永田 |
第44回を観おわりましたが‥‥。 |
糸井 |
観おわったけどね‥‥。 |
西本 |
いやあ‥‥。 |
永田 |
やっぱ、あの予告編が! |
糸井 |
本編よりも先に
予告編を語るってのも、なんだけど。 |
西本 |
でも、読者の方からのメールも
圧倒的に予告編に対してのものが
多かったですよ。 |
永田 |
予告編を観て号泣する人多数! |
糸井 |
そんなドラマあっていいのか。 |
西本 |
たいへんなドラマです。 |
糸井 |
というか、次回、なにも
あんなタイトルつけなくてもいいだろ。
ふつう、『源三郎、死す』だろ。せめて。
もう、おもちゃにされとるぞ、わしらは。 |
永田 |
視聴者がいちばんストレートに
感情移入しやすいタイトルですよねえ。 |
西本 |
だっていままでは、
『ある隊士の切腹』とか匿名扱いですからね。
『友の死』とかね。 |
永田 |
それが完全に名指しですからね。
うーん、ってことは、そうなんだろうなあ。
先の展開を知るのが嫌いな僕としても、
これはさすがに受け入れざるをえない。 |
糸井 |
あなたはまだそんなことを言ってるんですか。 |
西本 |
こないだ、「あと何話で終わりですかね?」
って何気なく聞いたら、
それだけで怒られましたよ。 |
永田 |
っていうか、これ、
本気でちょっと心配するんですけど、
来週から観るのをやめる人って
いるんじゃないでしょうか?
こう、途中でやめるというよりも、
「もう十分観た」という感じで。 |
西本 |
あるかもしれませんねえ。 |
糸井 |
これ以上はもう、エピローグなんですよね。
いわば、舞台裏の楽屋の話なんです。
みんなが観ている表舞台は
あの、背広着ている人たちの話なんです。 |
永田 |
あ、薩長の軍隊!
ついに洋服が出ちゃいましたねえ。
外国から調達したんでしょうかね。 |
糸井 |
あの背広はねえ、なんともね、参ったね。 |
西本 |
新しいビジネスツールみたいなもんですかね。 |
糸井 |
ライブドアにとっての
「Tシャツ」みたいなものですかね。 |
永田 |
あれじゃないですか。
名刺にメールアドレスが入り出したころって
あったじゃないですか。 |
ふたり |
あああ(笑)。 |
永田 |
「じゃあ、メールで送りますね」
「いや、うち、メールないんですわ」
みたいな時期。 |
西本 |
「社内にメールできる人間がひとりいますから
そいつに送ってください」みたいな。 |
永田 |
「ファックスじゃダメですか?」みたいな。
そういう、統一されてない時期。 |
糸井 |
統一されてないよねえ。
時代に取り残される新選組を表すために
わざと背広を登場させて、
道で鉢合わせさせたりしてるんですよね。
今回は、ああいう、「見た目」について
いろんなことを思ったなあ。 |
永田 |
たとえば? |
糸井 |
たとえば、沖田ね。
着流し姿が痛々しかったじゃないですか。 |
西本 |
昔から袴が似合っていた人だけに。 |
糸井 |
そうそう。袴をはいててくれよ、っていうね。 |
永田 |
沖田ってある意味「勝利」の象徴というか、
出れば負けねえみたいなところがあるから
余計にツラいですよね。 |
糸井 |
着流しじゃ「出られない」んだよね。
今回はそういう、「ファッション」が
気になったんですよ。 |
永田 |
これまでにない切り口です。 |
西本 |
京都御所前で聞きました。
重ちゃんのファッションチェック! |
糸井 |
たとえば小森サマの鎧兜ね。
「いままでツラくあたってきたが‥‥」
なんてことしみじみ言ってたけど、
「おまえ、五月人形か!」
という格好をしてましたよね。 |
永田 |
「久月」! |
西本 |
「顔が命」! |
糸井 |
旧幕府側の人たちは見事に
「久月」化してましたよね。
だってさ、二条城の守備を固めて
なんてことにしてもさ、
まだ攻めてきてもないのに
ガッチャンガッチャンした
格好してたじゃないですか。 |
西本 |
一方、新選組は機能的な武装で、
くぐってきた修羅場の数を感じさせました。 |
糸井 |
「汚れ具合」みたいなものが
ぜんぜん違うよね。 |
永田 |
ファッションチェックということであれば、
ひとこと言わせてください。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
永田 |
とある人物を、今回の
ベストドレッサーに推薦させていただきます。 |
糸井 |
それは? |
西本 |
それは? |
永田 |
カマキリ将軍です!
