夫婦揃って小学校の先生だというニエミネン夫妻。
お直し依頼は銀行のノベルティーのエプロン。
これは旦那さん オキの物。

一人暮らしを始める時に
お母さんにもらったエプロンを
結婚したいまも大切に使っている。
共働きの夫妻は 家事を分担しているそうで
奥さんの料理を手伝うことも しょっちゅう。

『しかし長年使い続けた結果 ヒモが取れかかり
　このままではお手伝いができなくなってしまう。
　ひいては 夫婦不仲になってしまう可能性も…』
という手紙が添えられていた。
それはまずい。夫婦の為に 一肌脱ごうじゃないか。

市役所へむかう曲がり角に 工事中の建物があって
毎朝 早くから大男達が行ったり来たり
砂埃と共に 大きな音や 大きな声を出していた。
作業しながらも ジロリ 横目でこちらを見ているのが
びしびし伝わってきて “すみません すみません”と
そそくさと足早に通り過ぎていたあの建物にも
エプロンと同じチョウチョみたいなマークがあった。
そうか あれは銀行のマークだったんだ
銀行があそこにできたら みんな便利になるね。

1€と２€のコインモチーフを２枚ずつ編んで
ユーロチョウチョを２羽つくり
取れかけたヒモと 夫婦の危機をつなぎ止めた。