっとやってきたことを、
まだ俺はやり続けたい、ってことでいいじゃん。
糸井
うーん、いや、それはそうだね。
矢沢
そうだよ!
ああ、もう、社長は辞めていいよ。
そんなものは、やれる人にやらせてさ。
糸井
そうだねぇ(笑)
一同
(笑)
(つづきます。ヨロシク)
2019-06-15-SAT
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