大阪に下るときのかぶり物はもちろん、
注目していただきたいのは
お布団にごろりとお休みあそばされる場面。
絹をあしらった敷き布団の文様と
掛け布団の文様と白装束の文様の
豪華特注三点セット! |
糸井 |
わははははははは。 |
西本 |
ぜんぶ、同じものであつらえてましたねえ。
うつ伏せで寝てたら
文様の跡が顔に残りそうなやつ。 |
糸井 |
「カマショー」ね。 |
永田 |
カ、カマショーですか。 |
糸井 |
カマキリ将軍ことカマショー。 |
西本 |
発音は限りなく「浜省」っぽく。 |
永田 |
カマショー、今日はまた、
輪を掛けて適当なこと言ってましたね。 |
西本 |
もはや、あれは「上司」です。 |
永田 |
「上司」のわがままに振り回される
「現場」が新選組で。 |
糸井 |
いやあ、しかし、
今日またあらためて思ったけど、
新選組に人がいないねえ。 |
永田 |
今日の軍議も、スッカスカでしたね。
へなちょこ軍議でしたよ。
尾形くんがいちばんまともなことを言ってたり。 |
西本 |
左之助が「『みことのり』ってなんだ?」って
聞くあたりが、もはや笑えないですよね。 |
糸井 |
痛いわぁ。いちばんメインが島田だったりね。
あとは土方の穏やかさが寂しいね。
「そうはさせねえ」
なんてことを言うんだけど、
根拠がひとつもないんです。
あえて言うなら、多勢に無勢ということで、
この時点ではこっちが多勢なんですよ。
けど、土方はそんなあやふやな
「多勢」にすがって、
「そうはさせねえ」って
言うような人じゃないよね。 |
西本 |
ええ、そうですよね。
それまでの幕府の混乱ぶりをみて
空気を読んでいるはずですから。 |
糸井 |
いろんな奥の手をつかって、
無勢なのに戦略で勝ってきたのが土方だからね。
多勢といっても、こっちの兵は、
五月人形ばっかりだとわかってるだろうし。 |
永田 |
佐々木サマですら、
ビンテージの五月人形たちを
数に入れて計算してますよね。 |
糸井 |
単なる人間の数でしかないのにね。
ぼくは史実として知っているんですけど
裏切りに合うんですよ。
多勢だった旧幕府軍が、ブロック単位で、
どっかんどっかん裏切るんですよ。
もうね、要するに、
朝敵になるかならないかなんですよ。
旗が出たでしょ。あの錦の旗が。
つまり、どの武器でもなく
あの旗が最後のウエポンなんですよ。 |
西本 |
なるほど。久坂玄瑞が
「我らは朝廷の敵になってしまったのか!」
と叫んで愕然とするシーンを思い出します。 |
糸井 |
あの旗に対して弓を引いたら
朝敵になるということだからね。
あっ、だから、今日、ぼくが
ファッションチェックから始めたのも、
そういうことだったんですよ! |
永田 |
錦の御旗というデザインこそが、
古い時代の武器を凌駕する
究極のファッションだと。 |
糸井 |
そうです、そうです。
デザインやイコンについて、
私は考えさせられたというわけです。
見事な展開ですいません! |
西本 |
あとづけっスね。 |
永田 |
あとづけに決まってんじゃん。 |
糸井 |
デザインやイコンについて、
私は考えさせられたというわけですよ。
いや、ほんとに。 |
永田 |
ところで、朝敵うんぬん、
というところで思ったんですけど、
幕末、明治維新のいちばんの功労者は、
龍馬でも西郷でも大久保でもなく、
孝明天皇を暗殺した人なんじゃないですかね。 |
糸井 |
孝明天皇を殺したのは
岩倉卿だと言われてますよね。 |
永田 |
ええ。もしも、
暗殺が事実ならということですが。
孝明天皇がいれば薩長同盟があっても
錦の御旗はあんなに簡単に
あっちにいかないですよね。 |
糸井 |
あれが暗殺、殺人だとすれば、
推理小説のセオリーとして、
「得するやつが犯人だ」
ということになりますね。
つまり、将来、
五百円札に描かれる、あの男‥‥。 |
永田 |
パントマイムの上手い、あの男‥‥。 |
西本 |
『えいごリアン』の
ユージ役でお馴染みの、あの男‥‥。 |
糸井 |
ところで佐藤B作さんですけどね。 |
永田 |
ずいぶん唐突な展開ですね。 |
糸井 |
ひじょうに細かい指摘で恐縮ですが、
2回観て、2回とも気になったので
言わせていただきます。 |
ふたり |
どうぞどうぞ。 |
糸井 |
あの、「‥‥ってか?」っていう語尾は
どうなんですかね。 |
永田 |
