第45回 《 ポッケのパフェ 》 |
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“ 週2回ほど会社帰りにひいきの八百屋に寄り
旬の野菜をうきうきと選び
土日の朝 作り置き分を仕込みます ”
そんな彼女の言葉を ひさしぶりに誌面でひろいながら
自分の食生活に あらためて ため息をつく。
ここ1ヶ月 毎日の食事や間食を
デジタルカメラで撮影し 食事日記をつけていた。
普段ちょこちょこ食べていたものを
初めてまとまった形でみることで
パンと甘い物の摂取量に 我が身の危険を感じていた。
『お弁当が載るのでよかったらみてください』
メールの追伸に記されていた
慣れ親しんだ雑誌の中の
手作りお弁当のコーナーに
彼女の姿とお弁当を見つけた。
彼女は以前おこなった イベントの時に
お直しを依頼してくれた。
『おしりの部分に大きな穴があいてしまって』
圧縮ニットの紺色のワンピース。
キズの箇所にはご丁寧に赤い糸で印がしてあった。
しっぽかな? そう思ったが
恥ずかしくて着てもらえなかったら困るので
得意のポッケ作戦にする。
ポッケの入り口に白いレース編みを花のように編み
それを ずいっとひっぱりだすと
短めのしっぽが出てくるようにした。
だんだんと色を変え 編み方を変え
ガラスの器の中 何層にも重なる
カラフルなパフェのような しっぽ。