第51回 《 お直しとかの本 》 |
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『水泳習ってるんですねー』
…あれ その話したことありましたっけ…?
『ほぼ日に書いてありましたよー』
『タカヤナギさんって
そんなにすごい遅刻するんですか!?』
…ん タカヤナギのこと知ってましたっけ…?
『ほぼ日で読みました』
毎週 月曜日の11時に更新される文章を
ほんとに誰かが読んでいる。
読んでもらうために書いているはずなのに
そういわれるたび その事実に 驚いた。
*
去年の10月末から約1年にわたって
毎週休むことなく続けた
50回の連載が終わり
もう1ヶ月半以上がたつけれど
いまだに終わった気がしていない。
実は “ お直し とか ” が
このたび 書籍化されることになり
なんどもなんども読み返し
全話に加筆や修正を加えていたら
終わったどころか さらに50話
書いたような気分だ。
いや 連載以外の文章も載せたから
65話を書いたような気分。
この連載を始めたことで
なにか自分にとって 残念なことがあっても
(例えば 踏切のバーがおでこに命中したり…)
それをプラス(つまりネタ)に変えることが
できるようになったのは収穫だったなと
読み返していて気がついた。
*
つい先日刷り上がってきた見本の一冊を
手に馴染むよう しならせ開く。
web連載を 紙で読むという
時代を逆行するような形がなぜか
自分にはしっくりきて こころよい。
“ お直し とか ” といいながら 気がつけば
“ とか ” の部分がちょっとばかり
多すぎたような気もしなくもないけれど
『毎週月曜日がたのしみ』や
『長く続けてくださいね』なんて
言葉をかけてもらっていたので
これでもよかったのかな と思おう。
*
すっとした もったないほどいい写真に
かっこよく気持ちよいデザイン
いちばんに目を通しチェックしてくれた
ほぼ日の担当さんのおかげで
たのしくやりがいのある連載を
続けることができ
おかげさまで書籍化されます。
おいしく淹れたお茶でも飲みながら
“そうだあの本でも読むか” と
思い出してもらえるような
本になってくれたら
とてもうれしいです。
学生時代に行ったデザートビュッフェの
話を書いて以来 ずっと再訪したかった
‘甘いもの天国’ に きょう
10年ぶりに行くことができて
なにかひと区切りついたような気がする
おなかも 心も 満腹の夜に。
横尾 香央留
───「お直し とか」が本になりました。─── |
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ISBN:9784838725038
定価:1470円 (税込)
発売:2012/11/22 |
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