あ、あれ、気になった(笑)。 |
西本 |
「ってか?」は鶴太郎さんの十八番ですよ。 |
永田 |
「新選組に戻す‥‥ってか?」 |
糸井 |
そうそう。あれは方言ですか。
アドリブですか。台本にあったんですか。 |
永田 |
うーん、もっと軽いセリフとして
書かれていたものが、
意外に重々しく言われてしまったとみました。 |
糸井 |
あの永井サマという人は、
正式な通達をするときには正座して、
くだけたことをいうときは
雰囲気をがらりと変えるという
性質がありますよね。
だから、「‥‥ってか?」も、
その表現の一環ということもできますよね。 |
永田 |
なるほど。
にしもっちゃんはどうですか? |
西本 |
ぼくは、どうでもいいですね! |
ふたり |
そりゃまあそうなんだけどさ。 |
西本 |
B作さんで思ったのは、
オープニングの筆文字ですね。
「B作」という縦書きは
すごく違和感があったなあ。 |
永田 |
ちょっとないよね、アルファベットは。 |
糸井 |
ほかにアルファベットが
入っている人っていますか? |
西本 |
どうでしょう。
ヒュースケンでさえ「川平慈英」と
ぜんぶ漢字ですからね。 |
永田 |
「藤子F不二雄」とかですかね。 |
西本 |
『まんが道』とかが大河になったら
ありえますかね。ないか。 |
糸井 |
いや、わかりませんよ。
すべてのものは、大河ドラマ化される
可能性をもっているのです。 |
永田 |
こう、青空にロゴがドーンと、
『まんが道!』 ダダダダ〜ン! |
西本 |
『トキワ荘!』
チャラララ〜チャララチャラララ〜!
ちょっとおもしろそう。
ぼくらが50歳くらいになったら
やってほしいですよ。 |
糸井 |
あり得ますよ。だから、
西本さんの一生だって、
大河になる可能性はゼロじゃないんですよ。 |
永田 |
青空をバックに
『西本武司!』 チャラララ〜。 |
西本 |
うん。悪くないですね。 |
永田 |
そうなると、やはり、糸井さんなんかも
登場するわけですね。 |
糸井 |
それは解釈によりますよ。
西本武司の一生のなかで、
糸井事務所で過ごした期間を重要視するなら
たくさん登場しますけど、
意外にさらっと扱われるかもしれないし。 |
永田 |
脚本家しだいだと。 |
糸井 |
脚本家しだい、脚本家しだい(笑)。 |
西本 |
ホンがあんまりユニークだと、
「史実と違う」と怒られたりしてね。 |
永田 |
西本ファンが怒るわけだ。 |
糸井 |
「西本武司とキアヌ・リーブスが
北九州で友だちだったなんてあり得ない!」
とかね。 |
永田 |
そりゃあり得ない(笑)。 |
糸井 |
わかんないですよ。 |
西本 |
糸井さんの役は誰がやるんですかね? |
糸井 |
そりゃ‥‥うーんと‥‥桂歌丸とか? |
永田 |
‥‥‥‥ものすんごい、
中途半端なことを言いますね。 |
西本 |
一気に冷めましたわ。 |
糸井 |
も、申しわけない。 |
永田 |
もうちょっと遊べると思ったのにな。 |
西本 |
話題を変えましょう。 |
糸井 |
申しわけない。 |
永田 |
あの、ここのところ強く感じるんですが、
ぼくは『風雲児たち』を読んでいて
ほんとうによかったですよ。 |
西本 |
あ、それは思いますね。 |
糸井 |
ああ、そうですね。
幕末の全体像がつかめてますからね。 |
永田 |
ええ。たとえばB作さんが
「薩摩はどこまでわしらを苦しめれば
気が済むんだ!」なんてことを
言ってましたけど、
『風雲児たち』を読んでいると
関ヶ原以降、幕府がさんざん薩摩に
イヤがらせをしてきたって
わかるじゃないですか。 |
糸井 |
木曽川治水工事ね。 |
西本 |
あれはツラい話だった。 |
永田 |
やっぱり関ヶ原以降の流れが
ずーっと続いてるんですよね。
で、今回、幕府がなくなるというときに
あらためて思ったのは
家康がつくった
「徳川がついえないようにする仕組み」
というのがほんとうにすごいんだなぁと
いうことなんですよ。 |
糸井 |
なるほど。 |
永田 |
やっぱり、全国を統一しても、
すぐにこうやって反対勢力がでてくるのが
ふつうだと思うんです。
ところがそうさせないために、
人質を江戸に住まわせたり、
参勤交代をさせたり、城の修理を禁じたり、
船のマストの数だって
勝手に増やしちゃダメだとか
言ってたわけですよね。
だから、家光あたりまでの3代にわたって
作りあげた「仕組み」というのがすごいなと。 |
糸井 |
その「仕組み」が300年もったとも
いえるわけだよね。
だから、徳川幕府の300年は、
「繁栄の300年」というよりも
「延命の300年」といえるわけだ。 |
西本 |
だから、終わるときには早いんですよね。 |
永田 |
300年かけて、
「仕組み」を食い尽くしてきたわけだから。 |
糸井 |
抑えきれなくなった地方の勢力が
外国の軍事力と結びつくんだからね。
そりゃコロッといっちゃうよ。 |
永田 |
長州も薩摩も背広だけ
買ってたわけじゃないでしょうし。 |
糸井 |
実際、ものすごい分量の武器を
長州はもっているんですよ。
それはいわば龍馬が買わせたものですよね。
だからさ、もう、完全に
歴史の表舞台に立ってるのは
薩長と諸外国なんだよ。
ぼくらはいま、なるたけ
それを見ないようにして、
ドラマを観てるけど、
幕府と新選組は完全に舞台の裏っかわに
きちゃってるんだよ。 |
西本 |
裏の舞台ですねえ。
でも、近藤や新選組にしてみれば、
ようやく表舞台に上がった気分なんでしょうね。
新選組ができて5年ですよね。
籠が通るのを遠目に見ることしか
できなかった近藤が、5年後には将軍に
「頼むぞ」と肩を叩かれるわけですよね。
えらい出世ですよ。 |
永田 |
うんうん。あの、
将軍の前で佐々木サマと議論して
「御前であるぞ!」って
怒られるところ、あったじゃないですか。 |
糸井 |
あそこ、よかったねえ。 |
永田 |
すごい成長だと思うんですよ。
多摩編では、象山先生のところに行って、
「なにを話しているのか
さっぱりわからなかった」
とか言ってた近藤ですからね。それが
「僭越ながら、いま戦を
すべきではないと思います」
とか上様に進言しているわけですから。 |
西本 |
多摩の人たちにとっては衝撃でしょうね。
つねさんへの手紙に書いたら
えらいことになりますよ。野際さん号泣です。 |
永田 |
そしてあの、水戸藩の人へ
言い放った強いことば。 |
西本 |
「お手前方」ですね。 |
永田 |
「お手前方」です! |
糸井 |
言葉で人を倒したのは初めてじゃないかね。
逆らえないどころか、
がっくりと膝を突いちゃいましたからね。
あんな力っていままでの近藤にはなかったよね。 |
西本 |
なかったですねえ。 |
糸井 |
あそこでは近藤は勝てるんですよね。
つまり、舞台裏では
まだまだすごく強いんですよ。
でも、水戸藩の人を言い負かしたところで、
歴史の表舞台には
まったく影響がないんですよね。 |
西本 |
なるほど。視聴者としては
溜飲が下がりましたけど、
歴史を動かしたかというと、
そうではないわけですね。 |
糸井 |
そういうことです。 |
永田 |
しかし、近藤はまったく幕府を疑わないですね。
幕府というか、容保公への忠義なのかな。
あれだけ冷静な目を持ちながら、
なんでああも信じているんですかね。 |
糸井 |
国という概念が、
近藤は徳川家で止まるんですよ。
それがイコールだった時代が
イコールじゃなくなったというのが
幕末という時代ですから。 |
永田 |
なるほど。 |
糸井 |
昔は徳川のことを考えていれば
国のことを考えていることになったんだけど、
そうじゃなくなったとき、
徳川のことを考えないわけには
いかないということなんですよね。 |
永田 |
多摩という場所が土地柄として
平和だったというのもあるんですかね。
あれが東北みたいに、何年かに一度、
飢饉があったような
厳しい環境だったら違うんでしょうか。 |
糸井 |
上様のことをお恨み申すようなことが
何度かある場所だったら違うだろうね。
一方で、佐々木サマの
「なにがあっても揺らがない感じ」
というのもすごいですよね。
あれはどういう人なんですかね。
中学のときに言われたことを
守り続けるような人なんですかね。 |
西本 |
うーん、とりあえず佐々木サマは
エリート街道を駆け上がってきた人ですよね。 |
永田 |
頭が固いわけじゃないけど、
超保守派みたいな感じで。 |
西本 |
テストはできそうですね。 |
永田 |
新郎友人代表スピーチも
そつなくこなしそうです。 |
糸井 |
あ、佐々木サマ、
この間、『笑っていいとも!』に
出てましたけど、関西弁でしたよ。 |
永田 |
マジですか! |
西本 |
佐々木様が関西弁なんですか!
これは永田さん、ショックでしょ。 |
永田 |
いや、びっくりしました。
あの、洋服とか着てましたか? |
糸井 |
着てましたよ。どちらかというと
桑名正博みたいなしゃべりかたでしたよ。 |
永田 |
セクシャルな? |
糸井 |
バイオレットですよ。 |
永田 |
意外! |
糸井 |
さあ、それで、来週は
いよいよ鳥羽伏見ですよ。
ついに鳥羽伏見ですよ。 |
永田 |
ああああああ。
もう、来週は、休みましょうか? |
西本 |
おふたりは、必ず日曜日に
一度観てきてくださいよ。
ぐじゅぐじゅの人と話すのイヤですから。 |
永田 |
失敬な! |
糸井 |
泣かないかもしれないじゃないか! |
西本 |
絶対、泣く。 |
ふたり |
泣くな。 |
西本 |
しかし、ほんとうに
終わっちゃいますねえ。 |
糸井 |
そうだねえ。だって、新選組のメンバー、
あれだけしかいないのに
鳥羽伏見ですからね。
しかも近藤もいないわけですから。 |
西本 |
え? 近藤抜きで戦うんですか? |
永田 |
あーーー、あーーー、
先のことは知りません! |
糸井 |
土方が指揮を執るんですよ。
そこで裏切りに遭うんですよ。 |
永田 |
あーーー、あーーー、
先のことは知りません! |
糸井 |
錦の御旗を見ちゃったら
「休ませてくれ!」って言って
門をしめちゃうからね。もうたいへんですよ。
昔の任天堂があったあたりですよ。 |
永田 |
今週、戦に備えて準備してるあたりで、
すでに「大丈夫か?」って感じですもんね。
「弾薬を詰め終わりました!」って
新選組の隊士が言ってても
ぜんぜん、説得力がない。 |
西本 |
ええ。永倉がチェックしてましたしね。
本来ならばあれは山南さんの仕事ですよ。 |
永田 |
なにしろ人がいないからね。
適材適所が成り立たない。 |
糸井 |
みんな刀の人たちだからなぁ。
あの、袴のない侍こと、沖田のところに、
みんなが人参もって行くじゃないですか。
いちばん先が短いと思われている人のところへ
みんながホッと、やすまりに行くんだよね。
あれは、せつないよね。
ある意味、沖田に未来を託してるんですよ。
いちばん、命が短いはずの人に
明日をみているんですよ。 |
永田 |
ああ、なるほど。 |
糸井 |
あと、あの場面の藤原くんの
命が消えそうな感じっていうのは
すごかったね。 |
西本 |
真っ白で、目のまわりなんかは
黒ずんでて。 |
糸井 |
そうそう。 |
永田 |
沖田も近藤もいないままで、
鳥羽伏見なのかあ‥‥。 |
糸井 |
近藤が「戦で負けたことはない」って
言ってたけど、ある意味あれは、
浮かれたセリフだよね。
だって戦なんてしてねえじゃん。 |
西本 |
本当の戦ってやってないですからね。
池田屋くらいかな。 |
糸井 |
池田屋にしても戦じゃないですよ。
兵が大勢いるなかで、いちばん下っ端までが
戦うのが戦ですから。池田屋の場合は、
一部の代表が戦ってるだけだから、
たんなる斬り合いですよね。 |
永田 |
鳥羽伏見は戦だもんなあ。 |
糸井 |
だいたい、ああやって局長が
撃たれてるってことも、
相手の流れになってるってことですよね。
だって、近藤は
サイコロの目で勝ってきた人なのに、
サイコロの目が悪いほうに出たってことだから。 |
永田 |
なるほどなるほど。 |
糸井 |
しかも向こうは鉄砲だしな。
土方も、「土のうを積んで」だとか
そのくらいのことは
考えるようになっているんだろうけど、
所詮付け焼き刃ですよね。
伊東甲子太郎みたいな参謀もいないし。 |
西本 |
せめて観柳斎でもいれば! |
永田 |
メガネノオカッパ、いまいろよ! |
糸井 |
この武器をかしたろう! |
ふたり |
そういうのはいいです。 |